ショットブレイカー
何か打開策がないのかとリスターは迷いつつも、深く考えている余裕が彼には無かった。その時、リスターにとって良い知らせが、イヤードレイグ(イヤホン型通信装置)を通じて入って来たのだ。先にブヘルキア城を脱出した突入部隊員と、ジャスミン小隊が、旗艦アミノルドに収容された。との一報が入った。無論、今ギャートルと戦っている10人の突入部隊員と共に撤退するという選択肢もあったが、それが出来ない状況である事に変わりはない。たった10人の火力支援では、焼け石に水であった。自分の強さの無さをリスターは悔いていた。
すると、後ろから一人の隊員が声をかけてきた。
「リスター少尉!ショットブレイカーを使用してみます‼」
リスターはそうか、と閃いた様にうなずいた。
「そうか、あれがあったか。」
「よし!やってくれ‼」
ショットブレイカーとは、対戦車用の重装甲破壊誘導弾であり、54式レーザーガンには2発が、標準装備されている。普段は対人用兵器では無いのだが、リジェクトウェーブを封じて尚反撃可能な唯一の兵器だったかもしれない。少々狙うには、的が小さい気もするが、誘導するまでもなく至近距離での発射である為、当たらないという不安にかられる必要は無い訳である。
ギャートルに気付かれぬ様に目をそらすためわざとらしくギャートルの足元に火力を集中させた。そして、引き続きリジェクトウェーブには、リスターが対応した。
この瞬時の判断と役割分担こそが、STRSの強みである。良く訓練された部隊があるからこそ、DASに兵力で劣りながらも、優勢に事を進められる訳である。
2人の隊員が、兵装を変え54式レーザーガンをショットブレイカー仕様にトランスフォームした。これで駄目なら打つ手なしだと、遂に2発のショットブレイカーが発射された。




