いろんな意味で無駄な機能
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あるところにロボットがいた。
ロボットには高性能ではないが人工知能が備わっており、簡単な会話もすることができた。
ある日ロボットが外を歩いていると、空に小鳥が飛んでいるのを見かけた。
ロボットはその日の夜、ロボットを作った博士にお願いした。
「ハカセ……ソラガトビタイ。」
博士はロボットをまるで息子の様に可愛がっていたので、早速ロボットの背中に鋼鉄の翼とジェットエンジンを取り付けた。
ロボットは喜び、毎日のように空を飛び小鳥と遊んだ。
しばらく経ったある日、ロボットが海辺の上を飛んでいると、海中を優雅に泳ぐ魚の群れを見かけた。
ロボットはその日の夜、博士にお願いすることにした。
「ハカセ……ウミデオヨギタイ。」
博士は大喜びでロボットに防水加工を施し、すいすい泳げる様に腰にスクリューをつけた。
ロボットはその日から毎日海で魚たちと楽しく泳いだ。
しばらく経ったある日、ロボットが海を泳いでいると、橋の上を風を切って走るスポーツカーを見かけた。
ロボットはその日の夜に博士に言った。
「ハカセ……ハヤクハシリタイ」
すっかり腰が曲がってしまった博士は杖をつき、椅子から立ち上がると、ロボットの足を取り外し大きな車輪とターボエンジンを取り付けた。
ロボットはその日から様々なスポーツカーと競争して楽しんだ。
ある日スポーツカーと競争していたロボットは、急なカーブに差し掛かった。
しかし、様々な部品が取り付けられ、歪に肥大化したロボットの重たい体はその遠心力に耐えることはできなかった。
ロボットの体は勢い余って崖から落ちてバラバラになってしまった。
ぼろぼろになりながらも、ロボットは片方だけ残った車輪で博士のもとへ戻っていった。
「ハカセ……モトニモドシテ。」
だがその時、博士はすでにロボットを直してあげられる体力も気力も無く寝たきりになっていた。
それからもロボットは博士にお願いし続けたが、いつしか博士は少しも動かなくなった。
そしてロボットも壊れた部分が徐々にショートを起こし始め、やがてロボットは床に崩れ落ちた。
「ハカ……セ……」
ロボットもそれきり動かなくなった。
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「……とまあ、この様に!」
テレビ画面の中でスーツ姿の男が身振りを交え熱心に話している。
「ひとつの単語や言葉を調べるだけで、その例文をドラマ仕立てに紹介してくれるこの《ドラマチック国語辞典》!いかがですか〜。」
男の手にはタブレット端末の様なものが握られている。
「今なら、この《ドラマチック英語辞典》とセットにしてお届け致します!ちなみに今の言葉、皆さんお分かりになりましたか〜?えーとですね、今の例文は……過ぎたるは及ばざるがーーー
ピッ
あまりのくだらなさに僕はテレビのスイッチを切った。
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