茶でもすすっていよう
シャルドラスは多く見かけるが、軍団長であるシャンドラーの姿は見当たらなかった。リスターとしては、エリア長を見つける事で、モチベーションが上がるものであるが、やはり隠れる事に関しては超一流のシャドー軍団長シャンドラーは、肉眼で確認出来る範囲においては、今の所発見には至らない。
このエリアで活躍したのはグロセリウスであった。重火器を使った特殊作戦仕様の"ファイラウトスーツ"によって、全身に火器を取りつけた状態で、蟻を踏み潰す象の様にシャルドラスをまとったシャドー軍団兵に立ち向かって行った。
弱点が分かっている為、いくら物理的攻撃を一切受け付けないシャルドラスであっても、苦にはしなかった。100体以上いたはずのシャルドラスをさっさと片付けて、リスター達は、エリア3のボスであるシャンドラーを探した。
しかし、シャンドラーは一切出てこない。リスターはジタバタしても仕方がないと、一度部隊に休息を与えた。10人のグロセリウス隊員を警戒隊員に任命し、傷の手当てや飯を食った。敵陣で茶をすすっている場合ではないのだが、これは案外重要な事であった。
これから先、更なる激戦が予想される中、体力20%の兵士と体力40%のどちらが長く戦えるかは、小学生でもわかる。ここで一息入れる事によって、勝率を上げようとしたのは、ナイスアイデアである。何故、シャンドラーがエリア3に居ないのかという事は、後で分かるようになる。
しかし、エリア長不在ではいくら豪腕揃いのSTRS突入部隊でも、重いエリア4の扉を開けるのは容易ではない。となれば、茶でもすすって気長にシャンドラーを待つ方が得策であろう。
実際にシャンドラーは、突入部隊が迫って来ている事を知りながら、ある任務の為にエリア3にはいなかった。エリア4にリスター達が行けぬようシャルドラスをかけた鍵をして。燃やしても効果のないようシールド・オブ・シャドーの特殊加工を施して。
無論、シャンドラーには彼なりの狙いがそこにはあった。リスターは、少し不安になりながら茶をすすっていた。




