69.決勝戦アキラvsジェイド
決勝戦まで少し時間があり、アキラは街を一望できる時計台へと来ていた。
「……夕陽が綺麗だな」
間もなく夜がやってくる、オレンジ色に染まった儚い情景に見惚れ、この後決勝戦がある事を忘れかけてしまう。
「……奇遇だな」
誰かがやって来た様だ。
「……ジェイド」
「おう、酒場ぶりだな」
「いいのか?こんなとこに居て?」
「それはお互い様だろ、アキラは何故ここに?」
「たまたま今日見つけただけさ、ジェイドは?」
「俺はこの場所が気に入っているんだ、頭を空っぽにできる」
「……そうだな」
暫しの無言の時間が続く。
「なぁアキラ、世界は広いな」
「どうした急に?」
「俺はこの広い世界のいろんな場所に行った、その度に戦い続けた」
「………………」
「だがつくづく思う、こんな事する為に強くなったんじゃねえと」
「俺の様になるな、1つ教えておく、大切なものは死んでも守りきれ」
「……わかった」
「そろそろ時間になるな、決勝戦でまた会おう」
夕陽を背にしてジェイドは去って行った。
◇ ◇ ◇ ◇
「お待たせしましたー!まもなく決勝戦を開始しまーす!」
ーーウワァァァァァ!!ーー
「先ずはアキラ選手の入場です!」
アキラは覚悟を決めフィールドへ上がる。
「続いてはジェイド選手の入場です!」
ジェイドはゆっくりとフィールドへ上がる。
「それでは試合開始ぃ!!」
ーーウワァァァァァ!!ーー
「覚悟はできてんのか?」
「できてなきゃとっくに逃げてるよ」
「そいつは違ぇねえな」
ジェイドは笑う。
「それじゃあ……やるか」
「あぁ」
アキラは詠唱を始めた。
「氷縛」
ジェイドの足が氷付く。
「氷壁」
そしてすぐ様に巨大で高密度の氷の壁をジェイドを囲む様に4枚出現させた。
「ほう……おもしろい」
ジェイドの余裕は崩れない、むしろ何が起きるのかを楽しみにしていた。
「巨氷の一撃落下」
超巨大な氷塊がジェイドの頭上に出来上がる、足は氷つき更には壁に囲まれ逃げ道は完全に無かった。
ーーなーんっと!アキラ選手のえげつない魔法!ジェイド選手は絶対絶命だぁ!!ーー
そして氷塊は重力によって落ちる……
ーードガァァァァァァン!!ーー
氷の壁を粉々にするほどとてつもない衝撃が会場を走る、観客席はあまりの光景に静まり返った。
ーーシュパパパンッーー
氷塊に亀裂が入り、横にずれ落ちる。
「ようしゃねぇな」
何事もなく大剣を持ったジェイドがニヤッと笑っていた。
「次は俺の番だ」
足についた氷を剥がし、ジェイドはアキラに向けて走りだした。
「速い!!」
大剣を持ちながら瞬く間に距離を縮めるスピードに驚愕する。
ジェイドは大剣を横に振る、アキラは鉄の棒でガードするが1発でひしゃげて使い物にならなくなった。
だが攻撃はまだ続く、ジェイドはまるで自分の体の一部かの様な大剣捌きで追撃を仕掛けた、連続の斬撃がアキラに迫る。
アキラはアズールの宝剣を出しジェイドの大剣を弾き返した。
「ほう、それがアキラの本当の武器か、いい剣だ」
「出したくはなかったがな」
2人は大剣と剣を何度もぶつけ合う、その度に衝撃波がフィールドを走った。
ーーすごいです!!2人とも引かない状況に会場の熱狂は最高潮です!!ーー
「やるな!!アキラ!!」
「一撃がなんて重さだよ!」
「ははは!まだまだこんなもんじゃないぞ!」
ジェイドは更に力を込める、上段から振り下ろした大剣を受け止めたアキラの足がフィールドにめり込んだ。
「ぐぎぎぎぃぃ」
アキラは歯を食いしばり攻撃に耐える。
「久々に楽しいぜ!」
「俺は楽しむ余裕もねぇっよ!」
そう言いながら火事場の馬鹿力で受け止めていた大剣を弾き返した。
だが隙だらけのアキラの胴体に、ジェイドの回し蹴りがヒットする。
「ぐおぉぉ!!」
そういえば体術もあったなと今更思い出し、後悔しながら吹き飛ぶ。
「おまえなら耐えれるはずだ」
ジェイドはスキル【ディスグレア】を発動する、吹き飛ぶアキラ目掛けて大剣を上段に大きく振りかぶった後フィールドへ叩きつけた。
斬撃波が吹き飛ぶアキラに襲い掛かる。
(あれはヤバいッ!!)
「氷壁!」
4枚の分厚い氷の壁が斬撃波を阻む、だがそれらをことごとく打ち砕く、斬撃波は止まらなかった。
「氷剣!!」
氷の壁で少なからず斬撃波の威力を軽減できたのか、アキラは氷剣とアズールの宝剣で斬撃波をなんとか受け止める、だが吹き飛ぶスピードは加速しそのまま会場の壁へと突っ込んだ。
ーーゴハァッ、バキボキーー
アバラ骨が何本か折れ目はグラつき、そのまま視界は闇へと閉ざされた……
ーーアキラ選手は立ちません!ここで試合終了!!優勝はジェイド選手に決まりましたぁ!!ーー
ーーウワァァァァァ!!ーー
「アキラ、また会おう」
ジェイドは大剣を背に戻しフィールドを去った。




