緊急加速装置(JTB)
エリア2に入ってからする事は、まず強靭な竜騎兵を倒しまくる事である。その上で、リスターやジャスミンがディザードを仕留める。
そういう方針で進んでいた。エリア2に入っても、STRSはチームプレイに徹する姿勢は全く変わっていない。
その頃、SFFを巡ったDAS艦隊とSTRS東西南北連合艦隊との艦隊決戦が、かなりヒートアップしていた。戦力充分のDASの大艦隊の前に、押され気味のSTRS東西南北連合艦隊であったが、こういう事もあろうかと、SFFには緊急加速装置ジェットターボブースター(JTB)が、装備されていた。毎時50000㎞までなら、通常出力に上乗せ出来る。
これを使ってまず、SFFを戦闘区域から離脱させる。それを見たミシェリー少尉率いるSTRS指揮下傭兵部隊を投入し、一気加勢にDASの大艦隊を駆逐する事がSTRS全軍に指示された。
リスター達にはプレッシャーかもしれないが、旗艦であるSFFが撃ち取られては、元も子もない。リスター達がブラックキャットを討ち取っても、勝ち戦なのか負け戦なのか分からなくなってしまう。それだけは何としても避けたかった。
その為、突入部隊の支援はここで一旦ストップになってしまうが、何とか残存兵力で頑張れというのが、申し訳ない気持ちでJTBを使いこの戦域を離れる、アイザー・ゼルト元帥の心中にはあった。
殿を務めたのはウェントハット中将の率いる第13艦隊と第14艦隊であった。STRSの中でも、トップクラスの戦力を誇る西部方面隊の精鋭部隊が、リスクを承知で殿を務めた。結果的にこの部隊の損害が最も大きい物になるのであるが、これは致し方ない。
何せ、DASの残存艦隊を一挙に抑え込もうとしたのであるから。いくらウェントハット中将率いる精鋭部隊とは言え、損害0というのは、出来ない相談だった。こうした殿にも気を配るのが撤退作戦の定石である。
その間に、先頭を行く此方も精鋭部隊であるサウザイガム中将の部隊が、SFF脱出用の進路を空けて万全の態勢で、SFFがJTBを使用するのを今か今かと待ち構えていた。




