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せんせい語録  第5話 「旅の恥は…」

作者: なぎさん

超短編の恋愛シリーズです。

教師に微妙な不信感を持つオレっ子と、彼女の心を少しずつ変えていく、怪しいことわざを連発する変な新任イケメン教師のお話。

せんせい語録  第5話「旅の恥は…」



 5月17日、10:20 研修旅行。


 ここは沖縄である。

ジンベイザメさんの優雅に泳ぐ、素敵な水族館に来ている。


 ところで、うちの学校の旅行には必ず事前学習というのがある。

まっぁネットで沖縄について調べておく~的な。

従ってオレは、1時間を有意義に使い。

水族館のお土産について調べまくった。


狙いは一つだ。じんべえさんのぬいぐるみだ。

名前は決めてある。ジンベイザメの、「北条じんべい」くんだ。

北条サマは、<幕末ヘブン>の推しキャラだ。

この前、コスプレしたお方だ。


値段1700円くらい?

お小遣いの8%ほどを占めることになるが。平気だ。

そう、何故か上限をオーバーしても買えてしまうからくりがある。

今日び、誰が決まりピッタリで小遣い持ってくかという話。


――――――――――


 11:40 水族館 


 自由時間である。


 オレ達のメンバー(女子)は、オレ、ユキジ、カノ。

とっくに男子とは、ばらけているのだ。悪いね、五呂久。

一般に、女子メンバーが、3人そろって歩くとは限らない。わかるだろ?「カレシと動きたいから~ごっめ~んっ」、と言っていなくなる奴らのことだ。


リア充ども!遠慮しろ!慮れ!今は学びの時間だ!!


一応、オレらの名誉のため言っておくが、ユキジはおっとり系のしっかり者で、間違いなく綺麗な子。カノは元気な暴れん坊。可愛い系の外見ギャップで男子の評判もいい。らしい。


…オレは? う~ん、あふれる贔屓目な自己愛で言うと、カワイイと思いたい。

いあ、オトコなんて良いんだ。北条さまが居ればいい!


まあ、今だけの話ではあるが、さっきから二人と話しながらも、オレは、あるオトコを探している。

似非イケメン教師、五呂久を探している。


昨日のお詫びに、このハイチューをあげる予定なのだ…お詫びにな。


――――――――――

 

 12:00 お土産コーナー


 じんべいさんを見つけるのに、そんなに長くはかからなかった。即、手に取った。

すりすり。ああ、この温もり!キミは今日からうちのコだよ!


目を動かしたのがいけなかった。隣に居る、マンタくんとも目が合ってしまった。

やめ、そんな目で見つめるんじゃねえ!


オレと無言のアツイ駆け引きを繰り広げていたマンタが、突然、宙を浮いてこっちに向かってきた!

心霊現象ではない!夢でもない!!


そして、ゆるキャラのような裏声で、

「やぁ!マコ!じんべえと一緒に僕を買っておくれよ~!」


やめろ!五呂久!ぬいぐるみを操って話しかけるのやめろ!!


「せんせー、可愛くないですからやめてください。」

オレは努めて冷静に言った。

ユキジとカノも加わる。


「先生、意外と可愛いもの好きなんだね~」

「何~またマコに怒られてんの~せんせ~」


「いや、先生は、マコが誘惑の魔の手に落ちそうだったのでプッシュしただけだぞ」


押すなや!止めろや!!


「え!?マコ!誰かにナンパされたの!」

予想通りの誤解招いたべや!


オレは話を切るべく、お花を摘みに行くことにした!


「オレ、ちょい行ってくる!!」


「まて、マコ。」五呂久だ。このタイミング!まさか!?


五呂久せんせー、きらりと輝く瞳で言う。出たよ夕日。

「一人より二人、二人より三人だろ? グループ一緒に行動だ。」

なんと普通だった!レアだ!!がしかし!


「花摘み行くんですぅ!!」


「あ、すまんトイレか。」


五呂久せんせーは、無理して乙女な言葉を使うという、健気な努力を潰されたオレの怒りの形相を見て、両手をホールドアップし…


「まぁまぁ、許せ。先生もちょっとの過ちは気にしない! 恥の旅はかき捨てって言うしな!」


嫌な旅だな!


ついでに言うと、気にするしないはこっちな!!


「…旅の恥はかきすてっていうしな!」


言い直すな!!


オレは手に持っていた未会計じんべえ様をユキジに押し付け、そそくさと目的地に向かう。


途中で振り返って、ポケットに入ってたハイチューをわしづかみにして、思い切り五呂久せんせーにぶつけてやった。


…袋から出してあったから、空中でバラバラになっちゃったけど。


一粒づつに、妖刀<マッキー極細>で、「け」「が」「ご」「め」「ん」「ね」 って書いてたのに。順番に手渡そうって思ってたのに。


――――――――――


 お花摘みから帰ってきたオレ。五呂久せんせー、まだ現場にいたので、なんとなく隠れた。

そしたら、せんせー、カホにこんなことを聞いていた。


「なぁ、カホよ? め・が・ね・け・ん・ご って、何のキャラ?」


……志ネ!


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