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崩壊世界とダンジョンと   作者: めーた
ハルカたち
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第58話 チップ生産拠点

ちょっと少ないですが、キリが良かったので。

 今、ハルカたちはセイジン、バレリアを加えたチーム構成で拠点に入る準備をしていた。

 着いた時には入り口前に拠点の見張りだろうテック型エネミーがいたが、スカイが気合を入れた砲撃をしてあっという間に制圧していた。


「バレリアさん、僕はここまでですけれど。くれぐれも気をつけてくださいね!」

「おう、そっちも留守を頼むぜ。」


 バレリアはスカイにしばしの別れを告げて侵入チームに合流した。多少、照れてるのか目線が泳ぎ、猫耳がピコピコと動いてることには誰もツッコミはしなかった。


 倒されたエネミーはテック型エネミーで3層では珍しいことから、ここが特別な場所だということがわかる。


 準備を終えて早速、生産拠点という名のダンジョンに潜っていく。普段のセイジンのチームだと、探索の場合に調査を行うのは意外にもバレリアだった。見た目の豪快さとは裏腹に、彼女は何をやらせてもそつなくこなす。

 前衛での戦士から、後衛で火力支援、ダンジョン構造の把握まで一通りやってのける。今は、メルとともにダンジョンの構造把握から罠のエリアごとの有無を調べているところだった。バレリアは自分の端末でダンジョンの情報にアクセスして、ハッキングを試みていた。メルも同じことをしてバレリアのサポートをしている。

 解析が済んだバレリアがメルに話しかける。


「なるほど、ここは確かに拠点という表現であってるな。至るところに罠が仕掛けてあるようだ。メル、解除の方は頼めるかい?」

「了解でござるよ、バレリア殿。しかし、本当に何でもこなすのでござるな。その技量に感服したでござるよ。」


 バレリアは真正面から褒められると、多少照れながらも胸を張る。


「もともと、アタシはソロで動いてたからね。今でもその癖が抜けてないだけさね。」


 アモットが会話に割り込んでくる。


「そうナンダ?てっきり、スカイ君とコンビでやってたと思ったヨ。」

「確かに、あいつとの付き合いは長いけれどな。って、どこから湧いた機械娘。」


 バレリアの後ろから声をかけたアモットに対し、憎まれ口を返す。アモットはバレリアに率直な言葉を返す。


「機械娘っていうノハどうかと思ウヨ、バレリア姉サン?」

「うるさい、アタシはお前さんに気を許した覚えはないからな!」


  バレリアはアモットに対し敵愾心のようなものを持っているらしく、刺々しい会話になる。恐らくだが、アモットとスカイが戦車や部品などの話題で語り合うところが気にくわないらしい。アモット本人にそれをいうとバレリアは負けを認めたようで気にくわないらしく、素直に喋らないのであった。


 そんなやりとりを横目に、メルは黙々と罠の解除を進めていた。時々、バレリアに手伝ってもらいつつ、生産拠点の中を進む。


「この先の広いエリアに4体のエネミーがいるでござるよ。美脚フグ2体、アーマードハルキゲニアが1体、ドリルユニコーン1体でござる。」

「了解した。陣形は俺とユラ、バレリアが前衛で他は後衛で頼む。問題ないな、ハルカ?」

「はい、それでお願いします。」


 普段なら、ユラとアモットが前になるところだが、アモットが前にいるのがそもそも特殊なのである。アモットは後衛ジョブのエレメントサマナーであり、今まではゴーレムの種族特性である耐久力と装備の力で無理やり前衛に立っているようなものであった。今は本来のジョブの姿というべきか、火の精霊を召喚し、後衛から火力支援をするスタイルをとっていた。


「不思議な感覚だネー。でも、元の構成に戻った時に前衛をするんダカラ防具もアップデートしなきゃダネ。本当、CPがいくらあっても足りナイヨー。」


 武器も新調するつもりのアモットが思ったことを口にする。精霊召喚サモン・エレメンタルで攻守の隙を埋められるので目に見え難かったが、アモットの装備の更新は必須といって良い状態だったため、元から今回のキャラバン護衛の報酬で装備を新調する予定だった。


「都市に着いたら早速だね。とりあえず、今は頑張ろうねアモットちゃん。」


 アモットを気遣って、ハルカが声をかける。アモットも自分のぼやきは今言っても仕方ないことだとわかっているため、警戒に集中し直す。


 メルの報告からしばらくした後、次のエリアに入ると程なくしてエネミーの存在を確認できた。


「それでは、合図をするので合わせて突入願うでござる。…3、2、1」


 ゼロを手で合図し、セイジン、バレリア、ユラの3人が突入する。辺りは古めかしい遺跡のような場所であり、遮蔽物がエネミーとの射線を遮りがちな場所だった。そのため、射線が通りやすい中央部分に誘導するために3人が突入した形だ。


「○○XX!◆◆◆!」


 理解不可能な叫び声を上げて、巨大なフグに一対の脚を持った化物がセイジンたち目掛けて突っ込んでくる。その後ろから突起物のカタマリのような姿の鈍色の輝きを放つ存在が追いかける。馬の頭にドリルを生やした巨馬は少し距離を開けたところから一気に走り込み突進をするつもりのようだ。


 走り寄ってきたエネミー達に後衛として用意していたハルカ達が先手を仕掛ける。

 エネミー達の中で壁役と思われるアーマードハルキゲニアにハルカがサイコガンで阻害デバフを仕掛けて弱体化を狙う。続いて、メルとアモット、召喚した精霊が遠距離攻撃を行い、アーマードハルキゲニアに有効打を重ねていく。

 後衛側の攻撃が終わり、前衛が誘き出したエネミーを叩いていく。セイジンと竜を中心に竜の咆哮が敵を萎縮させる。さらに、プラネットウェポンが飛来してエネミーを穿つ。攻撃をハルキゲニアに集中させ、壁役を落とそうとする。

 バレリアが近寄ってきたエネミー達の間を縫うように移動し、剣戟と銃撃を交互に放っていく。走るよりも転がったほうが早いというその体型のせいで見た目こそユーモラス溢れるものだったが、放たれる攻撃は恐ろしいほどに正確にエネミー達に放たれ、深い傷を与えていく。

 弱り切ったハルキゲニアにユラが正拳突きを4発放つが、装甲を貫通した正拳突きでももう少しというところで倒しきれなかった。


 迎撃されたエネミー達も負けずに応戦してくる。突進をしてきたドリルユニコーンがセイジンの竜に激しくぶつかると同時に、負傷しているハルキゲニアに癒しの光を放ち致命傷を癒して復活させる。

 持ち直したハルキゲニアがユラへと攻撃しようとしたが、それはセイジンの竜が食い止める。

 フグ2体の攻撃も竜が食い止め、ユラとバレリアは負傷なしで双方の攻防が終わり、仕切り直しとなる。


「欲を言えば、あの硬いヤツを倒し切りたかったが仕方ないな。」

 

 セイジンが不満を零したが、前衛のドラゴンフィストのユラも手傷を追わないと本領を発揮しないベルセルクのニコと似たようにスロースターターなのである。ドラゴンフィストは攻撃を当てて、自分の中の龍気を活性化させて初めて強力な攻撃を放てるようになる。初手で全力で戦うことができるジョブと違い、長丁場になると輝くジョブなのでこう言った雑魚戦では一手遅れるのは仕方なかった。


 その隙間を埋めるかの如く、メルがガンファーによる砲撃でハルキゲニアを落とした。


「これで壁役はいなくなったでござるよ。次は癒し手を狙うべきでござるな!」


 その声を聞いて、バレリア以外の全員がドリルユニコーンへと攻撃を集中させていく。

 バレリアは転がりながら、疾風迅雷の如く隙間を縫うように移動して痛打を浴びせていく。

 その他の面々はドリルユニコーンに攻撃を集中させ、次の回復をさせることなく落としきった。残ったフグ2体から攻撃を受けて多少の消耗をセイジンの竜がすることになったが、フグ達はあっさりと倒されていった。

 

 エネミーの解体を終えて、戦利品を浮荷台に積み込みが終わるとセイジンがハルカに口を開いた。


「ここまで来て魔物型のエネミーがいないな。確かに、ここは特別な場所らしい。3層では見ることもできないテック製エネミーと、出現が珍しい生物型エネミーの組み合わせだ。奥にいかなければハッキリとは言えないが、ここがヴァイスの拠点で間違いなさそうだ。」

 

「そう見たいですね。ヴァイスはもしかしたら、現地で出来ることって思ったよりも限られているのかもしれません。少なくとも、エネミーに関しては。」


「敵の強さ自体は3層らしい強さだ。飛び抜けて強い奴がいるわけでもない。油断せずに行けば大丈夫だろう。気を引き締めて行こうか。」


 セイジン達は次のエリアに関してメルとバレリアに調べてもらいながら、ダンジョン内を一歩一歩と足を進めていった。

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