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80.フク

「それじゃあ行ってきます」


「気をつけてくださいね」


「アキラ兄、お土産よろしく!」


「バカクロイル、アキラ兄は遊びに行くわけじゃないわよ」


「どんな食べ物があるか調べるのよろしくね!」


「……アキラ兄寂しくなるからギュウして」


村の近辺で集めた素材を近くの街まで売りに行く。

いつもは村に来る行商人に売っていたそうだが、ここ最近魔物が増えわざわざ危険を冒してまで王都から遠く離れた村まで来なくなったらしい。


アキラは素材が詰まったリュックを背負い、ラルドお爺さんが所有していた使い込まれた剣、お古の旅装束を来て近隣都市のリンドブルムへと向かう。


ナコをギュっと抱きしめ、アキラは孤児院を後にした。



「アキラか、リンドブルムへ行くのか?」


村中を歩いているとカラム村長に出会う。



「はい、素材を売りに」


「そうか、これを持って行きなさい」


カラムはアキラにポーションを渡した。



「良いんですか?」


「アキラに何かあったら村の皆が悲しむからな」


「ありがたく受け取ります」


「魔物が増えているらしいから、くれぐれも気をつけるのだぞ」


「わかりました」


カラムは村の出入り口まで一緒に行き見送った。



「とりあえず、今の所は何も無いな」


魔物が多いと聞いて構えていたが、順調な旅路に拍子抜ける。

暫く歩き、内陸へと向かう途中の道でとうとう魔物と遭遇した。


ーーブモッ


棍棒を持ったオークと遭遇する、アキラは剣を抜き構えた。



(……あれ、何かしっくりくるぞ)


剣を構えた自分に既視感を覚えた、それに魔物と遭遇しても一切恐怖を感じない。

そうこう考えている内に、オークは棍棒を振り上げながらアキラ目掛けて走り出す。



(え?遅い?)


何故かオークのスピードが遅く感じられた、振り下ろされた棍棒を難無く回避して剣を腹に叩き込んだ。


ーブモォォ!!


オークの腹は裂かれ息耐える。



(俺、もしかしてかなり強かった?)


自分でも驚きだった、体が自然と動きしかも一撃でオークを倒した事に。

それからというもの魔物と遭遇しては同じ様に一撃で倒し、想像以上に早くリンドブルムへと着く。



「ここがリンドブルムが」


街道は人が行き交い活気がある、どんな食材があるかロッシュに確かめる様頼まれたので露店の商品を見ながら、何を売っているのか紙に書き留めながら商会へと向かった。


商会に着くと商談室に案内される、暫くすると小太りの男が部屋に入って来た。



「それでは早速商品を見せて貰えますか」


「はい」


アキラはリュックを開け素材を取りだす。

男は一つ一つ丁寧に鑑定していく。



「ふむ、粗悪品も少し混ざってますが、ざっとこれくらいですかね」


男はそろばんを弾きながら買取金額を提示した。



「銀貨3枚、大銅貨5枚、銅貨7枚ですか」


「ちなみにこれは妥当な値段ですよ、ウチはズルも贔屓もしませんから安心してください」


男の目を見る、どうやら嘘は言ってない様だ。



「わかりました、ではこの値段でお願いします」


「わかりました、では少々お待ちください」


男は金を取りに部屋を後にした。

暫くして男が戻り金が入った袋を渡される、それを受け取り商会を出た。



「暫くの間はここに来ることが多くなるだろうから、ちゃんと道を覚えていかないと」


アキラは特徴がある建物を覚えながらリンドブルムを後にした。


ネマナ村への帰りの道中に羽を怪我したのだろうか、ぐったりして横たわったフクロウを見つける。



「大丈夫か?」


フクロウはホウと小さく鳴くが動かない。



「可哀想に、よし待ってろ」


リンドブルムで買ったパンを小さく千切りフクロウの口元に運ぶ。

フクロウは警戒しながらもパンを食べた、どうやら食べる力は残っているみたいだ。

フクロウが満足するまでパンを与えた後、フクロウを懐に入れ孤児院に持ち帰る事にした。


無事ネマナ村へと帰還し、孤児院へと入る扉を叩く。



「戻りました」


扉が開き、子供達が出迎える。



ーーアキラ兄お帰り!ーー



ルクレリアも夕飯を作るのを一旦辞めてアキラを出迎える。



「お帰りなさい、大丈夫でしたか」


「魔物とは遭遇しましたが、特に怪我とかは無いです」


「良かったです、心配しました」


「それより、この子を拾ってきてしまったんですが」


アキラは懐から怪我したフクロウを取りだす。



「まぁ、可哀想に、今手当てしますね」



ーー俺(私)も手伝う!ーー



子供達はフクロウに興味津々なのか、一斉にルクレリアの後を追った。

アキラも部屋着に着替え、皆のいる場所へと向かう。



「これで、良しと」


包帯が巻かれたフクロウを布の上に置く、何日かすればフクロウも元の様に飛べるだろう。



「よし!名前つけようぜ!俺はグリ!」


「私はセフィール!」


「僕はラホ!」


「……フクちゃん」


皆自分の考えた名前が良いと言い張り一歩も引かない。



「アキラ兄はどれが良いと思う!?」


「んー、フクちゃん」


「よりによってナコのかよ」


クロイル、エリサ、ロッシュはがっくりと肩を落とした。



「フクは幸福の福とも読めるし、縁起もいいじゃん」


「……まぁ、確かに」


渋々3人は了承する。



「フクですか、可愛いですね」


「えぇ、ナコも喜んでます」


「……フクちゃん、早く元気になってね」


ナコに応えるかの様にフクはホウと鳴いた。






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