あの男
「ダダーン‼」
「うわっ!?」
あれだけリスター達を苦しめていたランスがショットブレイカーによって弾き飛ばされていた事に驚いていたのは、ギャートルではなく、リスターであった。それは驚くのも無理はない。
ランスを慌てて取りに行こうとしたギャートルに対してリスターはSRSソードを思い切り後ろから振り抜いた。無論、ギャートルは無防備だった為、脳天を直撃した。いくらDAS四天王とは言え、背後から無防備に脳天を直撃する攻撃を受ければ、絶命する事は無くとも、ピヨる事は目に見えていた。
ギャートルが気絶した事を確認したリスターは、直ぐに突入部隊10人を待避させるべく、退却を急がせた。勿論、殿はリスターが務めた。
直ぐにブヘルキア城を脱出出来ると思っていたが、リスターは完全にあの男の存在を忘れていた。そうとも知らずにリスター達は退路を悠々と進んで行く。リスターとしては100点満点に近い救出作戦だった。
勝ち目の薄かった戦を引き分けに持ち込み、救出も全員無傷で成功させた。これ以上無い出来だったが、あの男の出現によって、リスターは30~40点という散々な結果になってしまうとは、思っても見なかった。
冷静に考えて見れば、ここはDASの総本山サウィノスである。四天王が全員揃ってはいなくとも、と考える事は可能である。しかし、リスターは満身創痍の今、ギャートルを撃退出来ただけでも、御の字だった。
それに幸いな事に犠牲者は出ていない。それがリスターの実力なのか運が良いのかは分からないが、あの男が現れてしまうと、そんなリスターの武勇伝も霞んでしまう事になる。
ダーク・アンフェア・シャドウ通称DAS。銀河アスグリア広しと言えども、これだけ悪さを働くギャングは未だかつていなかった。あの男もその一味だった。STRS創設史上最も無謀な闘いが始まろうとしていた。




