第二章 弁当
…ヤバイ。遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「母さん!!何で起こしてくれないの!!」
「何度も起こしたけど、起きなかったのよ」
「あぁぁぁ!!もう、朝ごはんいらない!!行ってきまーす!!」
「行ってらっしゃーい」
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…なんとか間に合った。
~白谷家~
「ふわぁ~…」
…あ、そうか。ここは悠一の家か。とりあえず、悠一に会いに行くか。
「悠一入るぞ」
あれ?悠一はどこだ?
「宮ちゃん、おはよう」
「あ、おはよう。悠一はどこだ?」
「学校よ」
「がっこう?何だソレは?」
「う~ん、勉強するところよ」
「そうなのか」
「宮ちゃん、この服に着替えて」
「分かった」
母上から貰った服は、上は黒色のTシャツという物で、下は白色のショートパンツという物だ。
「あら、かわいいわ~」
「そうか?」
「えぇ。とっても。あ、宮ちゃん朝ごはんまだだったわね。一緒に食べましょう」
母上の作るご飯はとてもおいしい。いくらでも食べれるな。
「あぁぁぁぁ!!」
「どうしたのだ?」
「悠一、弁当忘れてるわ」
「弁当?」
「悠一の昼食よ」
「悠一のいる学校に届ければいいのか?」
「えぇ。宮ちゃん行ってくれるの?」
「うむ。丁度外に出てみたかったしな」
「そう。じゃあ、学校までの地図書くからお願いね」
「うむ」
~昼食の時間~
僕はいつも、幼馴染で同じクラスの山本秋斗と、クラスメイトの広内梓と屋上で昼食を食べている。
「悠一、屋上行こうぜ」
「うん」
鞄の中から弁当を出した。イヤ…出せなかった。
「…秋斗、梓」
「どうしたのよ?」
「弁当忘れてきた…」
「お前何してんだよ。俺のやらないからな」
「ウチのも」
「…ケチ」
仕方ない。購買で買ってくるか。
「購買付き合ってよ」
「おう」
購買に向かおうとすると、窓の外を見ている男子が大きな声で叫んだ。
「おい!!門のところに、ものすごくかわいい女子がいるぞ!!」
その一言でクラスの皆が窓の外を見た。秋斗も、僕も。
僕達のクラスは四階にある。少し見えにくいけど、分かった。アレは、宮ちゃんだと。
宮ちゃんは、僕がいるのが分かったらしく、こちらに向かってきた。
宮ちゃんは今、僕の目の前にいる。速くて見えなかったけど、ジャンプしてきたっぽい。
「ねぇ…今、校庭からジャンプしてきたよね?」
クラスの女子が聞いた。
「あれくらい、普通」
確かに。江戸時代で将軍を護っていた宮ちゃんには、あれくらいできていないとダメなんだろう。
「悠一、弁当」
「あ、ありがとう」
宮ちゃんから弁当を受け取った。
「悠一…その子と知り合いか?」
「あ、…まぁ」
「どういう関係なのよ?」
「え、っと…いとこ」
「悠一、私はいとこではn「秋斗、梓!屋上行こう!!」
宮ちゃんの手を引き、屋上に向かった。
「ちょっと。悠一本当はこの子とどういう関係なのよ?」
…秋斗と梓になら言ってもいいか。
僕は二人に宮ちゃんのことを話した。
「へぇ~、すごいね!!将軍の護衛なんて」
「だから運動神経抜群なのか」
「ねぇねぇ!宮って呼んでもいい?」
「かわまんぞ」
「あたしは広内梓。よろしくね」
「俺は山本秋斗。よろしくな」
とりあえず、二人は信じてくれたみたいだ。
―ぐー
「悠一腹がへった」
「あ、あたしの少し食べる?多めに作ってきたから」
「ありがとう」
それから、昼食を食べ終わると、宮ちゃんは屋上から飛び降り帰って行った。
教室に戻るとクラスメイトから質問攻めだった。
「なぁ、本当にいとこなのか?」
「う、うん」
「一緒に住んでるのか?」
「うん…」
「付き合ってるのか?」
「つ、付き合ってないよ」
「本当か?」
「本当だよ」
疲れた…。早く帰りたい(泣)
放課後になり部活の時間になった。僕は帰宅部だ。特にやりたいことはないから。
「ただいま~」
「おかえり~」
「おかえり悠兄ちゃん♪」
「おかえり悠兄」
「おかえり悠一」
「あ、宮ちゃん弁当ありがとうね」
「うん。なぁ、母上」
「ん?どうしたの?」
「私も学校に行ってみたい」
「そう言うと思って学校には言っておいたわ♪」
「本当なの?母さん」
「えぇ。これ、宮ちゃんの制服よ」
「これを着て学校に行くのか?」
「えぇ。きっと似合うわよ」
母さんやること早いな・・・。でも、宮ちゃんかわいいと僕も思うな。
「悠兄」
愁一に呼ばれると、愁一は僕に耳打ちをした。
「今、宮姉が制服着たらかわいいなって思ってたでしょ?」
「なっ///何言ってんだよ!!」
…コイツ、人の心読めるのかよ?