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崩壊世界とダンジョンと   作者: めーた
ハルカたち
44/96

第44話 ドッシュの秘密とヴァイスのオーダー

 2層へ着き、無事にキャラバンはマシンヘブンにたどり着いた。

 最後のアイアンアームズ・センチピードを倒したライダーズの余韻が頭から離れないユラは早くベルトを買いに行こうと意気込んでいる。

 

「そういうことなら、俺の行き先についてからでも遅くないぜ。ロル&ラウルってところだ。ちょっとでもここらのウェポン取扱店を知ってれば、すぐに出てくる店の名だ。最も、店主が意外に気難しくて、顧客を通すかどうかはあちら次第って話らしいがな。」


 噂だけなら、メルが知っていた。そもそも、ここら辺の商店はビーム商会の傘下に入っていて、その中でもロル&ラウルは直営店みたいな扱いになっている。良質なウェポンを取り揃えていて、顧客になるためには紹介が必要という噂があった。


「そんな店、我々だけでどうにかできるわけがなかろう。」

「大丈夫だ、俺がその店の職人に一時なるわけだからな」


 メルが、クラフトに向かって頭大丈夫なのか?とストレートな目線を投げつけた。涼しい顔をして、その目線を受け流すドワーフ。

 

「うーん、詳しくは言えないけれど、大丈夫だと思うよ?私が約束する。ド、じゃなかった。クラフトさんは間違いなく腕利きさんですから。」


 取ってつけた様な評価だけれど、ハルカが推す。ハルカはエスパーの能力で、何かを知っているはず。アモットをはじめ、メンバー全員からの信頼を得ているので、この言葉に逆らうメンバーはいなかった。


 ロル&ラウルにたどり着くと、受付の店員から一見さんはちょっとという遠回りな拒否をされた。

 そこに店主の双子がやってくる。


「店主のロルです。申し訳ないが、こちらの店はビーム商会で何かしらのお買い物をされたお客様が紹介という形でお入りしていただける形態でして。申し訳ないが、お引き取りをお願いしたく…。」

「ああ、すまん。客としての来店ではないんだ。わしをこの店で雇ってもらおうと思ってな。」

「はぁ…。すみませんが、何かお持ちで?」


 この「何かお持ちで?」は所謂才能、ギフト、その他もろもろの特殊な力を持っているのかという話だ。一般作業員はウェポンスロットを1つ持っていれば事足りる。なぜなら、この世界の道具というのはウェポンスロットを通すだけで使い方だけではなく、その応用までも大体できてしまうものなのだ。

 3DP(3Dプリンター)をうまく使えるかどうかと、3DP(3Dプリンター)で何か特殊なことができるかというのでは後者の方が特殊なケースになる。

 ロルは、詰まるところ、あなたは何か特殊な才能があるか?と聞いている。


「見せる分にはやぶさかじゃないんだが、ここでやるとなると…。」

「なら、奥の部屋に行きましょう。私どものプライベートエリアです。監視カメラの様なものもありませんから。」

「そいつはありがたい。では、若干のCPも恵んでもらえるとありがたい。」

「はぁ、それは数CPでも足りるので?」

「見せる分には大丈夫じゃよ。」


 そう言って、ロルとラウルが奥へとクラフトを連れて引っ込んでいった。


 

 少しして、ロルとラウルが興奮気味にこちらに戻ってきた。

「まさか、あなたがその力をお持ちとは!あなたの力の前ではウチの3DP(3Dプリンター)は骨董品も良いところですよ!」

「本当だとも、まさかねー!その力、各方面から狙われてるんじゃない?」

「理解が早くて助かる。おかげで、それほどここに長い間滞在はできんのじゃ。いいところ、1ヶ月かのう。」

「1ヶ月でも十分です!早速、こちらのほうで約束を守れる口のかたいダイバーに話をかけてみましょう。」

「セイジンとこにも話しておこう!あいつら、しばらく3層で燻ってるからな!!いい起爆剤になるぜ!!ハッハッハ!」


 何やら、入る時とはうって変わってテンション高く帰ってきた店主達である。

 


 ハルカは知っているので、理解できた。

 何せ、あのドワーフさん。クラフトさん改、ドッシュさんはこの世にも珍しいウェポンマイスターですからね。

 量産数こそ3DP(3Dプリンター)に負けますが、そちらと違って注ぎ込めるCPに上限がありませんからねー。

 メルさんも30CPを使ってガンファーを作ってもらいましたけれども、ドッシュさんに至っては100CP注ぎ込むことで、それにふさわしい装備が出来上がるってわけですからね。

 そりゃ、企業にお偉いさまや、研究者様方が放っておくわけないですね。さんざ、研究と一部のエリートのためのボーナスとしてウェポン作成とその仕組みの研究をされたはずですよ。

 100CPのウェポン、正直想像しただけでどんな威力を持った恐ろしいウェポンが出来上がることやら。

 ドッシュさんが、1つのウェポンを作るのに時間が必要だから施設軍隊なんかには量産できないところが企業の施設軍隊に装備が回されなかったのが救いですねぇ。

 もしかしたら、ダイバーの仕事がそちらにとられていたかも知れません。

 私たちも作ってもらいたいものですけれど、肝心のCPが心許ないですからねぇ。

 何よりも、この秘密は口外厳禁。あちらから声をかけられない場合は、作ってもらう事すらできないのです。


「まぁ、私たちは手に入る範囲で装備を更新していきましょう。」

「ウン?ソウダね、ハルカちゃん。」


 とりあえず、クラフトから約束通り一人頭20CPを受け取ったハルカ達は、2層の強そうなダイバーに片っ端から連絡を入れるロル&ラウルの店を後にしたのであった。



 2層のビーム商会に連なるウェポンショップや戦車専門店に足を運んで各々が欲しいものを買っていく。

 ドッシュのとんでもない能力で作成されるオーダーメイドウェポンと比べることはできないが、こちらはこちらでさすが2層の商品。基本的な能力が違っている。

 特に、ユラはご執心だったシェイプシフトベルトを買ってご満悦だ。


「ふふっふ!これで巨大化してさらに変身だ!やった!」


 ユラにしか分からないであろう嬉しさを周りに表現している。

 他の面々も、武器の改造やら魔術のランクアップなどをしていた。ハルカも悩みに悩んで、ウィークネスグラスを購入した。対象が受けている状態異常につけ込み、さらにその状態の弱点を調べて攻撃するウェポンだ。そのために、3つ目の解除もしてあっという間に資金が尽きてしまった。他の面々も大体同じである。

 ただ、ドッシュから連絡があり、


「こちらの階層には1ヶ月ほど滞在する予定だが追手が気になるため滞在期間が過ぎたら3層へと移動するつもりだ。その時、こちらの事情を理解しているそちらのチームに直接オーダーをしたいので、3層へ移動できる様になっていて欲しい。3層に到達できたのなら、わし自らウェポンを作成することで報酬とさせてもらうつもりだ。」


 などという連絡もあり、ハルカはモチベーションが高くなっている。


「頑張って、3層へ行こう!!」

「珍しいよね、ハルカがヤル気を出すッテノハ。」

「まぁ、やる気があるのは良い事で御座るよ。」


 早速、こちらのダイバーズオフィス2層支部へと足を運ぶ。

 こちらのオフィスは人数はやや、少なめの様に感じた。やはり、ルーキーがいないだけでも随分と印象が違う。活気はあるが、どちらかといえば静かに燃える様な感じを受ける。

 ハルカ達はその中でも一際元気よく入ってきたため、目線を向くがすぐに興味を失ったのが、各自のチームでの作戦会議などに戻って行った。


「あら、あなた達ね。ライダーズと一緒にこちらへ来た初めての子達って。」


 受付に居たのは1層のティンクの様な、か弱そうなイメージの所属ではなく美しい姿をした人間大のゴーレムであった。とは言っても、アモットよりもよっぽど人間らしいフォルムをしており、喋らなければ人間と間違いそうになる。口元が動かないので、ゴーレムとかろうじて判断できるくらいの精巧さだった。


「2層は初めて来たのですけれど、何か簡単なオーダーありますか?」

「えーと、そうね。簡単というなら、施設占拠をしているおかしな人たちの排除なんてどうかしら?わかっているかぎりだと、ジョブもちのテック至上主義者達が食料施設を勝手にハックして自分たちのものにしてるみたいなの。メインは施設開放なので、テック至上主義者達の方は生きてても死んでても構わないわ。生憎だけれど、相手が生きていることによる追加の報酬もないからね。」

「わー、それは人間相手でやることになりますよねぇ?結構、多いんですかこの階層だと。」

「表層都市でも似たような形でいたと思うのだけれど、こちらでも似たようなものよ?エネミー相手がいいのなら別のを紹介するわ。そちらは、単純なエネミー退治なのだけれど、ちょっと場所が遠いからヴィークル乗りじゃ無い人たちにはオススメはしないわ。」


 ヴィークル、いつかは買うべきだろうか。ハルカは悩みつつも、最初のオーダーを請け負った。

 生死問わずなら、単純に生かして捕まえる方向でも問題ないからであった。

 オーダーを受けて、オフィスを後にした頃にヴァイスからハルカへ個人通信がかかってきた。


「はろー?そちらが受けたオーダーの中にジャスティスって男がいるはずなんだけど、オイラから密命を受けて例のチップを量産してるはずなんだけど、消息が掴めなくなってるんだよね。もし、居たら何故行方をくらませたのかを調べて欲しい。死んでれば、それまでで良いよ。あ、装備の回収はしておいて。ではねー。」

 

 こちらの言い分を聞かずに、一方的に通信を切られてしまった。今の会話は他のメンバーへと知らせておこうと思い、情報共有する。

 

「なーんか、怪しくね?」


 ユラに言われなくとも、怪しいとは思っている。ハルカは悩むが、ヴァイスのオーダーは500人の人質と交換で出されてるもの。余程のことがない限りは受けるしかない。


「私がこれを受けないと、ダメだからね。皆、ゴメン。協力お願いします。」


 ハルカがそう言うと、他の面々は是非も無くうなづいてくれた。

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