エクストラハードコース前半
ここまでストイックになれるものかと感心する姿勢で、リスターは修行に取り組んでいた。その背景に何があるか竜童はあえて聞かなかった。そんな事よりも自分を強くする事だけに集中してくれという、そういう目で黙々と剣を振らせ続けた。
そういえば?と竜童は思った。過去に一人だけリスターと同じエクストラハードコースを受講した人物がいた事を。その人物はブラックキャットだった。若かりし頃はまだファーストネームのダニワークと名乗っていた。ダニワーク時代のブラックキャットもエクストラハードコースを受講するまでは、何処にでもいる平凡な剣士だった。
しかし、何処で竜童の事を知ったのか、金に糸目をつけずとにかく最短で強くなる事を望んだ。飲み込みも早く、吸収率は抜群だった。
そんな話を今はするべきではないと思った。そんな無粋な話はない。とにかく今はこの若造をイッパシの剣士にする事に集中しよう。そしてその先にどんな剣士が出来るのか。久しぶりにそんな心境になれる逸材が出て来た事を素直に喜んだ。
修行は前半の5日間を終えて、後半の5日間を迎えようとしていた。とにかく、言われた事以上の課題を乗り越えるリスターは、竜童ですら驚いた。類い稀なる才能の片鱗を見せていたのだ。そのセンスに磨きをかける為の修行は、まるで一皮むけた豆のように、輝きを放つものであった。
とにかく、あんな惨めな想いは、もうしたくない。その想いで精一杯だった。上達というよりは進化という言葉の方が、適当かもしれない。リスターは、1の事を言われたら10の事をこなせる男になった。トップに立とうとか、偉くなろうという野望は微塵も無かった。とにかく、DAS上層部をこのアスグリア銀河から駆逐し、正常化する。その想いだけで剣を振った。マメで手がボロボロになってもテーピングをしてひたすら剣を振った。
己の強さに過信していた、そんな過去と決別する為の、ド根性はリスターを更なる高みに押し上げて行ったのである。最も、まだ半分の課程を終了したに過ぎない。それでも、目に見える程の力強さや、オーラと言ったものが備わっている事は誰の目にも明らかだった。教えていた竜童も驚愕する成長ぶりだった。




