アミノルド副官ぺリスの英断
こんなにも実力差があるとは、思ってもみなかった。確かにギャートルと戦闘をしてはいた。その分を差し引いても、ブラックキャットの強さは圧倒的だった。
もう、これ以上痛ぶっても何も面白くもない。そう判断したブラックキャットは、リスターの持っていたスターライトセインツソードとコスモシールドを取り上げて、手の届かぬ所に放り投げた。
それからブラックキャットはまず、リスター本人を適当な惑星にワープさせようと、ミーアズツインテールを使って、魔法陣を描き始めた。その描かれた魔法陣の上にリスターを無造作に投げ入れて、魔法陣を手慣れたように起動した。
すると、リスターは一瞬の内に何処かへ消えた。これは、ワープスターズと呼ばれる転送方法の1種で、アスグリア銀河では、ポビュラーな呪文というよりは、転送作業であり、ブラックキャットが何か特殊な事をしたわけではない。
魔法陣の描き方と転送時のキーワードさえ押さえておけば、誰にでも出来る事ではあった。リスターの転送先は、その転送を行ったブラックキャットにしか分からない。
エイトフリケーツ旗艦アミノルドに乗艦していた副官ぺリスはそれを目視して、リスターの救出を断念しアリスガに帰還した。折角手に入れたSRSソードとKMシールドだったが、使い手がいなくなっては宝の持ち腐れである。
そして何よりも、これらの武具を敵将ブラックキャットから取り返せるメンバーが、いないからこそアリスガへの帰還という選択肢を選んだ訳である。
現状、DAS四天王を全て倒し、敵将ブラックキャットに単騎突入出来る戦士は、STRS70.5万人の中でもいない。田舎方面隊の軍長クラスでもせいぜい5人~6人腕っぷしの強い奴らはいたが召集をかけておらず、エイトフリケーツだけでは、いたづらに犠牲者を出すだけである。それよりは、アリスガにいるゴードス隊の応援を向かえる方が、賢明な選択肢だった。
とりあえず、捕まっていた部隊を、救出出来ただけでも良しとせねばなるまい。こうしてリスターの意志を託されたアミノルド副官ぺリスは、アリスガへの早急な帰還を決定した。




