大車輪 With fire
突破口が無いと思われていたタイガー・ラスクだったが、ミシェリーが持っていた53式火薬炸裂弾を50式マシンガンにセットして撃ってからは、状況が一変する。
これはあくまでミシェリーの勘によるもので裏付ける物は何も無かったが、タイガー・ラスクは獣であるから、火が弱点だったのである。ここまで、リスターやジャスミンは、火を使った攻撃はおろか、打撃攻撃ばかりを繰り出していた。元来から防御力に定評のあるタイガー・ラスクに打撃攻撃とは芸がない。
53式火薬炸裂弾は、タイガー・ラスクの致命傷にはならなかったが、これを機にリスターとジャスミンは火力を使用した攻撃を繰り出していく。完全無欠の暴走獣戦士タイガー・ラスクにも弱点はあったのだ。
しかし、ミシェリーの持っていた53式火薬炸裂弾だけでは、タイガー・ラスクを絶命させる程の威力はない。そこで、リスターとジャスミンは合わせ技を編み出す。
リスターは名刀サマムネに油をかけて、ジャスミンは53式火薬炸裂弾をタイガー・ラスクに照準を合わせた。そして、リスターが編み出した秘剣その1大車輪を放ってみる事にした。
確実に倒せるという確証は何処にも無かったが、このままでは悪戯に時だけが過ぎて行くばかりである。そうなるとDASの手中にはまってしまう。なんだかんだエリア1でかなりてこずっている為、この先のエリア2、エリア3、エリア4まで体力がもたないかもしれない。
そういう野望をDASに抱かせない為にも、大車輪 With fireを成功させねばならない。そして、忘れてはならない。ここはまだエリア1であるという事を。敵の弱点が分かった今、そこを徹底的に突くのは、戦いの常道である。弱肉強食の殺しあいでは、弱点を見せた方が負ける。
強い事は罪ではない。それが生物の基本原理だからだ。例えそれが醜い猛獣であっても、トカゲのような気味の悪い宇宙人であってもだ。
リスター達は未来を切り開く為の戦いをしている。自分達が、勝つ事でしか未来を切り開けないのは、酷な運命なのかもしれないが、それは彼らに与えられた使命なのである。




