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異世界行ったら龍姫が俺の嫁!?  作者: じぐざぐ
第壱部 過去編
41/156

第41話 龍の国

龍河れい 19歳 一児の母


「ふ~無事、生まれてくれて良かったわ、ふふ、可愛いわ」

「れい、私の子を産んでくれて本当にありがとう。感謝する」

「ふふ、どういたしまして」

「この子は、この世界には今まで存在しなかった、龍の子だ。そのうち龍紋が現れ、龍の力を行使する者になるだろう」

「あら、それはすごいわね、君はしゅごい子なんでちゅねぇ~」

「ふふふ、君にはそんなことはどうでもいいことか……」


彼女の胸には生まれたばかりの、頭にちいさな角の生えた赤子が大切そうに抱かれていた。



◇◇◇


龍河れい 26歳 二児の母



勇者パーティー解散の後、その後作られる、龍帝国の中心、後に龍ノ中宮市と呼ばれる場所に小さな家を建て、数人の竜人と竜と暮らし始める。

百メートルを有に超す、竜もいて、彼らには山脈や海、湖など住処とさせ”龍河れいと龍人の国”の各地に落ち着かせた。

その他の竜たちはこの広大な平野で面倒を見ている。


「お早うございます。れい様、少しお話が……」


竜の面倒を見ていた竜人が朝早く、れいの所にきた。


「カイジお早う! ホラホラ、龍零もレイラも、お父さんのとこに行っておいで! あっ、走ったらダメだよ、龍零、ちゃんとレイラの手を握ってあげて!」

「ふふふ、お二人とも今日もお元気ですな」

「まったく元気すぎて困ってしまうわ、それで? 用事はなに?」

「ええ、実はこれをご覧ください」


カイジが広げたのは”龍河れいと龍人の国”の地図で大まかに山脈や河川などが記されてる。

竜の生息状況が細々と記されている。


「あ~大分、ここも手狭になってきたわね」

「ええ、ですから計画を前倒しして南の大平野の開拓を進めたく……」

「大丈夫? 今でも人手が足りないってのに」

「はい、そこでお願いなのですが、龍神様のお力をお借りしたく」

「う~~ん、まっ、いいか、あの人最近、育児以外働いてないし、頼んどくわ、それといつも言ってるけど、れい様はやめて、れいちゃん、て呼んでよ!」


それを聞いて近くにいた龍神一家をお世話してた竜人が血相を変えた。


「何言ってるんですか、れい様! あなた様は”最後の勇者”様で”龍の巫女”様で龍神様の奥方様で龍人様の母上なのですよ! そんな恐れ多い、気安く呼ぶことなどできませんわ!」

「え~でも、私、そんなもんどうでもいいし、皆と仲良くやってきたいだけよ、れいちゃんの方が可愛いでしょ?」

「れい様、ブラウ大陸を救い、私たち竜人を救ったあなた様をそんな気安く呼ぶ者はおりませんよ、あとちゃん付けする年でもないでしょう?」

「スザンナが手厳しいわね!」




◇◇◇



龍河れい 44歳 


「また子を作ったの、困った子ね……」


彼女たちの住居は後の龍ノ宮市となる場所に移っていた。

長男・龍零は腰痛を訴える母の為に山の中腹に温泉の豊富な場所を見つけ、そこに居を移していた。

彼は精力的に”龍の国”を飛び回り、竜と竜人たちの面倒を見る一方、次々と嫁を増やしていった。

れいが把握しているだけでもすでに嫁は六人目でみな二人づつ子を産んだ。


れいは子供たちが幸せに暮らしてくれればそれでよかったが龍零は違った。

彼には野望があった。


彼は父の龍神、炎龍より、自分たち兄妹がこの世に二人しかいない龍人であること。

他の人種には出来ない強力な異能の力を使うことができること。

長命であること。


しかしその代償として子は二人しか授からぬこと。

三百年、人として生きたのち、龍として三百年の生を受けること。


等を聞かされた。



彼は考える。

龍人を増やさねばならぬ。

龍の血を絶やしてはならぬ。


彼は自国のみならず他国へ飛び、竜害のある地域を見つけては竜を捕獲、保護し自国へ連れ帰る、という事業に邁進する。

外貨が入り、だんだん暮らしは裕福になっていく。

他国で知り合い、気に入った女性を口説いてはこれも連れ帰った。

”龍の国”は口コミで評判が広がり、竜人のみならず様々な人種が住み着くようになっていく。




◇◇◇



龍河れい 77歳 


「おばあちゃま、ここはどうして龍ノ宮って名前なの?」


「ふふレイリ、おばあちゃまのね、前にいた世界の物語で龍神様の住むお城のお名前が竜宮城ていうのよ、それでね、龍零が、お前のお父様がお城を建てたとき、ぴったりだなぁ~、と思っておばあちゃまが付けたのよ」

「お母さま、いいかしら?」


孫やひ孫たちに囲まれてる龍河れいのとこに娘レイラが一人の少女を伴い、現れた。


「あら、レイラ久しぶりね、ふふふ、あなたは相変わらず綺麗だわ」

「ありがとうお母さま、お母さまもお元気そう」


実際、龍河れいは龍の因子のおかげか二十台以降容姿が変わらない。


「ええ、こんな可愛いチビ龍たちに囲まれてるんだもの、病気になってる暇もないわ。それで?」

「はい、レイナをお連れしました」

「よしよし、みんな、レイラおば様とあっち行っておいで、おばあちゃまはレイナお姉ちゃんとちょっとお話があるんだよ」


そういい、神儀を行う狭い部屋へとレイナを連れて行く。


「レイナ、いくつになった?」

「はい、おばあ様、十二歳になりました」

「よし、服を脱いでそこに立ち、真体になって」

「はい、おばあ様」

「うん・・悪くない。……龍紋をだせる?」

「はい、おばあ様」

「うんうん、よしよし。もういいよ、ありがとうねレイナ、もう服を着てちょうだい。……あなた」


れいが呼ぶと二人しかいなかった空間に炎龍が炎と共に現れる。


「最初から言ったであろう。この娘は大丈夫だと」

「ええ、でもこれで私も確信できたわ。死ぬ前に見つかって本当に良かった」

ほっとした表情で正座して控えている孫、レイナにれいは告げる。

「ではレイナ。これよりお前は”龍の巫女”となるのよ。これより後、お前とお前の子は龍神様の為に生き、その身の全てを捧げてちょうだい」

「はい、おばあ様、謹んで、その大役、お引き受けいたします」


とレイナはその小さな体を折りたたみ、一礼する。祖母は孫の手をとり涙を流し喜んだ。


「ありがとうレイナ、これはね、龍の巫女は誰にでもなれることではないの、私の跡を継げるのはあなただけ。あなたが、龍神様とお父様と、この国を支えてね。」

「おばあ様! 私、皆を守るわ! 大丈夫まかせて! 立派に”最後の勇者・龍河れい”の跡を継ぎ、龍の巫女として生きるわ!」


まだまだ幼いレイナの固い決意に、誇らしげな表情をする可愛い孫に、祖母は少しだけ、チクリと胸が痛むのであった。





◇◇◇



龍河れい 92歳


「国母様、皆揃いましてございます」


右隣で息子にしてこの国の、龍帝国の帝となった龍帝、龍零が母に告げる。

龍ノ宮城には彼女の子孫たちがズラリと並んでいた。

龍河れいは思う。最初は自分たち親子と竜人と竜たちと安全に、楽しく暮らしていければ、それだけで良かった。

数十年がたち、仲間と多少強引に約束して譲ってもらった地は自分の想像以上に発展した。


発展しすぎてしまった。


これも一重に龍零が東西奔走、北南疾走して頑張ってくれたおかげだ。


……これが私の望んだ事だったろうか……?


いつからか……もう何十年も前から持ち続けている疑問を今日もまた、思い浮かべる。


……しかし、もう後戻りはできない。あとは死ぬだけの自分に、この子らのやることを止めることはできない。


「では龍ノ上条家より挨拶を許す」


左隣でこの国の政治一切を取り仕切ってるレイラが畏まってる子孫たちに声を掛ける。

……その政治の基礎を作ったのも龍河れいと竜人たちだ。


一通り挨拶が済んだのち「では国母様より一言」と振られる。


「皆、新年の挨拶、どうも有難う。みんなの元気な顔を見られてうれしいわ。

おかげ様で私も90超えてもなんとかこのとおり元気だよ。

これも龍の因子のおかげかしらね。あなた達にはあんまりお姿をお見せにならないかもしれないけど、まだまだ炎龍ともラブラブなのよ」


「……母上」

「お母さま、少しお控えに……」

「いいじゃない、皆! あんた達も家族を大事にするんだよ! はい終わり、カイジ連れてって」


まだまだ二十台の容姿で龍河れいは、まだ自分達家族だけだった時から側にいる竜人の名を呼んだ。

子供たちと過ごすのはうれしいがこんな畏まった席は好きではない。


この城にはもう龍河れいが大事にして側に置いてる竜人以外は、もう少数しかいない。

皆下働きなどをし、あまり重要な仕事は任せてもらえない。


龍人が竜人を見下しているからだ。

そして竜人もそれを良しとしている。


「お友達の竜人が随分いなくなってしまったわ……」

「国母様、これでいいのです。私たちは”龍の国”造りのお手伝いをできたこと、誇りに思っております故……」


年老いたカイジが答える。


……これが私の望んだ事だったろうか……?


彼女は何度目か、何百回目かの自問を、また浮かべる。




◇◇◇



龍河れい 152歳


「母上!死ぬな!!まだまだ教えて欲しいことがっ」

「おばあちゃま!!」

「お母さま、お願い、生きて……」


あらあら、ずいぶんと大騒ぎだこと。

まぁこれだけ生きたんだから、もういいわよね。

皆私より先に死ななくて偉いわ。

レイナ、レイナはいるかしら? ……うん大丈夫ね。後はよろしくね。

ふう、もう声も出ないわ。


あら、あなた、そこにいたのね。私もういくわ。魂でもなんでも喰らってちょうだい。

その代わり私たちの子を、孫たちをちゃんと見守るのよ。


……炎龍、今まで、ありがとう……



◇◇◇


その容姿は二十台のまま、龍河れいは息を引き取った。

その瞬間、彼女の身体は皮と骨になりやがて細かい粒子となって消えた。


龍帝国、建国の母であり、すべての龍人の母でもあり、竜と竜人の保護に全力を尽くし、龍帝国に様々な文化をもたらした、偉大な国母の国葬は一週間続いたという。

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