第2章 日本都市奪還戦
《MISSION CLEAR》の文字が、
ノイズを帯びながら崩れていく。
続いて、短いムービーが再生された。
画質は荒く、記録映像のようだ。
そこには、《ギャラクシーヒーローズ》で活躍していたヒーローたちが、
巨大な“何か”と対峙している姿が映し出されていた。
正体の分からない、大きな影。
ムービーは唐突に途切れ、
周囲のプレイヤーたちがどよめく。
「どういうことだよ……」
「意味わかんねぇ……」
ふと美咲を見ると、
彼女は珍しく神妙な表情をしていた。
何かを考え込んでいるようだ。
「おい、美咲。大丈夫か?」
迅が声をかけると、
美咲ははっとしたように顔を上げる。
「…何でもない!大丈夫だよ」
その言葉とは裏腹に、
イベントの進行は淡々と続いていく。
各プレイヤーの貢献度が表示された。
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**ケルン防衛戦**
最優秀者 **紫電**
主な貢献:ボス撃破
優秀者 **ミーシャ**
主な貢献:エネミー最多討伐
優秀者 **ブラックスミス**
主な貢献:エネミー準最多討伐
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「すごいじゃん! 紫電が一番だよ!」
紗良は自分のことのように喜んでいる。
三人の前に、報酬ウインドウが展開された。
報酬金:**980,000ポイント**
追加報酬:武器《明鏡止水》
紫炎のユニーク装備。
だが迅には、どうやら扱えそうにない代物だった。
紗良は報酬金 **310,000ポイント**。
美咲は **300,000ポイント**。
迅は少し考え、提案する。
「……三人で、きっちり三等分しないか?」
「ええ!? せっかく一番なんだから、ちゃんと貰いなよ!」
紗良は申し訳なさそうに首を振る。
「私も紗良に賛成!」
「今回、迅が一番頑張ったんだからさ〜」
美咲も同意する。
迅は一瞬黙り、
それから静かに言った。
「……この三人じゃなきゃ、ボスは倒せなかったと思う」
「だから、ちゃんと分けたい。……だめか?」
紗良と美咲は顔を見合わせ、
やがて仕方なさそうに頷いた。
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報酬再分配
迅・紗良・美咲
報酬金:合計 ÷ 3 = **530,000ポイント**
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転送ゲートが起動する。
光に包まれ、
三人は元の都市へと戻ってきた。
「……何これ」
驚きの声がした方向を見ると、
紗良がSNSをチェックしていた。
今回のイベントは、
すでにSNS上でも凄まじい反響を呼んでいるらしい。
コメントが雪崩のように流れていく。
トレンド上位に並ぶ、不吉な文字。
**日本都市 大規模イベント失敗**
**ペナルティ 各都市機能停止**
防衛に失敗したユーザーと、
参加できなかったユーザー同士の罵り合い。
正直、目を覆いたくなる内容だ。
「……ひど……」
紗良の顔色が青ざめる。
「あんまり、こういうの見たくないな……」
そう言って、
紗良は疲れたように座り込んだ。
迅と美咲は、
ある程度、こうなることを予感していた。
調べると、失敗した大阪都市では、
大型ギルドが海外遠征中でほぼ無人状態だったらしい。
残ったプレイヤーで応戦したが、
出現したボスも強力で、防衛は失敗。
その大型ギルドはすでに海外へ拠点を移しており、
その件も含めてSNSでは炎上していた。
今回の防衛戦は、
六大陸からランダムで選ばれた六都市が対象だった。
結果一覧が表示される。
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ユーラシア大陸ー
ドイツ ケルン:防衛成功
日本 大阪:防衛失敗
北アメリカ大陸ー
アメリカ テキサス州:防衛成功
アメリカ ロサンゼルス州:防衛失敗
アフリカ大陸ー
ナイジェリア ラゴス:防衛成功
エジプト カイロ:防衛失敗
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続いて、ペナルティ内容。
1.防衛に失敗した国に所属するプレイヤーは、
ペナルティ解除までランクマッチ参加不可。
2.商業施設の一部停止。
パーツ売却施設、アバター売却施設、
アイテム売買施設は使用不可。
ペナルティ解除条件。
防衛戦は**奪還戦**へ移行。
転送ゲートから侵略者への挑戦が可能。
時間制限なし。
挑戦回数無制限。
最低参加人数:50名。
速やかに準備が整い次第、
防衛失敗地域への参加を推奨——。
日本都市のマークには、
鎖がかけられた表示が重なっていた。
「……どうする?」
「戻って、戦闘に参加する?」
紗良が二人に尋ねる。
迅は時刻を確認した。
19時半。
すぐ向かうこともできる。
だが、正直なところ——
三人とも、かなり疲れている。
「……明日でいいと思う」
「明日になっても解放されてなかったら、参加しよう」
「私も賛成!」
「せっかく報酬も貰ったし、新しいパーツも試したいし!」
美咲はすでにカタログを眺めていた。
「じゃあ今日は解散だね!」
「明日、土曜だけど……朝からやる?」
紗良が尋ねる。
その様子を見て、美咲は満面の笑みを浮かべる。
「おーおー、紗良もハマってきてるね!」
「私の予想だと、奪還戦は相当キツいよ」
「明日もガンガンやることになると思うから、覚悟しといて〜」
「……ほどほどにな」
迅は息を吐きながら答えた。
ログアウト。
フレンドリストを確認する。
紗良:スリープモード。
美咲:オンライン(活動中)。
「……あいつ、今夜は寝ないな」
そう呟き、
迅は諦めて夕飯の準備に取りかかった。




