交通の要所アーセルラシティ
そんな日々が3日も続いた頃だっただろうか。人や生命体の確認は出来なかったものの、廃墟の街らしきモノを発見するに至った。
「アーセルラシティ?何処なの?」
「近くに地図があるはずだわ…。ほら、あった。」
ジャスミンは驚くほど冷静かつスピーディーである。
「果ての果ての銀河の入口の街アーセルラか。」
「姉さん、僕達果ての果ての銀河までワープしてきたの?」
「地図を見る限りはそうみたいね。でも人が全くいない。」
それもそのはずである。アーセルラシティはアスグリア銀河と、その隣のエールスニカ銀河をつなぐ交通の要所として、発展してきた街だった。それが、DASにとっては目障りであり、潰しておきたい街リストに載ってしまう運命にあった。
DASが力をつけ始めたのは、今から3年程前の事であるが、その頃DASのドラゴン軍団長ディザード率いるドラゴン軍によって、2日と持たず壊滅している。それ以来、人々はこの地には寄り付かなくなり、ほぼ無人化していた。
しかし、元は大都市である。その為、脱出用の何かは見つかる可能性がある。
「リスター?とりあえず誰も居ないみたいだけど、飛行してアールゴニタに行けるモノを見つけるわよ。」
「何かあるといいんだけど。何か火事場泥棒みたいで、気が引けるけど、すんません失礼させていただきます。」
「良いのよ。そんな律儀に。今はもう誰もいない事になってるんだから。」
「それにしても大きい町だね?アールゴニタが田舎に見えるよ。」
「ここはもしかしたら、アスグリア銀河でも指折りの大都市だったのかもね。」
2人は果ての果ての銀河に来るのは初めてだった。それもそのはず、基本的に銀河間の移動は、一部の事情ありの者にしか認めてられず、アスグリア銀河に住む人にとっても、こんな国境の街には用事がない。アスグリア銀河外部の人間が法律の及ばない干渉地帯で作った謂わば"無法地帯"それがアーセルラシティの正体である。
他に行く宛もない2人は、この町で何としても帰還出来る形を調えねばならなかった。