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にゃんにゃん大魔王、碧天に堕つ④

 にゃんにゃん大魔王が王位についてから数年後。愛する王妃が病に倒れました。当時王国に流行していた病気で、その時はまだ、治療方法は確立されておらず、不治の病とされていました。王妃は病気のせいで日を追う毎に弱っていきました。口にする食事の量は一日ごとに減っていき、体重も落ち、もともと細身だった身体は枯れ枝のようにやせ細っていきました。また王妃がかかった病気は神経にも悪い影響をもたらすもので、病気が進行するにつれ、幻聴や幻覚が起こり始めます。王妃はみなが寝静まった夜中に突然奇声を上げたり、何もないはずの壁に向かって爪を突き立てたり、あるいは背中の毛をぶちぶちと引き抜いたりし始めるようになりました。かつて王国のみんなから愛されていた優しく、気品に満ちた王妃の姿は、いつの間にか、遠い遠い過去のものとなっていきました。


 そしてなにより悲しいことに、王妃は次第に愛するにゃんにゃん大魔王の顔すらわからなくなっていきました。にゃんにゃん大魔王が見舞いに来ても、王妃はまるで泥棒が入ってきたかのような叫び声を上げ、出ていってと大声でわめき、辺りにあるあらゆるものを手当たりしだいににゃんにゃん大魔王になげつけます。すごく体調がいいときは一時的に正気を取り戻し、見舞いに来たにゃんにゃん大魔王に優しくほほえみ、冗談も言い合うこともできました。しかし、病気が進行するにつれ、そんな日は一週間に一回、一ヶ月に一回と、ゆっくりゆっくりと減っていきました。それにより、今日こそは今日こそはと期待を胸に抱きながら王妃の見舞いに訪れるにゃんにゃん大魔王が、深い深い失望の底へと落とされてしまう回数も、ゆっくりゆっくりと増えていくことになりました。


 にゃんにゃん大魔王は王妃の病を治そうとあらゆる手立てを行使しました。王国随一の医者を呼び、それでも駄目なら他の国の名医を呼び、効果があると少しでも噂されていた薬ならばそれがいかに高額であろうと取り寄せました。


 可愛そうじゃないか、可愛そうじゃないか。昔の仲間や部下が、もう王妃の病気は治らないということを納得させようとするたびに、にゃんにゃん大魔王はそう言ってわんわんと泣くのでした。にゃんにゃん大魔王は頭の中は王妃を助けることだけでいっぱいになっていき、次第には仲間の忠告を無視し、甘い言葉を囁く胡散臭い占いの方を信じるようになりました。有事の際に貯めてあった大事なお金に手を出し、権力を使って、風水でいいとされた土地やモノを無理やり奪い取り、にゃんにゃん大魔王はどんどんどんどん悪い王様へと姿を変えていってしまいました。


 にゃんにゃん大魔王は愛する王妃を助けようと一生懸命でしたが、それでも王妃の病気が治ることはありませんでした。国政をおろそかにするにゃんにゃん大魔王を影から悪く言う輩が少しづつ現れ始め、必死に説得を試みていた昔の仲間も一人、また一人と説得を諦めて、にゃんにゃん大魔王のそばから離れていきました。始めは同情的だった国民たちも、にゃんにゃん大魔王が大事な国のお金を使いだしたということを知ると、一斉ににゃんにゃん大魔王を非難し始めました。


 にゃんにゃん大魔王はどんどんどんどん孤立していきました。そして気がつけば、にゃんにゃん大魔王の周りにはもう昔の仲間は誰ひとりいなくなり、代わりに、にゃんにゃん大魔王からお金をむしとろうとする悪い猫たちだけが残ってしまうのでした。

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