善悪を見分けるセンサー
ゴードス大佐率いるリスター捜索部隊は、人海戦術でありとあらゆる惑星に探査に入ったが、アスグリア銀河には大小合わせて1万以上の惑星が存在する。闇雲に探しても見つかる筈はない。
しかし、絶対に諦める訳にはいかなかった。アイザー・ゼルト元帥はこう言って捜索を命じた。
「リスターと言うあの男無くしてDASに勝利は出来ない。そして、リスターを再び見つけ出した時こそ、STRSは一気加勢にDASを打ち破らんとするであろう…と。」
一介の少尉にしては、随分と買いかぶられた感じも否めないが、確かにアイザー・ゼルト元帥の言う様に、階級以上に存在感のある男ではあった。
さて、アットラー隊長がクラドークサスに帰還したという事で、サーヤンを通して彼に会う事になったリスターは、この惑星から脱出する方法を模索していた。
「気がついたか?STRSの若き兵士よ。我々は君の味方だ。STRSの正規兵士ではないが、DASは我々の敵である。何せ豊かな星だったこの惑星を、デスフラワーで一杯にしたのは、宇宙ギャング総組長ギャートルその奴である。」
「何?ギャートルが、デスフラワーを?」
「ああ。我々はただ歯向かう事すら出来ず、デスフラワーの植林を許した。その反省から、自警団クラドークサス警備隊を結成した。」
「そうか。ギャートルなら俺が倒した。と言っても気絶させただけだがな。」
「流石はSTRSの正規兵士だ。だがギャートルの息の根を止めるのは、我々に殺らせてくれ。」
「構わんが、自主防衛で頼む。俺は敵将ブラックキャットで、手が一杯なんだ。」
「幸いにして、STRSと我々は敵対していない。だから、共通の敵を持つ同盟軍いや、同志として、君をSTRSの元へ送ろう。」
リスターは、両手を上げて喜びたかったものの、自分が交渉や利益の為に利用される事を危惧していた。ただ今は、この惑星を脱出して、一刻も早くSTRSの戦士として、ゴードスの元へ戻らねばならない。手段を選んでいる場合ではなかった。
「よろしくお願いいたします。」
リスターはアットラー隊長を信用するしか道が無かった。それでも、サーヤンをはじめクラドークサス警備隊の面々からは、悪人のオーラは全く感じられなかった。
それどころか、リスターを利用しようとする様なしたたかさも全く感じられ無かった。リスターはこう言った人の善悪を見分けるセンサーは人一倍鋭いモノを持っていて、外した事の無い名人芸を持っていたのであった。
大丈夫さ。そう自分に言い聞かせるしかなかった。




