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まずは見た目から。

※著者の陰の気が乗ってキャラが崩れている可能性があります※

 始まりの街、地上前衛拠点『スサノオ』は、私と同じくサービス開始と同時に降下したプレイヤーで溢れている。

素早く店に駆け込んだり、一緒にログインした仲間を探したり、飛んだり跳ねたり転んだり。

開拓用機械人形の見た目は機種ごとに統一されているから、こうもバラバラに動き回っているとシュールな感じ。

そんな様子を横目に、少し体の動きを確認してみる。

フェアリーの女性型の身長は、大体130cmと少し。

現実(リアル)の私も身長は小さい方だけど、流石にフェアリーのサイズほど小さくはない。

それなのに、体を動かすのに違和感がかなり少ない。目線も手足の長さもリアルとは全然違うのに。


「これ、どんな技術を使ってるんだろう。医療分野の最新技術なのかな。」


感じるのは、重心の違いと体が軽さ。—軽い?貧弱ボディなフェアリーの初期ステータスなのに?

動きやすいのは助かるけど、現実の運動不足をこんなところで体感させられると思わなかった。


 運動量の強化を検討していると、ちらほらと機械人形らしくない見た目のプレイヤーが見えてくる。

公式PVで似たような様相を見たような……


「あ、そうだ。スキンショップ!」


 機械人形の見た目は機体選択時に変更することができないけど、各拠点に存在するスキンショップなどで装飾を購入することができるようだった。

機体の色を変えるに留まらず、人肌を模した全身スキンを貼り付け、髪やヒゲの追加、眼の色の変更など、キャラクターメイクができる機能だ。

ベーシックな機械人形の見た目を好むプレイヤーも居るだろうけど、私はその例から漏れる側。

ゲームの中でくらい、かわいい女の子で居たいと思うのは間違いではないはず。

べ、別に元々(リアル)の容姿が悪いとは思わないけど、どうしても手がかかるしっ。


 ちょっとだけ落ちかけた心を持ち直してプレイヤーが頻繁に出入りしている建物へ突入を慣行する。


『イラッシャイマセ!』

『スキンヲ試着サレル場合ハ、アチラノ試着室ヲ、ゴリヨウクダサ

イ!』


 スケルトンな店員NPCに促されるままに試着室へ入ると、ディスプレイが出現する。

部屋は大きな三面鏡のようになっており、外見が確認できるようになっている。


「とりあえず、スキャンデータからスキンを選択して、っと」


 VRMMO用の機械には、身体データのスキャニング機能がある。

体型に合わせた操作信号の調整を行うのが主目的だが、副次的にキャラメイクにも使うことができる。

スキンにも限りがあるから全く同じようにはできないけど、縮尺が変わりすぎるとまともに動けない。なのでコレをするのが基本だ。理想の姿で動けるようになるまで努力するプレイヤーもいるけど、今日のところは時間が惜しい。

 リアルの容姿に寄って選択されたスキンを弄って、この世界の私を作り上げていく。

髪をショート気味なミディアムショートでクリアな水色に、眼の色をペリドットのような黄緑に。目尻と眉の角度を少しだけ上げて幼さを和らげる。肌色は、虚弱に見えない程度に白っぽくしとこう。

体型は——ちょっとくらい盛ってもいいかな。でも現実(リアル)に戻ったとき——なんて虚しい思考を振り払ってそのままにしておく。重心って大事だよね、うん。


「まぁ、こんな感じでいいかな」


 雪華の精をイメージして進めた調整を終えて、改めて鏡に映る姿を見る。

肌スキンを設定した段階で、簡素な麻のようなシャツとズボンが装着されている。


「うう~。この初期装備?ちょっと似合わないかも。ローブとかパッケージに入っていたりしないかな?」


 イメージに沿わない立ち姿が気に入らなくて、”八咫鏡”を操作して最初に貰ったメイジパックを開く。

 メイジパックには、複数のアーツチップ、機術(アーツ)用の触媒であるナノマシンのランクⅠが200個、|ビギナーズメイズロッド《アーツ性能補助具》、ビギナーズローブコートが入っていた。

ちょっと気になるものもあったけど、目当てのローブがあったので、早速装備してみる。


「うん、これなら魔法使いらしいかな!」


 薄茶色で縁に白布補強が施されたフード付きビギナーズローブコートは、旅装というよりは導師や術師のようなイメージを補強してくれそうな装備だった。

色はちょっと気になるけど、染色機能もどこかにあるだろうと考えて、一旦我慢することにした。

試着状態になっていたスキンを正規に購入して、ショップの外に出る。


早く、アレを使いたい。






Tips

◇八咫鏡

 三種の神器のうちの一つ。個人用情報接続端末。調査用機械人形

の左腕に装着された、一見すると腕時計のようにも見える外見。通

信監視衛星群ツクヨミを介してスサノオやアマテラスと情報を送受

することが可能。自身のステータスの確認や、一部のスキルの使用

の際にも使われる。また公式WikiやBBSに接続しての閲覧・

記入も可能である。

(引用:ヴォーパルバニーと要塞おじさん28話Tipsより)


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