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第2話   やさしくして

「おいおい、せっかくいい話をしてたのに、そりゃないだろ」


『そんなこと言ってる場合ですか!? 警告音アラーム、聞こえてますよね!? 限界高度を超えています! 帰投してください!』



 コックピットの中は相変わらず、けたたましい音と警告の表示の赤で、ずいぶんと賑やかだ。



「聞こえてるさ。うるさいもん。けどな、モコナ伍長。これは、高度上昇飛行試験だぞ? 限界値のデータを取るためのテストだ。現に、警告が出てからもこうして飛べてるだろ?」 


『キョウヤ少尉が、さっきの変なお話を始めてからずっと鳴りっぱなしですよね!? いつ墜ちてもおかしくありません! 今すぐ帰投してください!!』

 


 変な話とは何だ。まったく。


 セリフのとことか、けっこうがんばったのに。



 ……ただ、まぁ……また、泣き出されても困るな……。



「了解。高度上昇飛行試験を終了する。これより、本機は着…………ん?」


『少尉?』



 コックピット内が暗転する。

 一瞬の浮遊感の後、急激なGが全身を襲った。



「機関停止。システム、ダウン。……これより本機は自由落下モードに移行する」


『……つ、墜落ですよね!? だから言ったじゃないですかっ!! 直ちにシステムの再起動を!! 少尉!?』


「大丈夫だ。……システム、再起動確認。各部チェック……まあ、そうだろうな」



 再び、警告音と赤い表示が、狭い空間を満たす。



『モニター、出来てます! スラスター、バーニア、共に機能停止……!』


「自由落下モードに移行する」


『だから墜落ですよね!? ……これ以上は無理です! 脱出してください!』


「貴重な試作機だぞ? これ一機にどれだけ金がかかってると思ってるんだ?」


『どのくちが言ってるんですかッ!!!』



 ……っつ……! 俺の耳も心配してくれ。

 試作機ってのは、通信だけ他と別機構なのが考えものだな。こっちからは切れないし。



「大丈夫だって。想定済みだ」



 制動傘(ドローグシュート)を開く。

 いくぶんか、Gが軽くなった。



「よし。お次は……」



 ……ん? 


 パラシュートが開かない。



『少尉?』


「開かないなあ」


『少尉!!』


「怒るなよ。おーい、悪い、頼む」


『了解っ。先輩、後でちゃんとおごってくださいよ?』



 テストパイロットチームの後輩、ケネス・オーキッドの声が届く。

 未来永劫、万年少尉の俺と違って優秀な奴だ。



「そういうのは、仕事してから言うもんだ。……俺を捕まえられるかな?」



 右上空から、量産型の【ガネット】の機影が近づく。



『いやいや、落ちてるだけですから。……とはいえ、もうすこし早く呼んでくださいよ。ドローグ出てるとはいえ、落下速度すごいんですから』


「そう簡単には捕まらないぜ?」


『捕まってくれなきゃ、困ります! オーキッド少尉、お願いします!』


『了解っ。……俺のこともそろそろ、ファーストネームで呼んで欲しいなぁ』


「心の声が漏れてるぞ。少年」


『歳、三つしか変わらないでしょ。……よ……っと…キャッチ!』



 ……ふ…っぐ……!!



「……ねえ……もっと、やさしくして……」


『気持ち悪い言い方しないでくださいよ』



 舌を噛むどころか、あやうく全身の骨がバラバラになるところだ。


 ケネスの【ガネット】にドローグシュートのロープを掴まれ、俺の試作機は、まるで親猫に運ばれる子猫のような恰好で基地へと帰投した。




登場人物は、まるかぶりを防ぐために一応調べるようにはしてるんですが、モコナ伍長が某ビッグタイトルの人外キャラとかぶってて(´・∞・`;)ちょっとあせりました


序盤に「あれ」があるので、おもいっきりカワイイに振り切った名前の子を登場させておきたくて ”(´・∞・` )

最初は「モモナ」だったんですけど、「呼びにくいな…(´・∞・`;)」ということで…

「もこもこ」な「スノウ(雪)」ですw (´・∞・` )あ、名字「スノウ」です

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