アイザー・ゼルト元帥閣下の無茶振り
「まずはサウスエリアの制圧、ご苦労であった。STRS指揮官として礼を言おう。さて、こんな辺境に私が来るハメになったのは、そんな御世辞を言う為だけじゃない事くらい察しがつくと思う。」
アイザー・ゼルト元帥は2組の地図を出して、ゴードスとリスターに渡した。
「その場所にあるのは、スターライトセインツソードとコスモシールドというSTRS伝統の武具だ。STRS創設者で、私の祖先である、デルドア・ゼルトがアスグリア銀河制圧時に身に付けスペースギャング(ロードリアンカイザー)を打ち負かせたという伝説の武具だ。これらの武具は、代々の元帥に受け継がれて来た。家宝とも言える。この家宝の地図のコピーをお前さん達に渡したのは、この2個の武具を取ってきて欲しいのだ。残念ながら、私はSTRS本部に釘付けだ。だが、この2個の武具はどうしても今必要だ。そこで白羽の矢が立ったのが、サウスエリアを平定したお前さん達という訳さ。何か質問は?」
「アイザー・ゼルト閣下、恐れながら申し上げます。2つの地図に描かれた場所はどちらも敵本拠地サウィノスから発せられる強力な磁力エネルギーで守られた"Gライン"の中に有ります。並みの人間では侵入はおろか、近付いただけで乗っている宇宙艦もろとも、ボロクズと化しますよ?」
しかし、アイザー・ゼルト元帥はこう反論した。
「並みの人間にサウスエリア平定は出来ないだろう?だから頼んでいるんじゃないか?」
リスターもゴードスも言い返す事が出来ない。そもそも、2人とアイザー・ゼルト元帥では、いかんともしがたい階級の差がある。ゴードスは別としても、リスターはまだ正規兵士になりたての初心者である。アイザー・ゼルト元帥はSTRS70.5万人のピラミッドの頂点に立つ男である。2人は、アイザー・ゼルト元帥の要求という名の命令に近いこの無理難題を飲む他無かった。劣勢だったSTRSの反撃の狼煙を上げた事を上手くアイザー・ゼルト元帥に利用された形となった。
「アイザー・ゼルト元帥閣下!このミッションの期限を教えて頂きたいのですが。」
「2週間でやってもらう。出来なければ最前線で戦ってもらう。」
「2週間…て。」
リスターはこの数字がとてつもなく少ないような気がして、ならなかった。が、アイザー・ゼルト元帥閣下の手前「はい。分かりました。」というしか無かったのである。




