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亡霊の隊列  作者: 霧狼
第三章

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月影の追撃者 ― セレーネのアスラ ―

本日4話目です


 ニビのLCと10機のPTが展開した完璧な防御陣により、アイゼン・ガルドの包囲網は塵へと消えた。  だが、安堵の息をつく暇さえ、戦場は許さない。


「……ニビ、空を見ろ。嫌な予感がする」  ロウが漆黒のLCの破損したメインカメラを上空へ向けた。


 ルナ・カノンの衛星軌道、蒼く輝く『セレーネ・データム』の影から、紅い流星が一条、地表へと突き刺さるような速度で落下してくる。


『――熱源接近。このシグナル、アイゼン・ガルドの量産機じゃない。……ネオ・シオンの、アスラだ!』


 ニビの警告が響くと同時に、荒野に凄まじい衝撃波が巻き起こった。  爆煙の中から現れたのは、かつてロウたちがアステリアで破壊したはずの機体。しかし、その姿は禍々しく変貌していた。全身に銀色の追加装甲リアクティブ・アーマーを纏い、背部には衛星軌道からの大気圏突入を可能にする巨大なブースター・ユニットを背負っている。


「……阿修羅アスラ。地獄から舞い戻ってきたってわけか」


 アスラの頭部センサーが、獲物を定めた猛禽類のようにロウの機体をロックした。  直後、アスラの四本腕がそれぞれ異なる重火器を構える。上段の腕には高出力のプラズマ・カノン、下段には大型の超振動ブレード。


『ロウ、下がれ! そいつの出力は以前の1.5倍……セレーネの直系データで強化された、連邦軍の「完成形」だ!』


 ズドォォォォォン!


 アスラから放たれたプラズマ弾が、ニビの展開していたPTの2機を一瞬で蒸発させた。  アスラは機体から不気味な排気音を漏らしながら、重力に従わないような高速スライドでロウの懐へと肉薄する。


「ニビ、PTの指揮に専念しろ! こいつの相手は、同じ地獄を見てきた俺がやる!」


 ロウは片腕を失った漆黒のLCを強引に跳躍させた。  頭上から降り注ぐアスラの四本腕による連撃。大気を切り裂く振動波が、ボロボロの装甲をさらに削り取っていく。


「(……来るなら来い。セレーネの化け物だろうが何だろうが、俺たちの歩みを止めることはできねえ!)」


 背後に施設を守るキーヨ、隣には運命を共にするニビ。  ルナ・カノンの赤い砂塵が舞う中、再び「亡霊」と「修羅」の、命を削り合う死闘が幕を開けた。



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