打ち明けなかったその過去
リスターもゴードスに自分の事を理解してもらいたくて、少しずつ自分の過去を話始めた。それは信用のない人間には決して語れる事ではない。
「僕には1つ年上の姉がいます。ジャスミンって言うんですけど、実はダストボックスで一緒に捕まっていました。でも今の僕の力では、ゴードスさんについていくのが精一杯でした。無力な自分を受け入れられずここまで来てしまいました。姉のジャスミンは異母兄弟なんです。姉のジャスミンが2才の時から姉の家で生活をしていましたから、姉は僕の事を本当の兄弟だと思っています。」
「僕がその事実を知ったのは、毎月送られてくる宛先不明の500スゼーニ(日本円で5000円相当)の入った封筒の中に入っていた1枚の写真でした。その写真に写っていたのは見知らぬ男女でした。これを育ての親のウエイリスに問いただすと、その人物が本当の両親であると、認めたのです。この御時世養子を出して日銭を稼ぐ事など別になんてことない事です。人身売買は法律上全く違法ではないからです。ただショックでした。14才の僕が知るには辛すぎる現実でした。毎月送られてくる現金は、なんと養育費としてウエイリスが請求しているものだと知り、その時から誰も信じられなくなりました。」
「そんな時にSTRS指揮下幼年学校への編入学試験を受けました。何よりもこの学校は学費がかからなかったからです。どうせ死んでも悲しむ人はいません。幼年学校を卒業したら、STRSの4方面隊のどこかに配属される、と思っていました。すみません。話が長くなってしまって。」
それを聞いたゴードスは泣いてる様にも見えた。すると、ゴードスはリスターの肩をポンと叩いて、こう言った。
「だったら、DAS相手に一旗揚げなきゃ男が廃るだろう?」
その言葉を発するゴードスの目は力強いものだった。
そしてリスターはこう答えた。
「宜しくお願いします!"兄貴"」