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84.リンドブルムの危機

「おはよう、ルク」


「おはよう、アキラ」


2人は顔を合わせると、昨日の事を思い出したのか頬を赤く染める。

朝ご飯を食べていた子供達は、その大きな違いに即気付いた。



「今、タメ口だったよな?」


「えぇ、私も聞いたわ」


「てことは、とうとう一線を超えた?」


「…………?」


子供達はニヤニヤと笑い始めた、とうとうこの時が来たのかと小躍りする。



「男の子かな?女の子かな?」


「私は女の子が良い!」


「僕は男の子!」


「…………?」


「気が早いわっ!!」


バレた!と言いながら子供達は逃げ出す、アキラはそれを追いかけ1人ずつ捕まえると、くすぐりの刑をした。



(今日も賑やかね)


ルクレリアはその光景を見て微笑えむ、アキラとも結ばれ子供達に囲まれ今この時が最高に幸せだった。

くすぐりの刑が終わり子供達は自室でパジャマを着替えに行った。


「全くあいつらときたら」


「ふふ、子供達も嬉しいんですよ」


「そうなのかな、それよりルク、今日も綺麗だね」


「アキラったら、もう」


2人は抱き合いキスをする。

そしてじーっとした視線を感じ取る。

案の定子供達だった、自室に行ったフリをして一部始終を確認する頭脳犯達だった。


「お・ま・え・らー!」



◇ ◇ ◇ ◇



「それじゃあ行ってきます」


「気をつけてね、アキラ」


「アキラ兄なら、めっちゃ強いから大丈夫だよ」


「バカクロイル、それでも油断禁物よ」


「アキラ兄、今回も食べ物調査よろしく!」


「……アキラ兄、行ってきますのギュウして」


今日はリンドブルムへ素材を売りに行く日だ。

ゴードンから貰った防具を装備し、いつも通りナコをギュっと抱きしめた後早速出発した。



「おおアキラ!リンドブルムへ行くのか!」


「カラム村長!おはようございます!」


「ん?アキラ、何処か雰囲気変わったか?」


「実は、記憶を取り戻しました」


「そ、そうなのか!?それでどうするんだ……?」


「ルクと子供達と共にここで暮らします」


「そ、そうか!!とうとうこの日が来たか」


カラムは感無量だ、ルクレリアの幸せを心から祝福する。



「では、そろそろ行きますね」


「あぁ、気をつけてな」


途中アキラは人気のない場所でアイテムボックスからバイクを出し、それに乗ってリンドブルムへ向かう、かなりの時間短縮ができた。



「銀貨4枚、大銅貨2枚、銅貨7枚です」


「ありがとうございます」


「そうだ、次に来る時でいいのでお願いしたい事があります」


アキラは商会へ通い続けた事で、取り引き相手のレイブンとそれなりに仲良くなっていた。



「お願いしたい事って?」


「商会にある商品を輸送してもらいたいのです」


「それを何故俺に?」


「私は元々は冒険者でした、人を見る目はあります、貴方は強い」


「…………」


「報酬は弾みますよ」


(……孤児院の修理費の足しになるかもしれないか)


アキラとルクレリアは孤児院を立て直す為、協力してお金を貯金していた。

当初アキラはミランダから貰った金貨30枚を使おうとしたが、ルクレリアはそれを反対した、それはアキラのお金であり自分の為に使って欲しいと、だがいざという時はアキラはこのお金を出し惜しみするつもりは無い。



「わかりました、引き受けます」


「ありがとうございます」


商談も終わり、リンドブルムを出ようとした時にそれは起こった。



ーー大変だぁ!魔物の大群が街に迫って来てるぞ!ーー



冒険者が慌てて門番に報告している、すぐさま偵察隊が向かって行った。

偵察隊が戻って来た後慌てて門を閉める、どうやら本当の様だ。

リンドブルムの領主バイアスは軍を編成、冒険者ギルドへと緊急依頼を出し魔物の大群を迎え撃つ。



ーードスッドスッドスッーー



魔物の軍団が迫り来る、ざっと3000は居るだろうか。

兵達と冒険者は交戦を始めた、だが戦況はよろしくない、徐々に押され始めていた。



「しょうがない、行くか」


リンドブルムが落ちれば素材を売る所が無くなり生活が困窮する、それにこの魔物達がネマナ村へと来るかもしれない、それならここで潰す方がいい。



「クソッ!これでは負けてしまう!」


軍の指揮官は頭を抱える。

アキラは指揮官に近づきそして告げる。



「兵を退かせろ、巻き込まれるぞ」


「……なんだ、おまえは?」


「ライム、ルージュ、デスト、シルヴィア、ムゲン、行くぞ!」


5つの魔法陣が現れそこから従者達が出現する。



「な、何が起こっている……?」


魔物を引き連れた男は戦場へと駆け出す、指揮官は言われた通り兵を退かせた。

そこからはもうアキラ達の独壇場だ、ライムの強酸、ルージュのナイフ、デストの拳、シルヴィアの格闘技、ムゲンの刀、そしてアキラの剣と氷魔法、それらが無慈悲に敵に襲い掛かる。


1時間もせず戦闘は終わってしまった。


バイアスの軍と冒険者は口を開けポカンとしていた。

そしてアキラはそんな事も気にせず、そのまま去ってしまった。



こうしてリンドブルムは危機を脱した。



だが、この男の耳にアキラの存在が伝わった。


「カリード様、我が領のリンドブルムに魔物の軍団が攻め込んで来たのをご存知ですか?」


「知っている、だが被害は少なかったのだろう?」


カリードと取り巻きの1人は高級娼館で酒を飲みながら、リンドブルムでの出来事を話していた。



「それはそうなのですが、被害を抑えた方法が些か問題なのです」


「ほう、何があった?」


「ある男が、従えた魔物を引き連れて全て蹴散らした様なのです」


「真か!?それが本当だったらすごいではないか!それでそこまで話すからには、その男の調べはついているのだろうな?」


「もちろんでございます、ネマナ村のアキラと言う男です」


「……ふむ、アキラか」


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