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異世界行ったら龍姫が俺の嫁!?  作者: じぐざぐ
第壱部 俺と魔大陸
50/156

第50話 名もなき村

「大丈夫か?」

「ん……いける、抱くか」

「抱かねぇよ、少し寝とけ」

「ん」


ニーアとガンガーは御者台に乗り、俺とサキは馬車の荷台に乗り込んだ。

サキが熱を出していた。

俺は彼女の汗を拭きながら様子を見てる。

けっこう朝からサキにだけ負担をかけすぎたな、と反省した。

道路はそんなに整備されてないが下り一本なんでまぁまぁ、順調に進んだようだ。


なんとか俺たちは夕暮れ前に麓の村に到着することができた。

村は三十軒ほどあろうか、そこそこの村だが、馬車が村に進入し、メイン広場だろうと思われる場所まで来たが全く人影がない。

、と言うより人の気配がしない。

よく、映画とかであるだろ? ヨソ者が入ってきたら窓からのぞいていたヤツが目が合うとスッと閉めるやつ。

そんな面倒ごとはゴメンだと引きこもって監視してる風でもない。


本当に人気がなく、まるで、


「まるで廃村、て雰囲気じゃないか……。おい、ガンガーどうなってるんだ」

「いや、俺にも……物資の仕入れは他のやつの担当で、俺は最初に連れて来られた時しかここに来てねぇんだ」


俺はなんかいやな胸騒ぎがした。

ホラー映画なんかにある、不気味な見捨てられた村、というのがぴったりな雰囲気の村だ。

すると一人の男が通りから姿を現した。

猫背のズングリムックリとした、だが、なにか強靭な体躯をしてる感じの男だ。


「……」

「やべぇな、なに言ってるか、わかんねぇ……」


とりあえず俺とミーアがそいつのとこにいき、身振り手振りでここに泊めて欲しいというジェスチャーをしてみた。

なんとか頑張ること十数分。

男は一軒の二階建ての家に連れて来てくれた。

その隣の家では彼の女房だろうか、中年の女がドアのスキマからこちらを伺ってた。


紹介された家は多分、シャルルの山荘から来てる調達組を宿泊させている家だろうか、使用感があり、そこそこ手入れされているようだ。

そこに馬車を止め、馬をはずし、ガンガーがエサを与えてる。

回りを見渡すと、夫婦の家と提供してくれた家以外はとても住人がいるとは思えない廃居のような状態だった。


……ここにはこの夫婦しか住人がいないんだろうか? ……


俺はサキに肩を貸し、とりあえず居間と思われる場所にあるソファーに寝かせ、毛布を掛けた。

ニーアは早速、夕食の支度にとりかかろうと台所で火をおこしていた。



外では日が落ちようとしていた。


俺は二階を一通り確認し、降りてくるとニーアが色々料理してくれたであろう、いい匂いが漂ってきた。

居間のテーブルにはいくつかの食事が並び湯気を立てていて食欲を誘う。


「用意が整いましたので食べましょう」


ニーアが作ってくれたイモと何かの肉を煮込んだスープを飲み込みながらガンガーが調子よく、しゃべってる。


「ダンナ、そう言えば思い出したよ! そうだよ、ここだよ、あの時泊ったの! メシ作ってくれたのもあそこのババァだよ!」

「そうか……その時も他に人はいなかったのか?」

「どうだったかな? 着いたのは夜だったし、朝早く暗いうちから起こされて、あの山荘に向かったからな、いたとしても会えなかったんじゃないか?」


テーブルの脇ではニーアがサキにスープやパンを食べさせてくれている。ええ娘や……。

サキも少し楽になったのか、血色が良くなってきた。さすが龍人、回復も早い。


「おい、これ酒かな?」


ガンガーが酒瓶のようなものを片手に蓋をあけ、匂いを嗅ぎながら台所から出てきた。

俺はビンを受け取り、少しコップに注いでみる。


「おい、これワインじゃないか? 酒だよガンガー!」

「ありがてぇ、酒持ってくるの忘れたからな、きっと調達組の連中のだな」


俺たちがボチボチ酒を飲んでるとニーアは食器を片付けに行った。


「ダンナ、明日の予定だがこれからどうする?」

「う~ん次は街に行きたいとこだが……大陸の地図を手に入れたいな、ここがバルフ・ランなら大陸を南へ横断することになるから闇雲にとにかく南へ行く感じだな」


そんな話をしている時だ。


「きゃああああああああああああ!!」


と、ニーアが台所から駆け込んできた。

三人ともすぐさま立ち上がり警戒態勢をとる。


「どうしたニーア!」


猫少女は毛を逆立て、震えながら俺のとこまで来て告げる。


「そ、そ、外! 外、外に! だれかっ!!」


俺はニーアの肩を抑え、ガンガーに指示をだす。


「ガンガー見て来てくれ!」

「応!」

「サキ!」

「大丈夫、もう動ける」


するとドアが、ガンッ! ガンっ! とノックというよりは何かを打ち付けているような音がする。


「にゃぁぁぁあぁ! なにっ! なにっ! なにっ!!」


ニーアはもうパニック状態だ。

と、俺の足元にポタっ、ポタッと水滴の落ちる音がした。


「四人か、ふふふ、シャルル様が来るまで持つかのう」


と頭の上で声がした。

見上げると天井から逆さに立ってる男がいた。


「きゃぁぁあぁぁぁぁああああ!」


ニーアが半狂乱に叫ぶ。


台所からガンガーが慌てて駆け込み、報告する。


「だ、ダンナ! ダンナ、大変だ! 外はヴァンパイア達がウヨウヨしてやがる! この家は囲まれてるぞ!」


ガンガーがそう告げた瞬間、サキが飛びあがり、天井のヴァンパイアの心臓を鷲掴み破壊した。


「ひぃぃいい!」


ニーアはもう悲鳴をだすことしかできない。どうする?


(あるじ)、とりあえず二階に行こう。そこでまず大方の人数を確認する」

「よし、皆、二階へあがるぞ!」


長い夜になりそうだ、と俺は覚悟した。

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