宣戦布告
リスターが強くなって帰って来るのを待っていたかのように、STRS総督であるアイザー・ゼルト元帥は、遂に宇宙海賊DASをアスグリア銀河から撃滅するべく、「DAS駆逐宣言」を公式に発表した。勿論、この宣言はアイザー・ゼルト元帥閣下以下70.5万人のSTRS総員の総意である。簡単に言うなれば、宣戦布告という奴だ。
東西南北の４つの方面隊は、それぞれのエリアで、最低限度の人員(およそ1.5万人)を残し、 まずはエリア内にいるスペースギャングを掃討する事にした。それからDAS本部であり、DAS本隊及び四天王指揮下の４軍団とブラックキャットが待ち構えるサウィノスを奪還する二段構えで作戦を開始したのである。
リスターのいる宇宙戦艦コバルニトフは旗艦SFFを護衛する艦として、SFFの側にいた。
作戦の第１段階からかなり激しい局地戦を繰り広げる事になったが、兵力では劣りつつも、兵器の質で勝るSTRSは、スペースギャングの掃討作戦を無事にやり遂げた。これで数字上は100万人の兵力を排除した事になる。だが、問題はこの先からである。机上の計算では優勢でも、サウィノスには、方面隊クラスの宇宙駆逐艦では敵わない敵もいるだろう。スペースギャングもサウィノスに集められている可能性もある。
とにかく、サウィノスを奪還するしか完全勝利の道はない。しかし、リスターは思った。少し不気味な位DASはおとなしすぎるのではないかと。スペースギャングに至っても撤退の速度があまりにも早い。
それはまるでDASの仕掛けた巨大な罠のワンピースでしかなく、肉を切らせて骨を断つ様な不安がない訳ではなかった。
何も恐れる事はなかったのだが、どうしてもこれまでの事を思うと、警戒をせずにはいられないというのが本音であった。
サマムネを見つめながら、リスターはきっと何かある。とそう思わずには居られなかった。だがそれは、指揮官であるアイザー・ゼルト元帥閣下も全く同じ心境だった。
