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8.弱者達の逆転

ライムはホーンコングに向けて、酸を飛ばし続けていた。

だがホーンコングの体表を若干焼くくらいで、ダメージは微々たるままだ。


ホーンコングはライムの前に立つと、ライムを掴み地面へ軽く叩きつける。

ホーンコングは軽く遊んでいるつもりだろうか、弱すぎるスライムなど本気で相手にしていない。


叩きつけられたライムは、何度でも酸を飛ばし続ける。

ホーンコングは、意に返さずライムを地面へ叩きつける、その繰り返しが続く。


アキラはその光景を目にし、心は怒りで渦巻いた。



(クソ!!ライムを助けないと、パスリカ花のエキスが効いてきたのか体はギリ動くか……)



体の調子を確かめる、手足は動きそうだった。

アキラはゆっくり立ち上がり、おぼつかない足でホーンコングの方へ走り出す。



「これでもくらえ!!」



アキラはアイテムボックスから、即席火炎瓶を取り出し着火させ投げつけた。

火炎瓶は弧を描いて、ホーンコングに当たる。


ボロボロのライムは最後の力を振り絞り、ありったけの液体をホーンコングへ降り注げた。


その液体は動物油だ。

狩りで仕留めた野生動物の血液と一緒に、油も抽出していた。


ホーンコングの体は火だるまになる。



「グオォォォォッ!!」



ホーンコングは熱さに耐えきれずのたうち回った。


アキラはロングソードを握りしめ、残り少ない体力を全部使いホーンコングの元へ走り出す。



「死ねェェェ!!」



狙いを定まらせる余裕もなく、倒れ込む様にロングソードを突き立てた。

ホーンコングの腹部にロングソードが突き刺さる。



「ガァァァァァ!!」



強烈な痛みにホーンコングの叫びが響く。

だがホーンコングはまだ生きていた、ロングソードは腹に刺さったままゆっくり立ち上がる。


体中の火も収まって来ている、ここまでかとアキラは死を覚悟せざるを得なかった。


怒りのホーンコングは拳を振り翳した。



ーーブシャーー



ホーンコングの喉から血が吹き出した。

思わぬ状況にアキラは目を開く。


ギャギャっと聞き慣れた声がした。

それはスキルを解いて姿を現した。



「ルージュ!!生きていたのか!!」



吹き飛ばされ気を失っていたルージュは、目を覚ますと機を待っていた、ステルスは目では見えなくなるが、気配や魔力は察知されるからだ。

腹を刺されホーンコングが完全に気を取られたのを確信し、ステルスと急所突きのコンボに賭けたのだった。



アキラはルージュの生存に歓喜していた。

だがルージュの右腕が無くなっている事に気づく。



「ごめん……俺が弱いせいで……」



アキラは俯くが、ギャギャっと言いながらルージュは気にするなと言う感じで、アキラの背中を軽く叩いた。



「ライム!!無事か!!」



ルージュを連れライムの無事を確認しに行く。

プルプルとボロボロのライムは静かに震えていた。



「ライムしっかりしろ!!!!」



触手を出し、アキラの目から溢れる涙を拭く。

そしてライムは粒子となり静かに消えていった。








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