リベンジを誓う男の闘気
「何、もう昔の話さ。」
ゴードスはそう言うとポッドの中にあった宇宙煙草に火をつけた。
「じゃあゴードスさんは、まだSTRSの軍人ではあるんですね?」
「本国では全滅って事になってるだろう。今更俺が生きているからと言って何も変わらないだろう。」
ゴードスは悟った様に言い放った。
「でもこの街の事や惑星の事は分かるんですよね?」
「ま、お前よりはな。」
「だったら、何か変わった何かを見つけられるかも知れませんね。」
リスターは努めて前向きだった。
「お前を見ていると、悩んでる自分が馬鹿馬鹿しく見えるよ。」
そう言うとゴードスは立ち上がって言った。
「サウロスターは、3つの都市からなる。その中でも、中心的な役割を持つのがコルオスターだ。まずは、そこに行って見よう。」
「そこに何かある訳ですね?」
「ああ。その可能性は高い。」
2人は、サウロスター最大の都市である、コルオスターに向かう事にした。ここは、ゴードス達STRS南部方面隊第2艦隊の守備エリアだった頃とは、少し情勢が変わっていたが、基本的な市民生活は、変わっていなかった。STRS南部方面隊第2艦隊がDASシャンドラー率いるシャドウ軍団に敗れた事は既に触れた。だが、その後シャドウ軍団は南部方面隊主力の第1艦隊によって排除されている。それ以来サウロスターは、STRSの支配下にある惑星であった。
時たまスペースギャングの襲撃を受ける事もあるが、それらは一過性のものに過ぎない。
この星に飛んできたことは、ゴードスとリスターにとっては幸運な事だったと言える。ゴードスにとっては5年ぶりのサウロスターだったが、それを味わうよりも、自分をこんな境遇にし、仲間を殺したDASへの激しい復讐心の高まりを抑えられなかった。
「ゴードスさん?手が震えてますよ。大丈夫ですか?」
「何、俺はこうやって気を高めていないと怒りに任せて何をするか分からないのさ。案ずるな。」
それは、リスターが初めて感じたリベンジに燃える男の闘気であった。