大人の階段
F級宇宙艦にまたがったゴードスがリスターに言う。
「いくらなんでも、人が少ない。しかも、皆ロボットみたいになっちまってる。お前もそう思うだろ?」
「そうですね。でも僕は、過去のサウロスターを知りませんからね。ゴードスさんが言うなら間違い無いですよ。…ん?…あっ。」
リスターは急にブレーキをかけた。
「ゴードスさん、あそこに倒れている人がいます。僕が助けに行きます。」
ゴードスは自分に構わず行けと、目でサインして、簡単な救護セットを用意した。そこに倒れているのは、リスターと同じ位の年頃の女性だった。もう少しでダルドスターに着く所であったが、テントカプセルを広げ、彼女の世話をする事にした。
何故こんな所で生き倒れになっていたのか、という事も去ることながら、彼女が意識を取り戻した暁には、現在のSTRSとDASがどういう状態にあるのか?という事を聞き出したいという下心があった。とは言え、見ず知らずの人間を介抱する事は、親切以外相応しい言葉は無い。
「こいつ、生きてるよな?」
「脈とったらふれてましたからね。高い確率で生きてますよ。」
「37度も熱があって生きてない方がおかしいよな。」
「この娘が目を覚ましたら、聞き出したい事が山程ありますからね。」
「考えている事は同じだな。今の俺達には生の情報が必要だからな。」
そう言うとゴードスは宇宙煙草をふかし始めた。
「ゴードスさん!一本貰っても良いですか?」
「良いけどよ、お前未成年だろ?吸った事あるのか?」
「人生初です。でもちょっと大人の階段を登ってみたくて。」
リスターはこの日また一つ大人の階段を登った。この時貰った宇宙煙草が美味すぎて、リスターは近い将来ヘビースモーカーになるのであった。




