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78.村の一員

「アキラ兄こうやるんだよ」


「こうか?」


「そうそう!上手いじゃん!」


体力が戻ったアキラは、暫く孤児院でお世話になる事になった。

記憶が戻らず頼る人も居ない事が心配になり、ルクレリアが引き止めたのだ、アキラもお世話になった恩返しもしたいと考えそれを了承した。


月日は経ち柔らかな日差しが心地良いその日、アキラは孤児院の裏にある畑に居た、クロイル指導の元畑仕事を覚えている真っ最中だ。



「種植えるだけでも奥が深いんだな」


「辺な植え方をすると、植物の栄養に偏りが出るてラルド爺ちゃんが言ってた」


「そうなんだ、お爺さんが亡くなって皆も大変だな」


「ルク姉だけに負担をかけない為に、皆で強力してるんだぜ」


「偉いな、クロイル達は」


アキラは自分も皆の為に頑張ろうと、更に仕事に精を出す。

畑仕事以外にも力仕事はアキラが率先して引き受けていた、ルクレリアも大分仕事が楽になったみたいだ。



ーーご飯よー!



「お!飯行こうぜアキラ兄!」


「あぁ、休憩しようか」


ルクレリアの声が聞こえ、作業を中断する。

今日は天気も良いし外で食べるみたいだ、シートの上にお弁当が並べてある、エリサ、ロッシュ、ナコは既に来ていた。

ルクレリアが皆に水を分けている、アキラとクロイルも駆け足で合流した。



「腹減ったぁ」


「遅いわよ!皆食べられないじゃない!」


「相変わらずうるさいな、エリサは」


「何よ!私も作ったんだからクロイルの分あげないわよ!」


「出た出た、相変わらず仲が良いよね、エリサとクロイルは」


「良くねぇ(ない)!」


「息ぴったしじゃん」


「……ご飯冷めちゃう」


「こらこら、喧嘩しないで楽しく食べましょ、アキラさんも遠慮せず食べてくださいね」


「美味しそうですね、いただきます」


パンに挟んである燻製肉と酸味のあるピクルス、そして甘辛いタレがマッチして食が進む。



「どうですか?」


「すごく美味しいです!幾らでも食べれそうですね!」


「嬉しいです、ありがとうございます!」


「アキラ兄、私の作ったのも食べて!」


エリサは少し歪な形をしたサンドイッチをアキラに渡した。



「お、エリサも料理上手だな!すごい美味しいよ!」


えへへとエリサは照れ笑いをしていた。



「……見た目は不味そうだがな」


「クロイル、聞こえてるわよ!」


クロイルとエリサがまた痴話喧嘩を始める。



「今のはクロイルが悪いよ」


ロッシュは2人を宥める、そんな3人を見ながらナコはサンドイッチを食べながらニコニコしていた。

楽しい昼食も終わり皆仕事に戻る、クロイルとロッシュは畑仕事、アキラは薪割りと素材集め、エリサはナコの面倒をみる、ルクレリアは家事、それらを各自担当する。



「アキラ、精が出るな」


薪割りを辞め振り返ると白髪の初老の男性が居た。



「カラム村長!どうしたんですか?」


ネマナ村の村長カラムは時々、ルクレリアと子供達を気にかけて差し入れを持ってきていた。

アキラが村の一員になる事を歓迎してくれたとても気の良い人だ。



「なに、ちょっとお裾分けをね」


布に包まれた野菜を見せる。



「どれも水々しくて美味しそうですね」


「そうだろ?ワシが手塩に掛けて育てたからな」


カラムは褒められて上機嫌だ。



「いつもありがとうございます」


「気にするな、それよりルクレリアとはどうなんだ?ん?」


カラムはニヤッと笑ってアキラを揶揄う。



「ルクレリアさんとは、そんな関係ではないですよ」


アキラは苦笑いを浮かべる。



「もったいない、あんな美人で気立のいい女は他にいないぞ」


「……確かにそうですね」


「他の男に奪われる前に、手を出すんだぞ」


「揶揄いすぎですよ、カラム村長」


2人は笑い合う、カラムは実際アキラを気に入っていた。

村の手伝いを率先して引き受けてくれるし人当たりもいい、子供達にも人気、この前など腰を痛めたお婆さんをおぶって家まで送っていたのを目撃した。


ルクレリアを小さい頃から知っているカラムは娘の様に思っている、アキラが来てからルクレリアも更に幸せそうな事もあり、アキラになら任せても良いと思っていた。



「じゃあ、ワシはそろそろ行くよ」


談笑を切り上げアキラに野菜を渡すとカラムは立ち去った。

夕方になり、薪と集めた素材も持って孤児院に戻る。



「アキラさんお帰りなさい」


「ただいま、ルクレリアさん」


「もうすぐ夕飯ができますので、ゆっくりしててくださいね」


「わかりました、これカラム村長が皆で食べてねっていただきました」


「あら、今度お礼を言わないと」


野菜を渡し夕飯ができるまで子供達の面倒をみる、本を読み聞かせたり一緒に絵を描いたり楽しい時間を過ごした。

少しして夕飯が出来上がり皆椅子に座る、いただきますと言って美味しい料理の数々に舌鼓を打つ、食べ盛りの子供達はあっという間に料理を食べ尽くしていた。


夕飯を食べ終え、アキラはルクレリアと一緒に皿洗いをしている。



「今日も美味しかったです」


「頑張って作った甲斐がありました」


ルクレリアはアキラの顔を見て微笑む。


「アキラさんが居てすごい助かってます、子供達も今まで以上に楽しそうですし」


「そう言って貰えて嬉しいです、これからも俺にできることがあれば何でも言ってください」


ルクレリアに微笑み返す。


(……すごい優しくていい人ね、アキラさんは)


ルクレリアの心に特別な感情が芽生えそれは徐々に育って行く。






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