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せっかく転生したんだから、俺様最強無双したいのに、何故かパーティ全員からヒメプされてる。〜最初から好感度もMax〜

作者: 海なし県

作者は、ボーイズラブの要素を含ませた気はございません。


登場人物は全員男です。



 俺は転生し、第2の人生を歩んでいる。


 一回目の人生は、小さな病室の中が全てだった。


 いや、逆に病室で読んでいたマンガが全てだった。


 ジャンルは、仲間たちと旅をしてダンジョンを攻略していく冒険ファンタジーで、同じような内容のものだって構わないからと買ってもらえるだけ買ってもらった。


 主人公を自分だと思って読むことにしていた俺は、特に“主人公が最強”の類が大好きだった。


 仲間のどんなピンチも颯爽と助けるヒーロー。


 仲間達が一番頼りにしている存在。


 そんな、皆から必要とされる主人公を自分だと思いこむことで、俺は仲間達と“生きている”感覚を味わっていた。


 仲間どころか、友達1人すらできることのない俺にとって、マンガの中に出てくる“主人公の仲間達”が唯一の仲間だった。


 小児ネフローゼだった俺は、長く生きたほうだったけど、中学二年生という一番妄想と願望が膨れ上がる時期に死を迎えた。


 死ぬ直前は、何となく自分でわかるもんらしく、あぁ、俺今日までかと誰に言われなくてもわかった。


 だからこそ俺は、死ぬ瞬間までずっと第二の人生を願った。


 強く、強く、強く。


 叶えてくれるのが神じゃなくても、女神じゃなくても良かった。


 トラックにすら轢かれることを許してもらえない俺が、神に愛されている気はしなかったから。


 悪魔がこの魂を欲しがって、そのために願いを叶えるとかでも全然良かった。


 そのくらい、絶対に転生したかった。


 丈夫な体で、強くて、かっこよくて、いまの俺とは真逆の俺様として生まれ変わって、


 仲間達がピンチの時、やれやれと言いながら助けたかった。


 皆が、すごいなって、お前が居なきゃなって言ってくれるから、しょうがねぇ奴らだなって言いながら旅をしたり、酒だって飲み交わしたりしたかった。


 そんないつもの妄想のはずなのに、死ぬその時は涙が出た。


 涙なんて、チンコに管を入れられる検査の時ぐらいしかでたことないのに。


 そんな事を思いながら、俺の意識はブラックアウトしていき



 目が冷めたら、体が縮んでいたりはしなかった。


 でも、俺なのに、俺ではなかった。


 薬の副作用でクソデブだった体は、鍛えられていて丈夫そうだし、顔や手足のむくみもしびれも無かった。


 起きてすぐなのに、目だってぱっちり開けられる。


 あの独特の気怠さや息苦しさがなく、部屋だって真っ白じゃなかった。


 俺は、転生したのだとわかった瞬間、また泣いた。


 でも、最強の男になるやつが泣くとか絶対にダセェから、必死に袖で拭った。


 病院のペラッペラな服じゃなかったから、少しザラザラして目にいたかった。


(痛い。夢じゃない。)


 顔を洗って、鏡に映る自分を改めてしっかり見る。


 やっぱり赤ちゃんじゃないし、家の中に家族らしい奴らはいなかった。


 赤ちゃんから今までの記憶が無いけど、前世の14年分の記憶はあるし、生活していく事への不安はなかった。


 今日を“俺様”の誕生日にすることにして、過去の“俺”から卒業することにした俺様は、すぐに所持金の確認をして、武器屋に行き剣を買った。


 俺様の住むココは、割と大きめの街のようで、武器や食べ物に困らなそうだったし、中心部には、マンガにしかないと思っていた冒険者達を管理をする役場“ギルド”があった。


 テンションがバク上がりしたのはしょうがない。


 そのテンションのまま、自分がどれくらい強いのかを確かめるために、街外れまで全力ダッシュして、人目のない場所の木を試し切りした。


 マンガみたいに、太い木をバッサリ切る事ができた俺様は、震えるほど感動した。


 感動したまま、またダッシュで冒険者ギルドへ突撃し、爆速で登録を終える。


 主人公が仲間に会うのは、大抵ここだ。


 ここで、先輩面した奴らに絡まれるのを待つべきか、


 たまたま目についた“誰もやりたがらないクエスト”を選択して、クエストのレベルを超えている“”この街の危機的なやつ“”を解決して戻ってくるべきか、


 大勢の人が参加しているクエストに一匹狼で参加して、皆がピンチの時助けるべきか。


 仲間ができるシュチュエーションを知り尽くしている俺様は、逆に決めあぐねていた。


 今日のクエスト募集!とポップに書いてある掲示板の前で、無数に貼り付けてある依頼書を見ながら、色んなパターンを想像する。


 仲間になるなら、気の合ういい奴らがいい。


 女の人はなんか…………、話すことないし、できれば男の。


「お前、それ1人で受ける気か?」


 声をかけられ振り返ると、俺様より5センチくらい背の高い、紺色の髪と目の男が立っていた。


 優しげな声のそいつは、服装からして魔法的なものを使う、貴族かなんかの出身のヤツだろうなと思った。


 (こいつは、最初は剣だけの俺様を侮っていたのに、強さと自分にないモノを持っている所に尊敬の念を抱いて、最終的に一番の理解者は自分だと自負し始めるタイプだな。)


 何も話さない俺様に、他の奴らと違うものを感じたんだろう。


 紺色の男は、握手を求めるようにスッと手を伸ばしてきた。


 何を喋るべきか考えていた俺様は、もちろんこの手を予想なんかしてなかったけど、そいつは構わず話し出す。


「僕達と、一緒に…」


 言葉を最後まで言えなかったこいつを見て、俺様はすぐ理解した。


 こいつ、ボッチだったんだ。


 貴族で、プライドもあって、顔もいいから、男子にハブられてきたタイプのやつなんだと瞬時に理解した有能な俺様は、ため息をつく。


 そのため息を勘違いしたそいつの肩がビクッと強張ったのを見逃さなかった。


「しょうがねぇなぁ。」


 俺様は、そいつの手を取ってやる。


 初めてした握手は、緊張しまくってるそいつの手が冷たすぎたせいで、想像の何倍も冷たかった。


 よほど嬉しかったんだろう。


 そいつは、笑顔になるどころかボロボロ泣き始めるし、そのまま両手で俺様の手を包みこんで力を込めてくる。


「僕がお前を…………幸せにしてみせる。」


「ちょっとセリフ間違ってね!?」


 あまりにボッチだと、人との会話でパニクる気持ちはわかるし、テンションがおかしくなるとおかしなことを言ってしまうのもよくわかるけど、


 あとから思い出してぁ゙ーーー!!ってなるのは言った本人なのでやめといたほうがいい。


 言われたのが俺様だったから、イジメの対象にしたりとか絶対無いけど、


 そこら辺の奴らだったら、キモい奴と勘違いされてひかれる発言だったはずだし、キモい奴はハブられてしまう。


 他の奴らに聞かれてたら可愛そうだと辺を見回したら、3人も知らないやつがじっと俺様達を見ていた。


 正確には、ギルドの中にいる人達のほとんどが“なんだあいつ等”的な目で見てたけど、その3人だけ明らかに違う。


 めっちゃ怒って俺様達を見ていた。


「「「ミオソティス!!!!」」」


 3人が口を揃えて叫んだ言葉は、どうやら俺様の手を握っているこいつの名前だったようで、今まで泣いていたのにムスッとした顔に変わる。


 いじめか?と心配になったけど、そんな悪い奴らには見えなくて、俺様は構えることができなかった。


 俺様の勘は正しかったようで、この3人はこいつ、ミオソティスの仲間達だったし、


 どうしても俺様と仲間になりたいと懇願してきた。




 それから俺様達は、毎日行動をともにしてダンジョン攻略等をしている……。


 それはいいんだけど…。


「その汚い手でナトリに触れられるな!!」


 そう叫んで、ゴーレムを烈火の炎で燃やし尽くすのをやめてあげてほしい。


 ゴーレムに土がついてるのはしょうがないだろ。だってゴーレムだぞ。


 でも、こうなってしまったミオソティスは止まらない。


 だって、誰も止めてくれないから。


「ナトリに傷一つ付けさせたりしませんよ。私のこの力は、このためにあるのですから。」


 いや、その力は世界平和のために努力して手に入れたやつだって言ってたし、俺様は男なんだから、そんな過保護しなくていい。痛いのだって慣れてる方だって言ってるのに。


 そんな事言ったって、光り輝くもう一人の仲間“ヒマワリ”には意味がないし、多分聞こえない。


 ヒマワリの力は浄化の効果もあるから、光が届く範囲のアンデット属性達は逃げ惑い、毒属性のスライムなんかも、隅でガタガタ震えていて可愛そうだ。早く逃げていってほしい。


「ナトリ!このドロップした素材と、あそこで見つけたこの剣と、金貨やるよ!あと似合いそうだからこのネックレスつけてろ!俺がさっき付けてたけど、脚力が強化される気がするし!」


 俺様の返答を待たずにネックレスをかぶせてくるのは、もう一人の仲間であるリンドウ。


「こっちのブレスレットのほうが似合うはずだし!体力の向上の効果もあるから!あと素材のままで渡されてもナトリは困るんだよ!俺が完璧な装備に作り変えてやっと意味をなすんだよ!」


 俺様にブレスレットを素早くつけ、なんかよく知らんうちに討伐されてた“このダンジョンで最強の翼竜”の牙と皮をリンドウから奪ってカバンへしまい込んでいるのが、四人目の仲間アケル。


 でも、後で牙と皮はギルドに提出させないといけない。


 俺様の装備のために来てないだろ。今回のクエスト達成条件が、翼竜の討伐で、その証拠として、この牙と皮を提出すると言われてただろ。


 なんでいつも忘れて、俺様の装備にしようとしちゃうんだよ。


 俺様装備いらないじゃん。今回も服に土すらついてないじゃん。


 疲労だってないし、また帰ってお前らのご飯作って終わるじゃん。剣より包丁の方が使ってる時間絶対に長いじゃん。


 洗い物までお前らやるじゃん。肉とか野菜もお前らが見つけてくるし、調味料や新しい調理器具もお前らが買うから、俺様金貨すらいらないじゃん。


 なんだか、リンドウに手渡されたカッコイイ剣が俺様と似合ってない気がして、手に力が入っていく。


 この気持ちを、どこへ向ければいいのかもわからなかった俺様は、頑張ってくれていた皆に礼も言わず、岩場に生えているキノコに向かって思いっきり剣を振り落とした。


「“木の子”なのに岩に生えてんじゃねぇよ!!」


 八つ当たりだって?


 あぁ、八つ当たりだよ!


 なにか悪いか!


 思いっきり八つ当たりしてやったわ!仲間たちは何一つ悪くないのに!キノコはもっと悪くないのに!


「ぐあぁ!」


 何も悪くないはずで、何も喋らないはずのキノコから悲鳴と、キノコだったらありえない、パキンと石のような物の割れる感覚、同時に腕に伝わってくる、ガスっという鈍くて重い感覚が混乱を呼ぶ。


「え?」


 目の前で、キノコだと思っていたモノがぐにゃりと姿を変え、見知らぬ男が倒れ込んだ。


 びっくりしてよく見ると、そいつの腕輪が割れている。


 多分、相手の目を欺くアイテムだし、多分じゃなく、俺様が砕いてしまった。


「クソっ……、足手まといがいる噂は、嘘だったのか…。」


 男は、そう言いながら俺様を見て気絶した。


 皆が一気に俺様によってくる。


「ナトリ!お前いつから気がついてたんだ!すごいな!」


「俺達の金貨やアイテムを盗むために、影から襲ってくる気だったんだね。本当に危なかったよ。気配を完全に消してたから、ナトリが強かっただけで雑魚では無かったと思うし。」


「良かったです……。今日も全員が無事で帰ることができるなんて。これ以上の幸せはありません。」


「守る気でいて、いつも守られるのは僕たちだな。」


 本当に嬉しそうな皆は、俺様を中心にして出口へ向かい出す。


 俺様がいなかったら、こいつらはあいつに怪我を負わされていたかもしれない。


 それは、俺様だって許せることじゃなかった。


 俺様のパーティを、他の奴らの好きになんかさせない。


 皆、ナトリナトリと俺様の名前ばかりだして笑っている。


 こいつら、俺様がいねぇとだめだから。


「しょうがねぇなぁ。」






 ギルドに牙と皮をなんとか提出させ、今晩は俺様が全員に飯と酒を奢った。


 遠慮されたら嫌だから店のメニューほぼ全部頼んだし、値段に見合う味で悪くなかったのに、皆は食べながら俺様の料理の話ばっかりしてた。


 またこの前のアレが食べたいとか、コレを食べた時感動したとか、酒もまわり始めると声が大きくなってくる皆を、店の中で恥ずかしいからと咎めたけど、こいつらは止まらない。


 最終的に、新しい料理も食べてみたいとかで食材(本来食材じゃない)を狩りに隣町のダンジョンへ行くクエストを受けよう!と盛り上がり始めるから、明日からまた俺様が晩飯を作ることになると思うし、明日の朝だって、起こすのも朝食を用意するのも俺様だ。



 俺様が読んでいたマンガと、違った生活。


 でも、



「ナトリ!今度こそ僕達が幸せにしてみせる!」


「私達です!達ですよ!私達皆で世界一の幸せを掴むのです!」


「そうだ!世界の平和なんかしるか!俺達の平和のための拳だ!」


「そのために、世界もまあまあ平和に保つんだよ筋肉バカ野郎が。ナトリの大切な鼓膜がその大声で傷ついたらどう落としまえつけんだ?」


 酔っ払って支離滅裂に好き勝手言ってるこいつらを、無事に宿まで連れていけるのは俺様しかいないから。


 酔っ払ってても、酔っ払ってなくても、“ナトリ”“ナトリ”と頼ってくるから。


 やっぱり、こいつ等には俺様がいないとだめらしい。



「しょうがねぇなぁ。」




 


 



読んでくださりありがとうございます!


素人の作品で、読みにくいところが多くあったと思います。


読んでくださる方が、今後の作品投稿の励みになります。


まだ一度も評価をしてもらえたことが無いので、もししていただける方がいらっしゃいましたら、是非お願いいたします。


もう一度、読んでいただけたお礼を言わせてください。


ありがとうございます。

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