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第17話「再会、そして圧倒的な実力差」

 王都は、絶望の空気に包まれていた。


 四天王ゴルザが、セラフィナとガイアスにとどめを刺さんと、斧を振り上げた、まさにその時。


 天から降り注いだ一本の光の矢が、ゴルザの斧を弾き飛ばした。


 キィィン!という甲高い金属音と共に、巨大な斧が宙を舞い、地面に突き刺さる。


「何奴!?」


 ゴルザが、光の矢が放たれた方向――王都の城門――を睨む。


 そこに立っていたのは、一人の青年と、三人の美しい少女、そして青年の肩に乗る一匹の白銀の子狐だった。


 俺だ。


「……間に合ったか」


 俺は、眼前に広がる地獄のような光景と、ボロボロになって倒れているかつての仲間たちの姿を、冷静に見つめた。


「レ……オン……?」


 瓦礫の中で、ガイアスが震える声でつぶやいた。信じられない、という表情で俺を見つめている。


 セラフィナもまた、涙で濡れた瞳を大きく見開き、呆然と俺の名を呼んだ。


「レオン……さん……?」


 彼らの前に、俺はゆっくりと歩み寄る。


 ガイアスは、ふらつきながらも俺の前に膝をつき、そして勢いよく地面に頭を擦り付けた。


「レオンッ!すまなかった!俺が悪かった!俺が、全て間違っていたんだ!だから、頼む!この通りだ!助けてくれ!」


 かつての傲慢な勇者の姿はそこにはない。ただ、無様に土下座して命乞いをする、哀れな男がいるだけだった。


 俺は、そんな彼を、冷たい一瞥で通り過ぎた。


「……もう君たちに興味はない」


 その声は、自分でも驚くほど冷徹だった。


「俺は俺の守りたいものを守りに来ただけだ。君たちを助ける義理はない。だが、この街が壊されるのは、寝覚めが悪い」


 俺はガイアスたちには目もくれず、四天王ゴルザと対峙した。


 俺の言葉と態度に、ガイアスは愕然として顔を上げた。興味がない。その一言が、どんな罵倒よりも彼の心をえぐった。これが、自分たちが捨てた男の、現在の姿。自分たちとは住む世界が違うのだと、骨の髄まで思い知らされた。


「貴様が、あの雑魚どもが言っていたレオンか。ただの若造ではないか。面白い。あの女の代わりに、貴様から血祭りにあげてやる!」


 ゴルザは、地面に突き刺さった斧を引き抜き、再び構えた。


 俺は、腰の星屑鋼の剣を、ゆっくりと抜いた。


「リリア、シルヴィア、フレアは下がっていろ。怪我人の手当てを頼む」


「はい!」「分かったわ!」「おうよ!」


 三人はそれぞれの言葉で力強く応え、すぐさま負傷した兵士たちの救護に向かった。セラフィナも、彼女たちに助け起こされ、複雑な表情で俺の背中を見つめていた。


「一匹で我と戦う気か、小僧!」


「ああ」


 俺は静かに答えた。


「お前一人なら、俺一人で十分だ」


 その言葉に、戦場にいた全ての者が息をのんだ。


 圧倒的な実力差が、そこにいる誰もに、痛いほど伝わっていた。

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