命をかけた、一世一代の大勝負
ラナドランソード…。それは、ディザードがドラゴン軍団長に就任した時に、ブラックキャットから貰った剣である。ブラックキャットに忠義などほとんど無かったが、この剣の強さを知り、その価値が分かった時の感動は、今も忘れていない。
この剣のお陰で自分はブラックキャット総帥の手下としてやっていけている。それは言い過ぎかもしれないだろうが、その位このラナドランソードはお気に入りの武器だった。
取り手が、龍の顔になっているこのロングソードは、ディザードが使うからこそ威力を見せる物であり、他の者が使っても素手であるのと変わらない。
そう。このラナドランソードは、ディザードの身体能力をベースとして、ブラックキャットが武器研究班に5年の歳月をかけて作成させた、ディザードの為の、ディザードによる、ディザードの為の武器である。
「そういやぁ、実戦でラナドランソードを軍団長が使うのは初めてじゃないか?」
「そういやぁ、そうだな。ま、ドラゴンスペシャルで暴れられるよりいいか。」
「敵の少年剣士17歳で少佐だってよ?」
「へぇ~。ま、お手並み拝見だな。」
このラナドランソードは欠陥品である。なぜなら、強力過ぎて制御出来ず暴発してしまうからである。諸刃の刃なのだ。1度起動すると、ディザードからエネルギーを吸収し続ける。1度使えばその威力に自分の死と引き換えに相手を滅する必殺剣なのだ。2度目はない。
ディザードは、普段は「ディザスペンサル」と言う双剣を使用しているのはその為である。リスターのサマムネに対しては、恐らく双剣よりも、一太刀のラナドランソードの方が良い。
ディザードの覚悟をリスターはヒシヒシと感じた。DAS-4のPRIDEにかけて、必ずここを死守すると。勝てるか勝てないかではない。絶対に勝つんだ。至上命題として、もう負けられない。
ディザードにとって一世一代の大勝負が幕を開けようとしていた。それは受けるリスターにとっても同じ事であった。




