果てしない荒野
「いっっ…。ここは何処なんだ?」
気がつくとリスターは、見たこともない荒野に飛ばされていた。乗っていたはずの練習用宇宙空母「パラリアス」は彼の視界には存在しない。
辺りを右往左往していると、気を失っていた姉のスライノル・ジャスミンを発見した。
「ジャス姉起きて‼」
するとジャスミンは目を覚ました。
「リスター?ここは何処なの?みんなは?」
それはこっちが知りたいよと思ったが、優しくこう答えた。
「ここが何処だか分からないし、パラリアスもない。皆も何処に居るかわからない。けれど俺達が生きているのは確かだよ。」
「そう。そうならば、ここから無事にアールゴニタに帰る方法を探さなくちゃ!」
そう答える姉はいつもの強気な様子を取り戻していたようである。二人はとりあえず、徒歩でひたすら人が居そうな所を目指して歩みを進めた。しかし、歩けど歩けど荒れ果てた荒野しかそこにはない。
「ジャス姉、いつになったら都市に辿り着くのかな?」
「グダグダ言わないで歩くのよ。」
二人はとにかくひたすら歩く事でしかこの先の展開はないと感じていた。すると、辺りがだんだん暗くなってきた。
「ジャス姉、夜道は危ないよ。流石に。この辺りの岩場で寝よう。」
食糧は持っていたL-4携行式歩兵銃で、鹿のような小動物をハンティングしてきた。
「この鹿肉旨いね。」
「あんた、鹿かどうかも分からないし、大体ここが何処だかも分からないのよ。」
ジャスミンは何もないこの星に少しイライラしていた様子である。
「ジャス姉、イライラしてもしょうがないよ。なるようにしかならないんだからさ。」
リスターの言っている事は、正しかった。食べる物と寝ることが出来る場所があっただけでも、感謝しなくてはならない。それ以上を望むのは贅沢と言うモノである。
とにかく今は徒歩しか移動手段がない。その為まずは、B級宇宙艦以上のグレードの艦又はそれに準ずる能力のある艦のような乗り物を手に入れる必要があった。そして現在地なのか、何処の星なのかも知る必要があった。