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崩壊世界とダンジョンと   作者: めーた
ハルカたち
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第80話 暗殺計画

少しづつ、リハビリをしていきます。

 暗く、ジメジメとした不快な下水道をメルが飛んでいる。その先には青薔薇同盟の同盟員がいた。メルは青薔薇同盟の同盟員の1人キマと一緒に下水路を通じて街の外へと出た。このルートは極秘ではあるが、汚いものを嫌悪する吸血鬼たちが知ることはありえないルートだと同盟員は言っていた。


 メルは携帯していた通信機でハルカへと連絡をいれた。

「ハルカ殿、メルでござる。街へと侵入するルートを見つけたので、発信地点まで来てもらいたいでござる。くれぐれも、街中に悟られぬように静かに来てもらいたいでござる。」

「よかった、無事だったんですね。発信地に行けば良いんですね、わかりました。それほど遠くないので、1時間もかからないと思います。では、皆で向かいますね。」


 そう言って、短い通信を切った。



 1時間ほど経った後、街の下水道の出口までハルカたちが集まった。個性豊かな人種を見て案内員のキマは呆気にとられていた。


「まさか、1人も人間がいないとはな。こりゃ、街中じゃ目立ってしょうがないぞ」


 聞けば、人間以外の種族は居ないということで、特に大柄なゴーレムのアモットの隠蔽がネックになりそうだった。

 

「とりあえず、青薔薇同盟へと案内しよう。そこでポールと話して今後を決めてくれ。」


 そう言って、キマは来た道を戻っていく。それにハルカたちも連なって行ったのだった。



 同盟の隠れ家にたどり着いたハルカたちをポールたちが歓迎してくれた。

 早速、ユルギタ領の状況を解説してもらう。


「端的に言えば、この街は大規模な人間牧場なんだ。我々人間は、吸血鬼に血を吸われるために生きていると言っても間違いじゃない。」


 ユルギタ領は他の領地へ人間を輸出する大規模な人間牧場の側面を持っている。

 人間は吸血鬼の食料とみなされていて、基本的には半数の人間が人間牧場と言われるエリアで食料カプセルを与えられて、成長したものから出荷されるのを待つだけの身となっている。


 街の中にいるのは、食糧ではなく労働力として使われている奴隷身分の人間たちだ。必要な知識や技術をウェポンスロット経由で直接頭の中へと叩き込まれ、街を維持するのに必要なものの生産や、吸血鬼の身の周りの世話をするなどしている。

 普段、吸血鬼たちは酒を飲み、腹が減ったら人間の血を飲む。街中の人間は、いつ自分が襲われるのかと慄きながら生活している。

 街中の人間でも、吸血鬼にとってはペット以下の存在であり、守る法はない。

 誰かの所有物を殺したとしても、代替えの人間を渡せば済む程度の問題だ。


「なんてひどい。吸血鬼は人間以外の血は飲めないのですか?」

「少なくとも、飲んだという話は聞いたことがないな。人間にとって、不倶戴天の相手としかいう他ない。」


 ハルカの問いかけに返答するポール。


「まさか、街全体の人間が吸血鬼に囚われてるなんてな。ちょっとこれはどうこうできる問題じゃないだろ、これ。」

「アタシたちダケでどうにかデキル感ジじゃナイヨネ。」


 仲間たちに言われ、しばらく静かに考えていたハルカだったが、これしかない、と呟く。

 この街の人間を助け出すためにハルカが思い切ったことを周囲の仲間も含めた全員に宣言した。


「ユルギタ領の吸血鬼の頂点、ユルギタを暗殺します。」


 宣言の内容それは、ユルギタの暗殺だった。

「ユルギタさえ殺すことができれば、配下の吸血鬼は無力化できます。この街の人たちを助けつつ、ラモンさんも助ける。この手以外はありません。」


 そんな答えに、仲間の面々も最初は受け入れ難かったようで様々に意見を言うが、ハルカは全く引かない。

 

「もし、そんなことが本当にできるというのなら、我々青薔薇同盟はどんな助力も惜しむことはない。だが、なぜ君たちはそこまでしてくれるのだ。何のメリットがあるんだ?」


「私の個人のワガママです。私が人間らしいことをしてる間は、私は人間なのだと思えるので。」

「ハルカチャン……」



 ポールの言葉ではユルギタの周りには常にSPが固めていて、近づくことさえ困難だが、お気に入りの人間の血を吸う時だけはSPを解いて、2人だけの場所を作るらしい。

 ラモンの容体は、あまり良くないということをユルギタの館で働いている下働きの人間から情報を集めていた。チャンスがあれば、ダイバーだというラモンを青薔薇同盟はアテにしていたところだったが、現状はそれは難しいということで情報収集に徹していたため、ラモンはこちらのことを知らない。ハルカが動くに合わせて、情報を渡す手筈となっている。


「もし、ユルギタを倒し、吸血鬼の脅威を取り除いたとしても人間の移送を問題として抱えてる。そこはどうするつもりだ?」


 ユラがハルカに疑問をぶつけてくる。街の人間の規模は100人程度には収まらない。おそらくは1000人は超えるだろう。全員が走れる健全な者ばかりじゃないだろうし、食料として飼われている人間などは走れるのかも怪しい。

 それに関しては、一応の考えがあるという。ぶっつけ本番になるだろうけれども。


 準備を含め、1週間ほどかかる見通しだった。成功した場合、青薔薇同盟は人間をまとめて動かしてもらわなければならないし、失敗した場合は人間の行く末が暗いものになるだろう。


「奇跡を起こしに行きます」


 ハルカは、作戦決行日となった当日に同盟員たちにそう告げてユルギタの館へと歩んでいった。


コロナにかかった上に、片耳が突発性難聴で聞こえなくなりました。

徐々に聞こえる音が戻ってはいるのですが、健常な状態には程遠い有様だったりします。


もし、この作品を読んで面白かった場合は是非とも「いいね」や「評価」、「感想」をください。

作者が感激して、執筆速度が向上します!


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