STRS 西部方面隊本部惑星ミルガイツ
背中に背負った54式レーザーガンが火を吹く事はなかった。本来ならそれだけでも喜ばしい事なのであるが、更に幸運な事にリスターの乗ったC級宇宙駆逐艦の行き先リストに西部方面隊本部へのルートが存在していた事である。
もう何度もC級宇宙駆逐艦によって、ピンチを切り抜けてきたリスターにとって、操縦など容易い事であった。後は、敵に見つからずに西部方面隊本部に戻るまでである。
C級というだけあって、A、B級宇宙駆逐艦や宇宙戦艦に比べると、兵器のディテールは落ちるが、それでも移動するだけなら充分やり過ごせるだけの武装はしてあった。
それから1日後。西部方面隊本部のある大きな惑星"ミルガイツ"に入った。そこから本部に向かうまでの記憶は正確にはなく、ボンヤリとしていた。気がつけば多数のSTRS兵士に囲まれていた。その時になぜ取り囲まれていたのかは分からなかったが、冷静に考えて見れば分かった。
惑星"ドゥリコフ"内でC級宇宙駆逐艦をかっぱらい、惑星"ミルガイツ"に来たという事は、盗んだバイクで走り出した青年が、そのバイクの持ち主居住エリアを管轄していたポリスに捕まる様なものである。
要するに原理としては、盗まれた宇宙駆逐艦を追うようにウエストエリア方面隊から西部方面隊本部へと通達が出されていた。リスターは弁解もしなかったが、身分と自分がした行為を素直に話すと、手荒なマネはしなくなった。
結局、事を丸くおさめたのは、最高指導者のアイザー・ゼルト元帥だった。"つるの一声"とはまさにこの事である。リスターの犯した違法行為は、アイザー・ゼルト元帥閣下の意向で、全て揉み消された。
こうしてSTRSの指揮下(勢力圏内)へとリスターは戻ってきたリスターであったが、一件落着とは行かなかった。無くしたSRSソードと、KMシールドの行方について、しっかり回答するまでは、温かい食事さえも出されなかった。これは、1兵士が武器を無くしてしまったのとは訳が違った。しかし、リスターは冷静だった。
「SRSソードはサウィノスに、KMシールドはDAS四天王が、4分割にして持ってます。」




