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異世界行ったら龍姫が俺の嫁!?  作者: じぐざぐ
第弐部 俺の封印
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第90話 御島

「父さまのバガーーーーーーーーー!!」


中型飛竜から降りた俺は不意打ちで我が娘にタックルで抱きつかれ十数メートルほど吹き飛ばされた。

多少は頑丈になったとは言え、長旅でやっと帰ってこれてこれだとさすがに効いた。


「うげっ」

「ばかばかばかばかーなんで入学式に来なかったのよー!!」


スイが倒れた俺にマウントポジションで容赦なく胸を連打する。

痛い


「ご帰還、お疲れ様です。二の丸様」


レイラがにこやかに俺を見下ろしている。


「兄さま、今回は長かったわねぇ~」

「二の丸様はいつも突然消えてしまうのですよ~」

「龍一、五体満足なのかしら?」

「龍ちゃぁ~ん、飛竜で行くなら私と行けばよかったのに~」

(あるじ)、お腹空いてない? 何か食べるか?」

「りゅうりゅう~、大丈夫?」

「龍! 不意打ちとは言え娘のタックルで吹っ飛ばされるとはなにごとだ! 帰ったら特訓だ!」

「龍一さんて……」

「ふっ我が半身、どうやら闇の組織との戦いよりの帰還、無事勝利したようだな」



奥様方がわらわらと寄ってきて俺とスイを見下ろしながら好き勝手なこと言っているが、まぁ深刻そうな顔が見えないので留守中はたいした事故もなく、てとこだろうか?

とりあえず俺はベソかきながらマウントポジで俺に連打し続けるスイを宥める。


「スイ、すまなかった。俺もお前の入学式は本当に楽しみにしていたんだ、参列できなくてごめんな」

「……悪いと思ってる? ……」

「思ってるとも」

「……そう……」


そう言ってスイは俺から離れた、やれやれ。


「父様、汗くさいね、綺麗にしたら?」

「え? そうか?」


そう答える俺に向かってスイは左手を掲げて龍紋を光らせる、そして俺はビショ濡れにされた。


「お父様、これで少しはさっぱりされたでしょうか? 良かったですね。さ、石野、末野、行きますよ」

「ハ、ハイっ! スイ様!」

「お、お待ちください~」


スイはお供を連れてこの場を去ろうとして一度こちらを振り返る。


「……こ、これで許してあげる」


と言って俺から離れた。


「あらあら、ビシャビシャね」

「ふん、龍、だらしないな、私の熱風で乾かしてやろうか?」

「いいよ、ランゼ、ありがとう。それよりな皆にな、聞かせたいことが……いや、見せたいものがあるんだ」

「龍ちゃ~ん、なにぃ~? おみやげ?」

(あるじ)無理しなくていい。(あるじ)にはなにも期待していない。無事帰還してくれただけでいい」

「そうよ龍一、よく帰ってきてくれたわ」

「あのなぁ~お前ら……いいからちょっと離れろよ」


俺の言われるがまま、一同が数歩下がる。

ふふふ、これを見たら絶体皆びっくりするぞ!

待合所に戻ったと思ったスイも少し離れて腕組しながら見てるな。

よしよし、いい子だ。見てろよ!



◇◇◇


さて、話は俺が伯爵と魔女先生と飛竜でとある小島で過ごしたとこまで遡る。

例の小島でもう一晩過ごした俺たちだが、次の日早朝、飛竜場でまたも魔女先生に気絶させられて俺は更なる異なる地へと運ばれた。

次に到着した飛竜場では俺たちを運んでくれた中型飛竜しかいなく、護衛の飛竜の姿は見えなかった。

またも夜半に到着したので飛竜場近くの館で一晩過ごして朝食後のことだ。


「さて、二の丸様、私はここまででございます。後は本田様とお過ごし下さい、この数日はとても楽しゅうございました。ではごきげんよう、頑張ってください」


そう言い、伯爵は館に残った。


「かかかかか、ご苦労じゃったの伯爵殿、では二の丸様、行くぞ!」

「あ、伯爵、ここまでどうもありがとうございました。行ってきます! ま、待ってください、魔女先生!」


と俺はここまで一緒だった伯爵と別れ、先にスタスタ進んで行く魔女先生を追いかけた。


「どこへ向かっているんですか?」

「う~んとな、あるお方のところじゃ、いいか、その方の前では失礼のないよう礼を尽くせよ? かかか」

「……はぁ……ところでここはどこですか? やけに竜が飛んでますねぇ」

「うむ? かかかかか、飛んでるのは竜ではない。龍じゃぞ二の丸様、かかかか、間違いないようにの」


そう言えば龍帝国で飛んでる竜よりも龍人が龍体になったシルエットに似ているな。

と、言うことは……


「あれは……龍人……ですか?」

「ま、そういうことになるかの、かかか、正確には元龍人じゃな」

「と、いうことはあの龍たちは、もう……」

「ん? 人の姿にもなれるぞ? ただ今はもう龍の姿が馴染んでるだけじゃ」

「はぁ~なるほど……ということはここが、龍人がいずれ赴くという、その御島ってとこですか?」

「かかかか、まぁ、そうなるかの」

「やはり、秘密の場所、なんですか?」


俺がそう尋ねた時、いつも人を煙に巻いたような魔女先生の目つきが真剣なものになった。


「そうじゃ、うかつに外に知られてはいかん、我らにとって神聖な場所じゃ。この御島も立ち寄った小島も幾重にも結界を重ね、何人も近づけないようになっておる」


歩きながら魔女先生は続ける。

普段と違い、饒舌で、それだけに俺に大事なことを伝えようとしてくれているのだろう。


「だからの、この御島に着くまで二の丸様には気を失ってもろうた。なんせお主はしょっちゅう攫われてるらしいからの。異能の中には記憶を覗く力もあるから、ま、念には念を入れてじゃな、かかかか」


「はぁ、そんな理由で俺は気絶させられたんですね?」

「そうじゃぞ、帰りも同じことをするから心せよ、かかかか」

「はぁ」


そんな会話をしながら歩いてると一頭の龍が上空を横切った。


「あの飛んでいる龍たちもな、この御島で朽ちていく者もあれば外に己の終の棲家を探しに出ていくものもある。一度出て行った者は二度とここには戻ってはこん。どこで何をしているやら、だ。誰かに福を授けてるやら、どこかの街を焼いているのやら……」


言いながら魔女先生は遠い目をした。

誰か知り合いのことでも想っているのだろうか?


「龍になり百年ほどで朽ちる者もあれば数百年も生き、いまだ活力の高い者もおる。まぁ龍それぞれじゃな、かかかかか」

「今飛んで行った龍は? ずいぶん立派な龍ですね」

「うむ、まだ若いな、龍になって……二百年ほどかのぉ~」

「二百年、ですか……そう言えば人の姿で三百年、龍の姿で三百年、と聞きましたが?」

「それは、目安みたいなもんじゃな、実際ワシはこの姿で六百年ほど過ごしている」

「なるほど……伝説扱いされるわけですね……」

「かかかか、よせよせ、こっ恥ずかしい。ワシなどまだまだじゃ。……でもな、龍になり御島に来れる者はまだ良い。龍になれずに生を終わらせるものもおるからのぅ」

「そうなんですか!? 龍人みんなが生の後半を龍になって過ごすわけじゃないんですか?」


俺はちょっと驚いた。全部の龍人が無敵に過ごしてるわけでもないらしい。

そんな俺の質問に魔女先生は少し寂しそうな表情で答えた。


「かか、さっきも言ったじゃろう? 龍人もそれぞれじゃ……」

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