エイリアンエイリアン
今日からここで教鞭をとることになった田堀だ。よろしく。
全体でのあいさつを終え席に着こうとすると、校長から一人一人に挨拶に向かうようにと言われた。何時になっても学校というものは変わらないものだ。
「言い忘れてましたが、もちろんまず、教頭に挨拶をしてくださいね。」
かつての同僚なら校長の命令など突っぱねたであろうが、俺にはそこまでのこだわりはない。この時代も権威というものは強大な力を持っているのだろうと思い校長の助言通りにまず教頭に挨拶をすることにした。
「私が教頭の高橋です。あなたが今日から赴任してき田堀君ですか。よろしくお願いしますね。まずさっそくなんですが、お茶を汲んできてくれませんか?」
教頭と名乗る赤いシャツを着た男が言った言葉にひどく憤慨した。この時代の教師はお茶を汲むのが仕事なのであろうか。私はつくづくこの時代に再び生を受けたことを後悔した。以前私が務めていた中学の教頭ですらこんなことは言わなかったであろう。この時代の教師は下女同然である。しかし、いつまでもこうしているわけにもいかないので、形式ばった挨拶を終えて、お茶を汲み、さっさと次の教師の元へ向かった。腹が立ったから茶葉を5倍にして茶を汲んでやった。
現代文、地学とあいさつを終えた。どの教師もペコペコ頭を下げ、媚びへつらうだけのとんだデクノボーである。現代文の教師なんぞは
「ああ、よろしく。ところで君小説は読むかな・・?え、読まない?いや君ねぇ小説を読まない人間ほど面白くない人間はそうはいないよ。そうだ、僕のおすすめの本を教えてやろう。『陰惨』なんていうのはとんだ名作だよ。この作品はね主人公の」
話を聞くのを切り上げて別の教師への挨拶へ向かおうとしたところある女教師に肩をたたかれた。
「新しくきた新米教師君にいいことを教えてあげよう。この業界ではね年功序列というものより大事なものはないのだよ。いいね。」
そんなことはとうに承知している。私の前いたところと似たような話し方をするな。彼女はいったい何者なんだ?
「なるほど。忠告、ありがたく受け取ろう。ところで、あなたはどちら様ですか?なぜ職員室へ入り込んでいる。ここは教師以外は入れん場所ではないのか?」
・・・どうやら怒っているようである。
「僕なにかやっちゃいましたか?」
・・・さらに怒らせてしまったようである。
「なにが「僕なにかやっちゃいましたか?」じゃないわよ。ちゃんとやらかしてるじゃないさっきも言ったわよね。もう忘れちゃったの?あなたまさかお馬鹿さんなのかしら?どちら様ですかって教師に決まってるでしょうが!私はここの生徒に芸術を教えている華よ!以後お見知りおきを!!!!」
「なるほど、これは失敬。知らず知らずのうちにあなたのことを侮辱していたみたいだ。」
「次の授業始まりますよ!!早く行ったらどうですか???」
時計を確認したら、始業一分前であった。女教師にもう一言謝罪を述べ授業へ向かった。