ワープ砲
この物語は、遥か彼方の遠いアスグリア銀河で起こるもので、全くのフィクションである。物語の主人公はショーン・リスターである。
時は宇宙パラレル世紀5万9954年。この長い歴史(といっても、広い宇宙の歴史に比べれば大した年月ではないが…。)において、新人類は、ついに惑星間で、宇宙の覇権を巡って争うようになる。
スター・ライト・ストレート(通称STRS)という銀河政府連合直轄の軍隊と、ダーク・アンフェア・シャドウ(通称DAS)という宇宙海賊が、その争いの中心にいた。
長年、DASはSTRSに押さえ込まれていたが、近年大幅な人員増と兵器の進化により、STRSを凌駕する様になっていた。
その頃…。リスターやジャスミンを乗せた練習宇宙空母「パラリアス」が、修練回航(修学旅行)から帰還しようとしていた。まさにそんな時だった。パラリアスがSTRS指揮下幼年学校のあるウエストエリア西部方面隊本部近くのアールゴニタに近付いた時だった。
DASの配下であるスペースギャングと思われる2隻の宇宙戦艦が、パラリアスに接近し、突如攻撃を開始してきた。宇宙空母とは言え、パラリアスは練習航海用に作られたもので、兵装など無いに等しい。
実戦経験も乏しいパラリアス乗員のSTRS指揮下幼年学校生の技術では、ならず者を撃退するのは、難しい。救援が来るまで待とうとした瞬間、2隻の宇宙戦艦は、姿を消していた。スペースギャングは、相手が正規のSTRS兵ではないと知ると、パラリアスにワープ砲を発射し、どことも知らぬ所へ飛ばしてしまった。
何故戦わなかったのか?それは正規兵以外の兵隊は殺さないという通称SD(スターライトストレートendダークアンフェアシャドウ)協定によるものであった。幸いパラリアスはアスグリア銀河内にある果ての果ての銀河の入口に飛ばされていた。
ワープ砲は厄介な兵器で、最悪の場合2つ、3つ隣の銀河系に飛ばされる事も珍しくなかった。だが、本来ワープ砲は自身の艦隊に放つものであり、敵に向かって撃つという事は、相当敵も疲弊していたのが分かる。