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異世界行ったら龍姫が俺の嫁!?  作者: じぐざぐ
第壱部 俺とメンヘラ
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第55話 三人の旅

その後、俺たちはシャルルの山荘を後にし、南下しつつ移動した。

さぞ、黒龍に手を焼くかと思ったが、意外とそうでもなかった。

まぁ、こっちが慣れてきた、というのもあるのかもしれなかったが、出発してから大人しくなったからだ。

もちろん相変わらず、気分の浮き沈みの激しいヤツではあるのだが、それが黒龍と初めて会った日のように、一日で連続でくることはなくなった。

例えば昨日は朝からずっと無口だったかと思えば、今日はハイテンションではしゃいで、次の日はずっとむくれてる。

そんな感じだ。

たまに「エッチして、お兄ちゃん!」と迫ってくることがあるがそれは断固拒否した。

なぜなら初日に感じてたようにコイツは神様としてポンコツだからだ。

はっきり言えばコイツは役に立ってないし、むしろいない方が良い場合も多々あった。


つまり俺たちは()()()()()()()()()()


ならばヤツのいう、”助けてやる対価としてエッチさせろ”は無効というわけだ。

道を聞けば適当だし、間違っていることも何回もあった。

じゃあ通訳に役立ったか、と言えば初対面の人間と会話はできない、とか言いやがる。

そのくせ、しっかり飯は食う。

とにかく、とんだお荷物の疫病神だ。


◇◇◇


俺たちはシャルルの山荘でなんとか、まだ残ってる金をかき集めて、使えそうな物、ナイフとか、旅に役立ちそうな物を持って出発した。

歩いて二日かけて例の名もなき廃村に到着し、まだ残ってたあの”隣の親父夫婦”を縛りあげてコイツの家の使えそうな物を物色し、馬車もついでにもらった。

強盗行為だと? なんとでも言え、こっちは殺されかけたんだ。

殺さないだけありがたいと思ってもらいたい。

縛りあげた夫婦をそのままに廃村を出発。

やっと、やっと廃村から先にいける、という解放感がこの時の俺とサキはあったと思う。


はい、ここまで黒龍は何も役にはたってません。


その後、野宿しながら馬車を南下させる。

ずっと歩きだったから、これで大分、移動速度があがった。


食料は時々動物を狩った。


俺はもちろん、黒龍も役立たずだが、都会育ちのくせに、意外とサキが生き生きと獲物を仕留めていた。


「私、小さい頃、山で育ったし」


と言うが、あれ? コイツお嬢様だよね? お嬢様のはずだよね?

それで時々黒龍に道案内を頼むが


「コッチ……いやアッチかな? ん~わかんないよ! こんなとこ来たことないし! お兄ちゃん、ひどいよ!」


みたいな感じで、まぁ全く役にたたない。

なのでコイツをあてにすることはやめた。

廃村から移動すること六日目にしてやっと次の集落に到着した。

そこはあの廃村と違い、家屋の数は少なかったが、普通の集落だった。

そこで黒龍に通訳を頼むと


「や、やだよ! 知らない人だよ!? 知らない人なんだよ!? 話かけれる訳ないじゃん! お兄ちゃん、なんでそんな、ひどいこと言うの! 私のこと嫌いなの!?」


とまぁ、こんな感じでお話にならない。

仕方がないのでいつもの身振り手振りでコミュニケーションを試みる。

俺達の目的地は南の国、ジグ・ロマグスまで行き、そこで船に乗ってブラウ大陸に帰還することだ。

そこへ行くにはまず大陸中央のアウディーゴの国を目指さなくてはならない。

俺はとにかくアウディーゴを連呼した。

発音が悪いせいか最初の老人は「?」という風に首をかしげるだけだったが、その息子だろうか?

もう少し若いのがきて、手をポンと叩き「ああ!」みたいなリアクションをして色々しゃべってくるがさっぱりわからない。

地面に木の棒で何か道順のような物を描いて一生懸命に教えてくれる。

なんとかこの辺で一番大きな街ガラッラ? が五日? くらいの位置にあるらしいのがわかった。

それが通じた時、お互い抱き合いながらの、ちょっとした感動シーンが展開された。

ついでにソイツの家に泊めてもらい、夕飯までご馳走になった。

ひ、人の情けが身に染みる。ありがたやぁ~。


もちろんここまで黒龍は何一つ役にたってない。


朝は起きない。

無理やり起こすと不機嫌になる。


宿泊させてくれた家人が朝食まで用意してくれて、頂いた。

その後、出発の用意をしてもまだ起きてこず、もうこのまま置いていこうかとも思ったが、親切にしてくれたこの家人に迷惑がかかると思い、叩き起こして馬車に載せた。

当然、半狂乱のようにわめいたが、家人がわざわざ、起きてこなかった黒龍の為に用意してくれた弁当を見せたら機嫌が直った。


「これからガラッラって街へ向かうぞ」

「は? 何言ってるのお兄ちゃん、この辺で大きな街って言ったらガダッカなんですけど? そんなことも知らないの? プププ」


コイツ、殴りてぇ……。


お前、こんなとこ来たことない、て言ってたろ?……なんて突っ込んだらまた盛大にファビョるんだろうな……。

こういう時は黙ってるのが吉だ、と俺も日々学習するのだ。


まぁそんな感じの道中を続けた。

俺たち……いや俺やサキも段々、簡単な、この辺の言葉がわかってきて、ちょっとづつコミュニケーション能力があがってきた。

とくにサキは勉強熱心で少しでも俺たちに興味を示してくれた人と積極的に関わり、言葉を学習していった。

道中疲れてるだろうに、タフだな。


そして黒龍は当然、ここまで何の役にも立ってない。

何度放り出そうとしたことか。


一度本当に頭にきて、どこぞの村に置いて行ったことがあるんだが、二日後ちゃっかりいつの間にか荷台に乗ってて、泣いて謝ったり、逆ギレしたりして大変だったのでサキと相談して、置き去りはもうやめようとなった。


あの、二日は本当に楽だった。精神的に。


この少ないメンバーで旅をしてて、何もしない奴が一人存在するのは、それだけでストレスだ。

その上、ソイツが精神的不安定でこちらが振り回されるんだからたまんない。

だが、置き去り事件で、サキとちょっとイチャイチャできたのは良かった。

サキも元気をチャージできたみたいだしな。


ガダッカからは大きな街道がいくつか伸びてて、その一本に南へ行く道がある。

それからはその街道を進むだけで良くなったので田舎の枝道をウロウロ、行ったり来たりするロスがなくなったのは本当に助かった。

そしてシャルルの山荘を出発して二週間ほどが過ぎて俺たちはついに大陸中央のアウディーゴという国の国境付近まで来た。


長かった……。


だが、ここで黒龍がアウディーゴに入ることを大反対した。


「い~や~だ! 絶対いやだ! ね、お兄ちゃん、迂回しよ? アウディーゴなんて入るのやめよぅよ! ね! ね!」


今までにない、ものすごい嫌がり方だ。


国境といっても別に塀だの壁だのがあるわけでも、見張りの兵がいるわけでもない。

今まで荒野を進んでたのだが急に大森林が広がってて、街道脇にある、大きくもない看板にアウディーゴと書いてあるだけだ。

未だに字はよくわからんが”アウディーゴ”だの国やら、大きな街の名前のスペルはメモしてあるのでメモ片手に読める。

それで、なぜ、黒龍がこんなにいやがるかと言うと……。


「ここエルフの国! この大陸の奴らはみんなクソだけど、こいつらは特に、だぃっ嫌い! 嫌いだよ! 私のこと、黒龍のことを、邪龍て言う! 邪龍て言って、忌み嫌う! だから嫌い! エルフは皆死ね!」


困った。


ルートとしてはアウディーゴを突っ切らないで迂回すると数か月のロスが生じる。

それは避けたい。

とりあえず、まとまらないので俺たちはその国境で野営することにした。

……やれやれ。

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