キーマンのガキ
SRSソードの本当の実力を見る為には、リスターの実力を100%以上にする必要があった。これを俗に完全形体と呼ぶ。リスターの体は完全形体には近づいて来てはいるが、それがいつ何処で臨海状態になるのかは分からなかった。
残りのギャートルとブラックキャットとの戦いで花咲き勝利するのか。はたまた、花咲かずDASに引導を渡されてしまうのか?それはまだ分からない。
リスターにとってはいち早く臨海状態になり、SRSソードの機能を最大限発揮したい。アルティメスになれる資質は、リスターは持っている。ただ、いつそれが開花するのか、予想するのは難しい。
さて、DAS残存艦隊によるSTRS旗艦スペース・フォース・ファイブ(SFF)への奇襲攻撃は、失敗した。となると、考えられるのは体勢を整える為にも、まずサウィノスにいるリスター達が邪魔だった。現時点で、エリア4ギャートルの宇宙ギャングスペースまで、突破されてしまった。
「ブラックキャット総帥、聞こえますか?」
「どうした我が弟よ。アイザー・ゼルトの首は取れたか?」
「兄貴すまん。此方の艦隊は壊滅状態だ。守りも堅固でアイザー・ゼルトに近づけない。」
「分かった。お前は引き続き残存艦隊を率いてSFFを叩け。此方はあのSTRSのガキを何とかせにゃならん。」
「了解した。」
ここから巻き返すのは容易な事ではなかったが、1つ1つ相手勢力を排除していかない事には道は開けて来ない。そもそも、ここまで進入を許したその背景には、リスターという台風の目をDAS戦力が抑えられなかった事に主要因がある。
今更そんな事を言うのかと思うかも知れないが、それが事実である。恐らくSTRSも、リスターがいなければここまで上手くDAS戦力を剥がす事は出来ないはずである。
このDASとSTRSの最終決戦のキーマンは、誰が何と言おうとリスターである。只の指揮下幼年学校2年1組の学生だったガキが、半年の内に少佐になり、今やSTRSの主力となり、DASの主力を次々に討ち取ろうとしていた。




