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異世界行ったら龍姫が俺の嫁!?  作者: じぐざぐ
第壱部 俺とメンヘラ
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第57話 国境の街

アウディーゴ大森林。


そこは、森林というにはあまりにも、バカげた巨大さだった。

なんせ、その森林を形成してるのが全て、百メートル越えの巨大な樹木なのだから、自分が小人にでもなった気分だ。

国境付近の樹木は、普通サイズの数十メートルサイズだったから、中に入るとその巨大さに圧倒される。


この森林に入ってから、黒龍は一言もしゃべらなくなった。

大抵、俺か、サキの背中にくっつくだけの存在になった。


大森林の中ではエルフの集落にはなるべく寄らないよう、進んだ。

ここのエルフは、黒龍が嫌う以前に、なんというか、やはり態度が悪い。

ナタリーにはフレンドリーに話しかけるが、俺たちを見る目は見下した、嫌な感じだった。

ナタリーが席を外した時、サキが前に覚えた言葉で物を訪ねたが、聞こえない振りをされた。

ナタリーが戻り、通訳を頼むと通じた。


「彼らはね、ヨソの言語を習得してても、ここでは絶対使わないし、話しかけてもエルフ語じゃないと返事をしないんだ。まぁ、プライドが高いというか……」


どこのフランス人だよ! 意地悪だな!



◇◇◇




アウディーゴに入り、数日がたったある日のこと、俺が御者台にいて、サキとナタリーが荷台にいた時のことだ。

黒龍・クロが俺のとなりに座っていた。

こいつは基本的にナタリーのいないとこ、いないとこに行こうとする。

今もそうなのだろう。

あの、感情をいったりきたりさせて、言葉の通じない理屈で俺たちを振り回していた時と違い、まったくおとなしい。

久しぶりに話しかけてみた。


「クロ、どうしたんだ? ずっと大人しいじゃないか?」

「ク、クロってお兄ちゃんが私につけてくれた名前だよね! だよね! 私、嬉しい! これ、もう『お前は俺の所有物だ』て言ってるようなもんだよね! くふふ」


ニヤニヤしながら小声でなにか、高速でしゃべってた。

俺は話しかけたことを後悔した。


「お前はこの大陸の神様なんだろう? あちこちに神社とか神殿とかあるんじゃないのか?」


聞こえないふりで話題を変える。


「じ、神社なんて、ないよ、お兄ちゃん……べ、別に、こ、この大陸にいる、か、神様は、わ、私だけじゃないし……」

「そうなのか?」

「ひ、人はわ、私なんか、より、ほ、豊穣の神とか、ありがた、がってる、よ。クソがっ」


クロの目が、もともと少ない光が全く失い、体からいつもの黒オーラがでてきた。

まったく厄介なヤツだ。

俺は懐から干し肉を取り出し、クロの鼻先にだす。


「ホラ、これ食え」

「やった! 干し肉!!」


クロは俺から高速で干し肉を奪い取るとむしゃぶり食べだす。


クロの扱いを、俺たちはやっと学習した。


食い物だ。


食い物を与えればコイツはどんな時でもニコニコになる。

例え、不機嫌マックスでも、黒オーラ全開の時でも、だ。

やっぱり神様だから貢物に弱いんだろうか?

神社がないってことはお祭りもないし、拝む人もいない。

もちろん貢物なんて夢また夢なのだろう。

よくタタリ神とかにならずにすんでるものだ。


「いるよ?」


ん?


これまで見たこともない、不気味な顔で、にやぁ~と笑いながらクロが言う。


「タタリ神だっているんだよ、そこらにね、お兄ちゃん」


俺はクロの脳天に軽くチョップする。


「いてっ」

「もうこれ以上、俺の前に神様を増やすな、俺は龍神様だけで手いっぱいだ」

「そ、その龍神様に、チ、チョップ、するなんて……お兄ちゃん、せ、責任、とってよね」

「これまでお前はなんの役にも立ってないだろ? なんで俺たちと一緒にいるんだ?」

「……」


その質問を最後に、クロはまた一言も発しなくなった。

不意に後ろからナタリーに声を掛けられた。


「調子はどうだい? 変わろうか?」

「いや、大丈夫だ。もう少し休んでてください」

「そう? じゃあ、そうさせてもらうよ」


と、ナタリーはサキのとこに戻った。




◇◇◇


結局、俺たちはアゥディーゴの国を抜けるのに三週間ほどかけた。

本来ならもっと早く抜けれるらしいのだが悪天候だったり、その影響で川が氾濫し、橋が流され、足止めくったりと、まぁまぁのグダグダした旅路となってしまった。

アゥディーゴを出て、十日ほどかけて、やっと、やっとの思いで大陸南の国・ジグ・ロマグスの国境である、ロイグ・マークというかなり大きな都市の入り口まで来た。

人口十数万ほどの交易都市でなかなかの規模だ。

ここでまた、クロのわがままが爆発した。

こんなに人多いとこに行くのは絶対嫌だ言う。

しかしここを通らないとさらに南の港町まで行けない。

と、言うか、ここを通らなければジグ・ロマグスのどこの都市にも街にも行けない。

口論を重ねたのだが、ついにクロがキレた。


「もう! お兄ちゃん、知らない! クロの言うこと聞かないと後悔するから! 絶対、絶対後悔するよ!!」


と喚いてどこかへ消えた。


事情がわかないであろうナタリーは俺たちのやり取りを口をださずに見守ってくれて


「君たちの事情は知らないが部外者の私が口をだすことじゃないしね」


とやれやれと言った感じで言い


「アゥディーゴに入る時みたいに、後からついてくるんじゃないの?」


とも。



まぁ、しばらく待ってたが日も暮れ、仕方ないので俺たちは市街に入ることにした。


「宿は私に任せてくれないか? 安くていい宿があるんだ」


と、ナタリーが提案してくれたが、俺たちはシャルルの山荘でかき集めた金と廃村の夫婦から巻き上げたのが全財産だ。

それもいくつか使ったし、正直、路銀が心元なかったんだ。


しかし


「今までの馬車代として今回は私が奢るよ、遠慮しないでくれ」


と、進めてくれたので遠慮なく任せることにした。

久々にちゃんとした布団で寝たかったし、ちゃんとした夕食も欲しかったしな。

宿はまぁまぁだった。

食事も美味しかった。

久しぶりに酒も味わい、いい心持ちになった。

部屋割は気を利かせてくれたのだろうか、俺とサキ、ナタリーの二部屋だった。


俺とサキは夜、人目を気にせず、たっぷり時間をかけてイチャイチャできた。


寝る瞬間、少しクロがどうしてるか気になったが、旅の疲れ、張り切った情事の心地よい疲れ、そして久々の布団の心地良さに誘われ、俺はあっという間に深い眠りについた。

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