戻るべき場所
リスターとミシェリーの2人と別れたゴードスは、リスドランに詳しい戦況を聞いて、アリスガ攻略戦の作戦会議を開いた。
アリスガを支配しているのは、宇宙戦艦20隻とB、C級宇宙艦から構成されるスペースギャング「オラニツォフ」である事が判明した。
「こっちの戦力で闘えない程の相手ではないな。」
リスドランはゴードスの意見を踏まえてこう言った。
「現在、我が南部方面隊第2艦隊には9隻の宇宙戦艦しかありません。STRSの守備はウエスト、イーストエリアを中心に成り立っており、小回りの効く以下級宇宙艦は、リスター達に貸したスペースタール1隻しかありません。あとは、宇宙戦艦搭載の作戦機で何とかするしかありません。」
リスドランは諦めかけたように言う。
「1度DASにボロ負けしている部隊に、手厚い装備や兵器をくれるほど、今のSTRSには余裕はありませんよ。」
すると、ゴードスが言った。
「その責任は勿論、私にある。しかし、私は長いことダストボックスに居すぎた為、責任すらとれない。そんな時に出逢った同志がリスターだ。100%不可能だと誰もが、諦めるような場所から偶然を積み重ねてここまで来た。これくらいの不利で、尻込みするようでは、ここまでチャンスをくれたリスターに申し訳が立たん。リスドラン!最小限度の戦力で、何隻をアリスガ攻略戦に回せると思う?」
ゴードスは聞いた。
「4隻が限度です。」
「充分だ。今は形にこだわっている場合ではない。それに元々私は、STRSの兵士でそれは今でも変わっていない。上の奴等は怒るだろうが、まぁ良いだろう。リスドラン。アリスガ攻略戦、俺に任せてくれないか?」
「任すも何も自分はゴードス中佐の部下ですから。上官の命令には逆らえません。」
「うむ。残留部隊はリスドラン、お前に任せる。残りは私が率いる。直ぐに準備してくれ。時間がない。急ごう。」
ゴードスの目は輝いていた。戻るべき場所に戻った男の席は埃まみれだったが、それを払いのけて、希望と栄光の艦長席に座り直した。




