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僕と介護の道  作者: oka9
8/10

指導と実習の危機?

『お疲れ様です酒井さん。送迎から戻りました』

『お疲れ様田中さん。送迎で問題はありませんでしか?』

『ええ。特に問題はないですね』

ワーカー室の中で送迎から帰ってきた介護士の田中さんと記録を書いている酒井さんが話をしてる。

送迎は、専属のドライバーさんが担当したり、介護士や相談員が行くこともある。送迎は車を使用するので特に事故などを気をつけることになるので神経を使う事になる。

事故だけを気をつけるだけではなく、その日の利用者の名簿、迎えに行く場所の確認をして、迎えに行く順番等も考えないと行けないから中々大変だ。

『そういえば、今日からでしたっけ?津久理高校の学生が実習に来るのって』

『ええ。彼らはもう実習を始めてますよ。素直でいい子達ですよ』

『明日の指導担当は僕だから楽しみです』

酒井さんと田中さんはコーヒー飲みながら談笑していた。


『いいぞ坊主!勝てよ』

フロアから男性の声が聞こえる。他にもちらほら他の利用者の声が聞こえる。

『やっぱり若い子達が来てくれると利用者さんにも活気が出ていいですね』

『そうだね。初めての実習なのに、利用者さんとの接し方も特に問題なさそうだったしね』


『よっしゃー!!今度こそ勝ったぞ!』

今度は若いこの声だ。それにしても何をしてるんだろう。勝ったって言ってるから利用者さんとゲームでもしてるのかな?

『それにしても、本当に今日は賑やかだね何やってるんですかね?』

田中さんがワーカー室から顔を出して、フロアを見渡す。

ブフッ!!

田中さんがコーヒーを口にしてたのを盛大に吐き出した。

『田中さん!?どうしたの!?』

『酒井さん!すごいことになってますよ!?』

すごいことってなんだ?

フロアを見渡す。

フロアのテーブルが置いてある場所で、利用者さん二人と実習生の二人が麻雀をしている。けど、なんで実習生の二人はパンツ一丁なんだ!?


『よっしゃあ!カントやっと勝てたね!』

『おうよ!いつも麻雀やってるからな』

僕とカントは利用者さんの松尾さん、小林さんと何回か麻雀勝負してたけど、この二人が強い。

僕とカントは負け続きで気がついたら既にパンツ一枚の姿になってしまった。

でも今回は勝てたから二人の昔話が聞けるからコミュニケーションが取れていいぞ

『ちょ、ちょっとちょっと!二人とも何してんの!?』

僕たちの後ろから酒井さんの声が聞こえる。何か慌ててるみたいだけど、何かまずいことしたかな?

『あっ酒井さん。何って利用者さんと麻雀ですけど、問題ありましたか?』

『いやいやいや、麻雀はいいよ?けど何で裸なの!?』

麻雀をしていて怒られたわけじゃないな?裸が不味かったのか

『と、とりあえず。服を持ってワーカー室来てくれるかな』

『はーい』


服を持って僕とカント、酒井さんはワーカー室の奥にある休憩室に通された。休憩室に入って僕とカントはとりあえず服を着た。

『それで?なんで裸だったの?』

酒井は疑問だった僕とカントが裸だったことを聞いてきた。

僕たちは麻雀をする事になった経緯と面白い事をするって話を酒井さんに話した。話してる途中から酒井さんの顔色がどんどん暗くなっていってるのは気のせいだろう。

『はぁー。なるほど、君たちはコミュニケーションの一種で麻雀をして、利用者さんとの距離を縮めるために裸、、、面白い事をするってなったんだね』

酒井さんは下を向きながら頭を抱えている。

『麻雀をする事は問題ないよ?でもね。公共の場で裸になるのはダメだよ』

『ごめんなさい』

僕とカントは素直に謝った。確かに裸になるのはやり過ぎたしね。

『まぁ二人とも初めての実習だし、利用者さんとの距離を縮めたいって気持ちも理解するから。まぁ、今回は実習中止にはしないけど気をつけてね』

、、、中止?危なかった。中止になったら国家資格取得どころか進級すら出来ないところだった。

『申し訳ございませんでしたー!!』

カントも中止の言葉を聞いて余程焦ったのか、僕とカントはほとんど同じタイミングでさらに謝罪をした。

『中止にはしないけど一応先生には報告はしておくからね一応』

僕とカントはさらに血の気がなくなっていくのを感じた。


『じゃあ、二人とも残りの実習もあるんだから気持ち切り替えてね』

『はい』

僕とカントの返事も覇気がなくなっているのを感じた。

席を立ち休憩室から出ようとした時、酒井さんから声がかかった。

『ところで、君たちは裸になる事が好きなのかな?』

好き好んで裸になるのは露出狂だけだよ。

『いえ。僕はあくまでゲームとして脱いでいたので好きではないですけど、彼は裸になることに慣れていますから』

『そうですね。裸になる事は慣れて、、、待ってカント』

『そうなのかい?高尾君?』

『い、いえ。好きではないです!!カント君が勝手に言ってるだけです』

酒井さんは笑っているように見えるけど、目が笑ってない。

『そうですか。なら結構です』

やっぱり目が笑ってないんだよな。


ワーカー室を出て、フロアに戻る途中にアイトとエイタに会った。

『二人ともねー。ここは学校じゃないんだから服脱がないでよ』

『ほんとだよ。こっちまで変な目で見られるだからさ』

二人は呆れ果てた顔で僕たちにそう話す。

『ごめん。つい熱くなって』

『わりーな。次から気をつけるよ』

二人にも謝罪をして僕とカントはフロアに戻る。


『おっ!坊主たち帰ってきたぞ』

『介護さんに怒られちまったか?』

利用者さんの何人かが僕たちに声をかけてくれる。

『はい、、、すみません。見苦しいことをして』

僕は利用者さんたちに謝罪をした。けれど利用者さんたちは笑顔で答えてくれた。

『いいんだよ。ワシたちも楽しませてもらったからな』

『そうそう。いつもと違って楽しかったよ』

なんて優しんだ。酒井さんだけじゃなくて、利用者さんも優しいなんて。


『やっぱり芸人さんになるための学校に通ってるから、君たちは面白いね』

ん?芸人?

『早く、売れて頑張るんだよ』

売れて?

どうやら僕たちの事を介護の実習できた学生ではなく、芸人の見習いだと思ってるのかな?


『あの、、、僕たち介護士になるために、こちらに実習に来たので、芸人ではないんですよ』

申し訳ないがここはしっかり訂正しておかないと。

『なんだ、介護さんになりたいんか?芸人の方が向いてるんじゃないか?』


僕とカントは向き合って腕を交わす。どうやら、カントも同じ考えのようだ。


芸人に間違われないように絶対介護福祉士取得してやる!!



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