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異世界行ったら龍姫が俺の嫁!?  作者: じぐざぐ
第弐部 俺の封印
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第92話 俺の修行

「それで俺はいつまで、その、初代様……いえ師匠、私はいつまで師匠の言いつけを?」

「私がいい、と思うまでだ」

「近々娘の入学式があるのですが……」

「そうなのかい? 間に合うといいねぇ」


……だめだこりゃ。こちらの事情は考慮して頂けないらしい。


「まぁ、そんな顔することもないよ、間に合うかもしれないしねぇ」

「それで、俺は何をすればいいんでしょうか?」

「うん、まず着ているものを全部脱いでこれに着替えてくれたまえ」

「え、と、下着もですか?」

「うん、全部」


言われた通り俺は渡された白い道着みたいな物を着る。


「まずは俗世の垢を落としてもらおうか、あの滝に私が良い、というまで打たれておいで」


なかなか過酷なことを言う。

仕方なく俺はじゃばじゃば川の中を進み、滝のそばまで近づく。


……おいおい、けっこうな勢いだぜ、これは……


振り向いて師匠の表情を見る。

にこやかにさっさといけ、的なジェスチャーをされる。


くそ! 滝がなんだ、やってやらぁ!!




◇◇◇


その後の俺の生活は修行僧そのものだ。

滝に打たれ、走らされ、精神統一の瞑想をやらされ、ヨガ的なこともやらされたな。

合間に麦飯、沢庵、菜っ葉入りの汁という貧相な食事を摂って短い睡眠時間。

時々魔女先生がパンツを見せに来た。


「アホか、ワシは差し入れに来てるんじゃ、ホレ、有難く頂戴せよ。かかか、もちろん、こんな生活に潤いが欲しいがため、魅力的なワシのスカートの中を覗きたくなる気持ちもわからんではないがの、かかかか」



だがこの差し入れしてきてくれる果物がうまい。

いつも貧相な食事なのでちょっとしたご褒美気分だ。

桃みたいのやらリンゴみたいのやらスイカやメロンみたいな時もあった。


「魔女先生、毎日持ってきて下さいよ、ここの食事はちょっと味気なくて……」

「かかか、そうしてやりたいがこちらにもの、事情があっての、来たくてもこれないんじゃ、我慢せい、かかか」


と言いながら果物を置いて


「これはのぅ、かか、頑張っている二の丸様にご褒美じゃ。かかか」


とわざとらしくパンチラしながらさっさと帰って行く。

……やっぱりパンツを見せに来てるんじゃねぇのか?

うんうん、しかし、たかが魔女先生のパンチラではあるがこの無味乾燥な毎日に少しだけの味付けはあるな、と心の中で少し思った。



◇◇◇



「こうちゃんはこっちに帰ってこないのかい?」

「よしてくださいよ、おじさん。俺は向こうに仕事もあるしさ、辞めらんないよ、こっちは仕事もねぇしよ」

「だべなぁ~、ま、わかっちゃいるけどさ、ほら、おばぁちゃんも年だもんだしなぁ」


これは夢だ。


幼い頃、年に一度、親父の実家へ帰省した時の。

師匠の元で生活するようになってからなぜか以前いた世界、日本にいた頃の夢をよく見る。

今日の夢はやけにはっきりしていた。

が、どうせ朝になったら忘れてしまうんだろう。

そんなたわいのない、今の俺には関係ない過去の夢だ。


「龍ちゃん、コレで遊ぼうよ!」


親戚の子たちが古いゲームを持ち出して誘ってくる。


「どぉ~やるのかなぁ~?」

「この線をTVに繋げるんだよ」

「付く?」


そんな子供らの後ろでは大人たちが不景気そうな顔で酒を飲みつつ会話を続けている。


「あ~薫ちゃんがな、いればなぁ~」

「おじさん、ねぇちゃんの話はよせって、お袋に聞こえるだろ」

「なぁんもだ、ばぁちゃん、もう耳遠いから、薫ちゃん、十五歳? 十四歳だっけか? 可愛そうにねぇ」

「見つかったのかい?」

「いんや、結局……通学途中のホレ、鞄だっけか? それだけだべ」

「したっけ、やるせねぇなぁ~」


俺はなんとなく親父たちが何を話てるのか気になってたが


「あ、ホラ、付いたよ、なにこれ、ふっる~い」

「ヘンなの」

「レトロって言うんだぜ」

「どれがスタートボタン?」


なんとか繋がった古いゲームの機械で俺は親戚の子たちとレトロなゲームに夢中になった。




◇◇◇



師匠の所へ来てから一ヶ月が過ぎたころだろうか? ある朝のことだ。

いつものように仁王立ちの師匠の前で正座で朝の挨拶をした後で師匠がいつものようにチャラけた感じで俺に言った。


「さて、龍之宮龍一、良くこの私の意味のないしごきに耐えた。褒めて遣わす」

「は、ははぁ~」


ん? ちょっと待て


「え~と師匠、今意味のないしごき、て聞こえたんですけど?」

「うん、意味なんかないよ、ちょっとこういう、弟子と師匠とか、修行をつける~みたいな、ことをやってみたかっただけなんだよねぇ」


え? ちょっと待てコラ! そんなことのために俺はこの一ヶ月、いやそれよりも大事な娘の入学式!!

……待て待て、俺、落ち着け俺、相手のペースに乗るな、ここでキレたらここに来た初日の時と一緒だろ? これは師匠のいつもの手だ。感情的になるな。


「ん、ん! なるほど、意味がなかったんですね、それでもう俺は合格? 卒業でしょうか?」

「あれ? 怒鳴らないね、つまんない……そうだよ、修行は今日で終わり、今日からは新たな段階に入ります」

「はぁ……そろそろ帰って肉が食べたいです。魚でもいいですね」

「なんだ、まだ俗世の垢が抜けきってないのかい? やっぱりまだ滝打ちが足りないのかなぁ~」

「あ~ウソです。冗談です。大丈夫です」


やばい、心の欲望が漏れてしまった。


「私としてもね、いつまでも君に関わってられない、て言うか、まぁ、ぶっちゃけ飽きちゃったっていうか……」


落ち着け俺、相手の揺さぶりに付き合ってはいけない。

心静かに、挑発に乗らず、受け流すのだ。


「と、言うことでもう一人、君の為に来て頂いた方がいます! はいドン!」


と、師匠が鳥居の方を指差す。

するとその鳥居から腰と胸に布を巻いただけの様な半裸の女性が歩いてきた。

薄い衣を纏って……なんというか……天女様のような……美しくも神々しい雰囲気の女性だ。

……彼女もまた、龍神様、なのか?


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