第五話 異能力調査にて
ようやく、物語が進む……予感!
空城が産まれて三カ月。今日、私と空城は前にも言った通り異能力調査を受ける。
異能力調査は注射で血を抜き、その血を特殊な白い紙にかけ変色した色で異能力の有無が分かるという血液検査のようななものだ。赤に変わるとノーマル、青に変わると異能力持ち。リトマス試験紙のようなものだと私は思った。その異能リトマス試験紙さん、青に変色してから五分経つと不思議なことに異能力名が浮き上がってくるそうだ。何故って? 知らんがな。私に聞くな。意味の分からないとこは異世界の特権でそういう設定と言ってやる。
あ、そういや、なにげ狂偽ちゃん初めてのお外です。いや、屋敷の庭とかは出たことあるよ。けど、門の外に出るのは初めて。あと、空城君に会うのもね。空城君のご両親は1回会ったことがある。否、遭ったこと。いや、だって滅茶苦茶恐いんだもん、空城君のお母さん。私のお母さんの妹、つまりは私の叔母にあたる筈なんですけど、親の敵レベルに目の敵にされてる。その眼差しはまるで前世乏しすぎる胸の私を嘲笑うかのように揺れる豊満な胸を凝視する私のようだっ……げほんげほん! まぁ、つまりは嫌われてるって訳よ。今の話は忘れて! ねっ!?
「狂偽様! もう自分でお靴を履けるなんて素晴らしい……! 天才です!」
おうおう、古井戸さんあんがとよ。でも、靴履いたレベルで毎回泣かんといて。
そして、花鳥風月と鬼の目が彫られた絢爛豪華な門を出る。外には黒く大きい高級車が駐まっていた。中にはもう空城君らが乗っているようだ。空城君らを避け、三列目の椅子に座る。私はしっかりチャイルドシートに座った。
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叔母さんから放たれる冷却ビームに凍えながらも20分位で目的地に着いた。
そこは白い箱のような所だった。感想はそれ以外に無い。白い以外の印象を消しまくったらこんな建物になるのだろうか。
されるがままにベビーカーに乗せられた私は、叔母さんに抱っこされている空城を見た。抱っこ紐や叔母さんが抱きしめていて全然見えないのだが、一瞬ピンク色の髪の毛が見えた。
ゲームで見比べてたけど従兄弟なのにほんと似てないんだよね。共通点とか、目の色が紫系統くらいだわ。
建物の中は、案外普通の病院だった。まぁまぁ大きい、前世で言うと市民病院くらいかな。それからは予防接種みたいな感じなので、割愛させて貰おう。因みに、注射で射された時泣かなかったことを滅茶苦茶、古井戸さんに褒められたのは言うまでもない。
待合室で待っていると、看護師さんが異能リトマス試験紙を持ってきた。結果は青、異能力所持者である。いや、まぁ、知ってるけどね。で、ここで気になる異能力名。私が忘れていた異能力名。
浮き上がってきた文字は、【シュバルツェアッシェンブレーデル】。
厨二病風のルビを付けると、【黒染めの灰かぶり姫】。
マジか、私シンデレラじゃん。
「……」
てか、待って。古井戸さーん! 大丈夫!? 不吉過ぎる名前だけどフリーズはしないで!?
「だいじょうぶ?」
「……っ! 凄いです! お嬢様! なんて格好いい名前!」
う、うん。多分、古井戸さん【黒染めの灰かぶり姫】って意味だってことをわかってない。まぁ、知らぬが仏って言うしね。あ、意味あって無くてもスルーしてね。
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その後、叔母さん夫婦は空城君に異能があることを喜んでいたが、私にも異能があるというとその笑みは跡形もなく消え去った。美人が台無しだ。そうして、私はまたしても冷房のない極寒車内に閉じ込められた訳だが。そんなことは、どうでも良くて。何を思ったのか、その後、叔母様のせいで私は何故か
ロシアに行くことになった。
ブクマ、ポイント、感想くださると、作者は泣いて喜びます。
次回から、狂偽ちゃんがアウトドアになり、何も進まん、主人公の年齢幼ぇよ、何も出来ねぇんだよ状態から抜け出せると思います。