67.準決勝アキラvsハヤテ
トーナメント戦3日目、今日は準決勝戦だ。
観客席は満員で熱狂に包まれていた、誰が決勝戦に行くのか皆大金を賭け合っていた、ミランダもその内の1人だ。
「ミランダはアキラに賭けるのかい?」
「もちろん、私の専属だからなら」
予想屋の男がミランダに話しかける。
「損する前に辞めときな、あのハヤテって野郎には敵わねぇよ」
昨日のローガンvsハヤテ戦を観戦した観客は皆ハヤテの勝利に賭けていた。
インパクトのある試合だった、そう思うのもさほど不思議ではない。
「それでも私は変えないよ」
「物好きな奴だな」
予想屋の男は呆れていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「皆様長らくお待たせ致しましたー!間もなく準決勝第一試合を始めまーす!実況は昨日に引き続き、アテナが務めまーす!」
ーーウワァァァァァ!!ーー
「先ずはアキラ選手の入場です!」
アキラはフィールドへ上がる。
「続いてはハヤテ選手の入場です!」
ハヤテはアキラを見据えながらフィールドへ上がる。
「それでは早速参りましょう!試合開始ぃ!」
ーーウワァァァァァ!!ーー
「フン、逃げはしなかったようだな」
「流石にそれはしないよ」
「言っとくが手加減などしないぞ」
ハヤテは鞘から刀を抜く。
「お互い様だよ」
アキラは鉄の棒を構えた。
そしてお互い走り出す。
ーーガキィィィンーー
鍔迫り合いになるがお互い一歩も引かない、そして暫しの睨み合いが続く。
ハヤテは力の方向を後ろにずらし、アキラの体制が崩れるのを狙う。
前のめりになったアキラは、それを利用しハヤテの顔目掛けて頭突きをした。
頭突きをくらったハヤテはたたらを踏みながら後方に下がった、そして鼻から出る血を袖で拭う。
「ご自慢の剣技はどうした?」
「そんなに見たきゃ、見せてやるよ」
ハヤテは刀を下段に構えながら、アキラの元へ駆け出す。
「絶妙剣 ー空蝉ー 」
下段に構えた刀を右手で振り上げる、アキラは身を一歩引いて回避した。
すかさずハヤテは腰に差してある鞘を取り、アキラの肝臓目掛けて左手で振り上げた。
最初の刀の振り上げはフェイクで、本命は鞘での打撃の技だ。
反応が遅れたアキラは、モロに攻撃をくらってしまった。
ーーおぉっと!アキラ選手が早くもピンチだぁ!このまま試合は終わるのかぁーー
「ぐぉぉっ……」
急所をピンポイントで攻撃され、肺から息が溢れ出る。
ハヤテはアキラの回復を待つつもりはない、続け様に一回転しながら刀を水平にして胴体へと剣を振るった。
「氷壁!」
アキラの前に氷の壁が出現する、胴体へと迫った斬撃は壁に阻まれた。
あのまま魔法を出し惜しみしていたら、腹を切られ腸が溢れ落ちていただろう。
アキラは距離を取り回復を図る。
ーーなーんと、アキラ選手は魔法を使えたようです!これで手数が増え闘いを有利に運べるのか!ーー
「ほう、魔法を使えるのか」
「……流石にハヤテ相手じゃ鉄の棒だけで勝てるわけないか」
「これ以上出し惜しみしたら殺すからな」
「殺すからなって、さっきのくらってたら既に死んでたからね」
アキラは苦笑いを浮かべた。
「御託はいい、続きをやろうか」
ハヤテはアキラに向かって再度走り出した。
向かって来るハヤテにアキラはアイシクルランスを放ちまくる。
ハヤテは回避してはいるがアキラに近づけない。
「……小癪な」
このままではアキラの魔力が尽きるのが先か、ハヤテの体力が限界になるかのつまらない勝負になる、ハヤテは途端に不機嫌になった。
「安心しろ、俺もそれを望んでない」
アキラはありったけのアイシクルランスを放ちながら走り出す。
そしてハヤテの背後に周り、鉄の棒を頭に叩き込もうとした。
「甘い!」
ハヤテは刀を上段に構えた。
「絶妙剣 ー紅羽ー 」
半身を捻った後、片手でバク宙しながらその勢いで刀を縦に振るう、何とも芸達者な技だった。
ーーなーんと!空中で刀を振るっているぞー!まるで羽の様だー!!ーー
「終わったな」
ハヤテが勝利を確信した後に、斬られたアキラはヒビ割れそのまま砕けた。
ーー何が起こったんだぁ!!私にも検討がつきませーん!ーー
「何!?」
「甘いのはおまえだよ!」
後方にいた筈のアキラが前方に居た。
アキラは鉄の棒を思いっきりハヤテの脇腹に叩き込んだ。
「なぜ、そこに……いる」
口から血を吐いたハヤテはそのまま倒れる、衝撃で内臓が内側から出血したようだ、動きたくても激痛で動けなかった。
「銀氷鏡だ」
アキラが対ジェイド戦を考えて作り出した魔法だが、ハヤテが想像以上に強く切り札を1つ切ってしまった。
銀氷鏡は薄い氷の壁を作り出す、その壁は鏡の様な役割を果たす。
アイシクルランスを放ち続けたのは、ハヤテの気を逸らし氷鏡を発動させたのを気づかせない事と、大量の氷槍の中に身を隠しハヤテが氷鏡を攻撃した時に奇襲する2つの意味を持っていた。
「鏡か……俺の負けだ」
ーーおぉっと!ここでハヤテ選手のギブアップが出ましたぁ!!ーー
ハヤテが担架で運ばれていく。
ーー決勝進出はアキラ選手に決まりましたぁ!ーー
ーーウワァァァァァーー
また対ジェイド戦の秘策を考えなきゃとアキラはため息をついた。




