リスターとジャスミンによる変則タッグバトル
ジャスミンはきちんとサインを覚えていた。
「ピンチの時は手で○を作って‼」
それがリスターとジャスミンの間で交わされたサインだった。このサインが交わされるきっかけになったのは、2人が果ての果ての銀河に飛ばされた頃までさかのぼる。
「あ~あ。何か面倒臭い様な事になってしまったなぁ。」
「そんな事言ってる様だからあんたは二流止まりなのよ。」
「そう言うジャス姉だって心の中では、とっくに諦めているんだろう?」
「私がいつ諦めたのよ?私はいつも前を向いてやってるわ。」
「どんな時も?」
「そうよ。どんな時も。」
「貴方がピンチの時は手で○を作りなさい。」
「そうすると、どうなるの?」
「もれなく私の助太刀がうけられる。」
「何だよそれ?そんなの使う時が来るのかよ?」
「まぁ、いいや。何が起こるか分からないから、覚えておくよ。」
「私の助太刀を欲す時が必ず来るわ。私にはそう思えて仕方ないわ。」
こういうやり取りをした事は記憶の彼方に消えて行きそうになった。しかし、今とてつもない逆境状態にあっても尚、それを思い出す事が出来たのは、ジャスミンに対して頼る感情があったからに他ならない。人は意識もしない相手の事など、気にも止めないものである。
ジャスミンは今やグロセリオスの隊長である。泣く子も黙るSTRS史上最強の部隊を束ねる人間だ。そんな彼女の力を借りない手はない。例えそれで卑怯者のレッテルを貼られたとしてもである。
自分に今必要なのは、一人で戦い抜く力ではない。誰かに助けを乞えるかというプライドなどかなぐり捨てた行為が求められているのである。
ジャスミンは、リスターからの○のサインを確認するとそのサインにOK OKと唱えてガッツポーズをリスターに返した。リスターは全く意味は分からなかったが、ニュアンスで伝わった様だ。
こうして、リスターとジャスミンは2:1の変則タッグバトルをアニマル軍団長タイガー・ラスク相手に決める事になった。50式マシンガンをぶっ放す所から始めるあたりは、流石グロセリオス最強の女性隊長だけあった。




