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第1章 現実から仮想世界へ

開いていただきありがとうございます。

ゲームが好きな人に読んでもらいたい、自分がやりたい未来のゲームは何か、そんな事を想像しながら書きました。

AIさんに添削、アドバイスを貰いながら書いてます。AIの編集者さんが付いているようで中々これが面白いです。皆様のひと時に寄り添えたら何よりです。

高校生になってすぐの頃、

右足に大怪我をし、順風満帆の人生で初めての挫折を味わった。


ボクシングの試合への復帰には半年かかり、次第に身体は痩せ衰え、焦りだけが募っていく。


念願の復帰試合、思うように身体がついていかず、見切った一撃を食らい敗北。


試合に負けた悔しさよりも、自分の内側に芽生えた“違和感”の正体が気になっていた。


---


 暗雲とした気持ちを晴らしたのは、最近気晴らしにやり始めたゲーム。


 大手ゲーム会社が、新たな仕様を打ち出した。


 **眼鏡型VRデバイスによる、現実同期型ゲーム。**


 コントローラーは存在しない。

 操作は直感的で、装着者の脳波や神経信号を直接読み取る。


 レンズ両端に搭載された小型ユニットが、

 反射神経、空間把握、間合い感覚――

 さらには無意識の癖までも解析し、

 VR空間のアバターへと反映させる。


 現実の身体が、そのまま操作コントローラーになる世界。


 革新的だと称賛される一方で、既存のゲーマーやゲームをしない者からの反発も少なくなかった。


 同じボクシング部に所属する幼馴染の紗良は、ゲームをしている自分に何も言わなかった。

 ただゲームに夢中になるにつれて、次第に紗良との交流が減っていく。


 そんな事は深く考えないようにしていた。


---


 夜。


 シャワーを浴び終え、ベッドに腰を下ろした迅のスマホが震える。


 通知を開いた。


> やっほー

> ゲームしてる?

> 私も新作買ったぜ( ・´ー・`)どや


 送り主は、もう1人の幼馴染の美咲からだった。


 小学生の頃からの幼馴染。

 最近はあまり会っていなかったが、

 ゲームの話題になると、なぜかこうして連絡が来る。


 迅は少し迷ってから、短く返す。


> まだ全然分からない


 数秒後。


> まじか

> じゃあホスト立てるから来なさい

> 初心者歓迎(逃げ不可)


 「逃げ不可」という文言に小さく息を吐き、

 迅は眼鏡型のVRデバイスを手に取った。


---


 視界が暗転し、次の瞬間、無機質なアリーナが広がる。


 迅のアバターは初期テンプレートだった。

 簡素な装甲の人型モデル。

 武器は片手剣と盾。

 特徴も個性もない、基本のアバターである。


 そこへ、美咲のアバターが現れる。


 数秒の沈黙。


「……ちょっと待って」


 一拍置いて、続ける。


「迅、そのアバター……それで来たの?」


 迅は頷いた。


「最初からこれだったけど」


「……正気?」


 信じられないものを見るような声だった。


 美咲は迅のアバターの周りを一周し、

 頭から足先までをじっと観察する。


「いやー……テンプレはさすがに面白くないよ」


 そう言うと、即座にシステムメニューを開く。


「ちょっと待って。今から作る」


「作る?」


「アバター」


 即答だった。


 数値をいじり、フレーム構造を組み替え、

 用途を“カウンター特化”へと振り切る。


 紫色のラインが走る、アンドロイド型モデル。


 無駄のないシルエット。

 瞬発力を最大限に引き出す設計。


 名前入力欄で、美咲は一瞬だけ迷い、

 それから打ち込んだ。


 《紫電》


「はい、プレゼント」


 あまりにも軽い言い方だった。


「迅向き。ボクシングやってるからカウンターとか似合うんじゃない笑」


 迅は戸惑いながらも、アバターを切り替える。


 紫電は、迅の身長と体格を基準に作られていた。

 視線の高さも、現実とほとんど変わらない。


 走る。

 拳を振る。


 ――速い。


 思った通りに、身体が動く。


「……武器は?」


 身体を伸ばしながら訊ねると、

 美咲は当然のように答えた。


「拳だけど」


「……は?」


 一瞬、言葉を失う。


 相手が武器を持っている中で、素手――

 常識的に考えて、無茶だ。


「言っとくけど、格闘キャラはかなりTier高いよ。

 負けたら、迅の才能がないだけだからね〜」


 軽口。

 だが、その裏に確信が滲んでいた。


 才能がないの一言に迅はわずかに静かに、闘志を燃やす。


「……やってみる」


「うん。軽くね」


 美咲はトレーニングモードに設定を切り替えた。


 目の前に現れたのは、

 先ほど迅が使っていた片手剣使いのアバターだった。


挿絵(By みてみん)

 迅は息を整え、拳を構える。

 重心はわずかに低く、それでいて身体は軽くー。


 いつものボクシングスタイル。


 迅のアバター――紫電が、それに呼応するように淡く光る。

 装甲に走る紫のラインが、雷のように明滅した。


「へ〜、様になってんじゃん。さすが私♪」


 美咲は自画自賛しながら、少し後ろで見守っている。


 向かいのアバターが動いた。


 正面に盾を構え、片手剣を振るう構え。

 守りと攻めが一体になった、隙のない初動。


 迅は反射的に後方へ跳ぶ。


 ――速い。


 相手は間を詰め、連続して斬撃を繰り出してくる。

 剣閃が迫り、すんでのところで躱す。


(リーチが違いすぎるだろ……!)


「こらー、逃げんな〜!

 それじゃ練習になんないでしょ〜」


 美咲の軽口に、迅は思わず顔を歪める。


(そんなこと言ったって……)


 懐には盾がある。

 前に出れば、即座に弾かれる。


(全然、隙がないんだよ!)


「じゃあ、盾のないとこ叩けばいいんだよ〜」


(無茶言うな!)


 やり取りなどお構いなしに、敵アバターは攻撃を続けてくる。


 迅は集中する。


 どこか――

 どこかに、攻撃できる“点”はないのか。


 片手剣の剣先が迫る。


 次の瞬間。


 ――バァン!!


 音が弾けた。


 無意識だった。


 紫電の鉄の拳が、

 片手剣を握る敵アバターの手首を正確に捉える。


 剣の軌道が逸れ、

 刃は地面に突き刺さった。


(今――!)


 迅は、迷わず踏み込む。


 敵アバターは盾を振り抜き、こちらを吹き飛ばそうとする。

 体勢を立て直すための動作。


 だが、その一瞬。


 盾の影から、ボディがわずかに露出した。


 ――カウンター。


 紫電の拳が、閃光のように腹部を貫く。


 攻撃を受けながらも敵アバターがなおも振り払おうとする。

 迅はそれを躱し、さらに加速した。


(速い……!)


 紫電の胸部にあるコアが、淡く輝きを増していく。


 ジャブ。

 フック。


 カウンターの応酬に、敵アバターが明らかに怯んだ。


〈スキル使用可能〉


 紫電のデバイスが、静かに告げる。


 敵アバターは盾を捨て、

 両手で片手剣を握り直す。


 真上から、渾身の振り下ろし。


 その瞬間―


 雷鳴のような音。


 カウンターが、敵アバターの顎を正確に打ち抜いた。


 渾身のアッパー。

 敵アバターの身体が宙に浮く。


〈KILL〉


 アリーナに、無機質な表示が浮かび上がった。


「……はー」


 美咲は、思わず息を漏らす。


「想像以上……」


 立ち尽くす紫電を、

 感心したように、そして少しだけ警戒するように見つめる。


「やー、お疲れさま!」


 美咲が軽く手を振る。


「めっちゃ使いこなしてるじゃん〜。

 やっぱ体の使い方、上手いね!」


 操作ログを確認しながら、素直に褒める。


 迅は紫電の胸部――淡く光るコアを、指でコツコツと叩いた。


「なあ。

 カウンター決めた瞬間、急に速くなったんだけど。

 あれ、どういう仕組みだ?」


「あ、それね」


 美咲は楽しそうに言う。


「この前手に入ったレアパーツ。

 《反逆の坩堝》って名前」


 画面に簡易ウィンドウが表示される。


「相手の攻撃に対して反撃を成功させると、

 反撃の威力と装着者の素早さが上がるパーツだよ」


「レアパーツって……」


 迅は思わず言葉を詰まらせる。


「いいのかよ。俺が貰っちゃって」


「いいよー。あげるあげる」


 あっさり言い切る。


「ていうか、そのパーツ、デメリットもあってさー」


 美咲は肩をすくめた。


「カウンター失敗すると、

 せっかく溜めたバフが全部消えるんだよね〜」


「……なるほど」


「ピーキーすぎて、私には無理!」


 笑いながら言うが、本音だろう。


「そっか」


 迅は少し考えてから、頷いた。


「なら、貰っとく。ありがとう」


 礼を言うと、美咲は「ニシシ」と悪戯っぽく笑った。


「で? どうだった?」


 一歩近づいて、訊ねる。


「紫電の使い心地」


「……体は軽いし、踏ん張りも利く」


 迅は言葉を選びながら答える。


「動かしてて、すごくしっくり来る……と思う」


「でしょ?」


 美咲は満足そうに頷く。


「紫電のパーツは、

 俊敏性と機動性重視で固めてるからね〜」


「その分、近接タイプにしては耐久力に難ありだけど」


 さらりと続ける。


「武装が格闘だと筋力補正が入るから、

 ある程度なら正面からでも殴り合えるよ!」


 ――あの一瞬で、そこまで調整したのか。


 迅は驚きを通り越して、少し呆れた。


「さて」


 美咲が手を叩く。


「新アバターの調整も終わったし」


 にっと笑って、言う。


「さっそく外に出てみよっか」


 一瞬の間。


「――バトル・シティ・オブ・スペース」


 誇らしげに。


「通称、**bs**の世界へ!」


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